様々なキャリアの人たちが集まって、これまでのステップや将来への展望などを語り合うユニークキャリアラウンジ。第402回目となる今回のゲストは、あっと驚くエンタメ作品としてメイク動画を配信している、美容系YouTuberのすうれろさんです。
病気の発覚やパワハラによる退職など、人生のどん底から何度も這い上がってきたすうれろさん。そんなすうれろさんが、同じように絶望感に苛まれている方々へ、メイクを通して勇気を与えたいと思うに至ったわけについて伺いました。
看護師を目指していたが難病発覚。「何で私が……?」と問い続ける
ーまずは簡単に自己紹介をお願いします。
美容系Youtuberとして5年ほど活動させていただいています、すうれろと申します。本日はよろしくお願いします。
もともと愛知県の実家から動画を配信していましたが、4年前に上京して、今は関東で活動中です。「男性には絶望を、女性には希望を」をモットーに、すっぴんとメイク後で振り幅が大きいコンテンツを提供しています。
ーすうれろさんが美容系Youtuberとして活動するに至った経緯を、幼少期からさかのぼって伺えればと思います。小学・中学生時代は、どんな子供でしたか?
今では考えられないくらい活発で、運動が大好きでした。いつも「海外行きたいな」と考えている、夢見がちな少女でしたね。
ー幼い頃、他に思い描いていた夢があれば教えてください。
実は中学生の頃から、看護師になりたいと思っていました。高校から看護学校に通い始めて、「絶対看護師になるぞ!」という気持ちでいましたが、高2になると手の震えが止まらなくなったのです。
バイト先のケーキ屋さんでいちごが上手く置けなかったり、血尿が出てしまったりして、さすがにおかしいと思い病院へ行きました。すると副腎機能不全が起きていて、命に係わる事態だったのですぐ入院することに。
ただ、治療が終わってもなかなか震えが止まらず、立ち上がることもできなくて、入院期間が1か月、2か月とどんどん伸びていきました。ついには大学病院に転院することになり、若年性パーキンソン病と診断されたのです。
ー入院期間が伸びて不安な状況で、今後どうしていこうと考えていましたか?
「もう日常に戻ることはできないのかな?」「私は看護師になりたかったのに、何で看護される側になってるのだろう?」と情緒不安定になり、「何で私だけ?」と思っていました。
入院生活2か月目で同級生が休学届を持ってきて、「もうみんなと勉強できないんだなあ」と絶望したのをよく覚えています。
障がい者雇用で就職するも、職場いじめで心も身体もボロボロに
ー高校生の頃に病気が発覚したすうれろさん。看護学校は退学することになったのでしょうか。
看護師を目指すのは難しいと判断して退学し、それと同時に養護学校へ転入しました。養護学校へ通っているときに、今後何をして生きていきたいかという話になって。
自宅療養を続ける選択肢もありましたが、働きたいという気持ちが強かったので、パソコンに関わる資格を取得し、大企業に障がい者雇用で就職することができたのです。
ー「何で私だけ?」と思っていた状況の中で、どうしてそこまで頑張れたのでしょうか。
「誰かの助けになりたい」一心でしたね。昔から「社会との関わりを持ちたい」「社会貢献したい」という想いがあったのです。
また、養護学校にいる他の子たちを見ていたら、「私なんか」と思っている自分が恥ずかしくなり、「もっと頑張らなきゃ!」と奮い立たされました。
ー大企業に入社してからは、どのように過ごされていましたか?
入社直後はモチベーションも上がっていましたが、配属先でいわゆるお局様にいじめを受けることになって。助けてくれる方は誰もおらず、逆に加担する方もいたくらいです。家族は入社を心から喜んでくれていたので相談できず、助けを求める場所がなくて半年間ほど1人で抱え込んでいました。
そんなとき、プツッと糸が切れ、出勤前に倒れて救急車で運ばれてしまいました。運ばれた先でうつ病と診断され、持病も悪化していると告げられ、また入院することになったのです。
ー心が弱っていると、身体にも影響があるのですね。
そうですね。やっぱり心と身体はリンクしているのだと実感しました。そうめんくらいしか喉を通らなくなったので、いつも点滴をしていましたね。人に会うとパニックになってしままい、面会謝絶の状態が1年半ほど続きました。
闘病中にメイクと出会い人生が好転。 “メイクのアイデア帳” を志す
ー1年半の療養期間中、どのように過ごされていたのか詳しくお聞きしたいです。
最初の頃は治療がすごく大変で、絶望感に苛まれていました。ただ、1年ほど経つと友達や家族がお見舞いに来てくれるようになりました。
来客が唯一の楽しみだったので長居して欲しかったのですが、みんなすぐ帰ってしまって……。来るたびに浴びせかけられる「ゆっくり休んでね」「かわいそうに」という同情の言葉にうんざりしていました。
「何でみんな早く帰っちゃうし、同情ばかりするんだろう?」と思って鏡をのぞいてみると、ゾンビのように顔色の悪い自分がいたのです。
ー顔色が悪い自分の姿を見て、どのように感じましたか?
もし私が同じような顔色の方を見たら、「ゆっくり休んだ方がいいよ」と心配するなと思いました。みんなこの顔色を見て心配していることに気づき、「どうにかしないと」と思って始めたのがメイクでした。
ただ、普通にメイクをしてもインパクトがないですし、今までみんなに悲しい顔をさせた分だけ笑いを取りたいと思い、ギャルメイクを始めたのです。
ーギャルメイクを見たみなさんの反応はどうでしたか?
みんな驚いていましたが、笑ってもくれました。外出届を出して散歩へ連れていってくれたり、カフェへ行こうと誘ってくれたりするなど、メイクをしてから周りの態度が一変したのです。
人の顔色はこんなに大事なんだと驚きましたし、自分自身、メイクに助けられました。
不思議なことに、メイクをするようになってから病気の経過も良くなって。退院が長引くのではないかと言われていましたが、自宅療養に切り替えることができました。
ーご自身を救ったメイクとの出会いが、すべてを良い方向へ向かわせたのですね。
私はメイクでガラリと人生が好転したので、私のように病気を抱えている方や、絶望感に苛まれている方にメイクを通して勇気を与えたいと思っています。
日本の女性を見ていると、「私なんて」とネガティブになって、自分を好きになれない方が多いように思えて。そんな方々に、「大丈夫、私でもこんなに変われるよ」というメッセージを届けることで、自分の可能性に気づいてほしいです。
私自身、メイクのアイデア帳のような存在になれたらなと思って活動しています。
視聴者さんの一言がきっかけでYouTubeの世界へ
ー在宅治療中、どのように過ごされていたのかお聞かせください。
在宅療養が始まった時期は、周りの子たちが看護師として働き始めた時期でもあり、仕事がない状況に焦りを感じていました。そんな中で最初に始めたのがハンドメイド。何とか生計を立てられるようになったのですが、人との接点のなさに寂しさを覚えました。
そこで始めたのが、当時流行っていた生配信アプリ「ツイートキャスティング(略してツイキャス)」でした。
ーツイキャスではどのようなコンテンツを配信されていたのですか?
家で毎日メイクをしていたことを活用して、毎朝メイク動画を配信していました。視聴者さんが増えてくると、ダラダラと長くなりがちな生配信ではなく、コンパクトにまとめた動画を見たい視聴者さんも出てきて。
ある視聴者さんが、「Youtubeを始めてみたら?」と提案してくださったのがきっかけで、Youtuberとして活動し始めました。
ーYoutube配信をするうえでコンテンツ企画が最も難しい部分だと思います。面白い企画を考えるコツがあれば教えてください。
アジア圏の中で美容大国と言われている韓国・中国・タイ・台湾などのインフルエンサーの投稿を見て、インスピレーションを得ています。アイデアを丸パクりするのではなく、自分らしいスパイスも加えることを意識していますね。
あと、最近増えてきている美容系Youtuberの中で差別化を図ることも常に意識しています。私の場合はコスプレや創作メイクも好きなので、エンタメとして面白いと思ってもらえるような、アーティスティックなメイクも発信中です。
ーすうれろさんは、昔から人を楽しませようとしていますよね。
そうですね。人の悲しんでいる顔が嫌いです。いつでも楽しんでいる顔が見たいですね。
メイクで心を前向きに。 “好き” こそ無敵になる秘訣!
ー今よりもっと素敵になりたいと思っている方へ向けて、何かアドバイスはありますか?
自分を愛することができると、ポジティブ思考になれたり、意欲が湧いてきたりするので、自分を好きになることで無敵になれます!私のYoutubeを通して、みんなに自分を好きになってほしいですね。
ーYoutuberというお仕事は、広範囲に渡って元気を与えることができそうですね。
まさに自分にとって天職だと思っています。たまたま私のコンテンツを見て、自分を好きになってくれた方もいると思うのですが、自分を好きになるきっかけは何でも良いと思うのです。
ー今後、すうれろさんはどのようなことを成し遂げていきたいですか?
私がメイクで勇気づけられたように、周りの方にも同じ体験をしてほしいと思っています。
実は今、メイクで心のセラピーをする職業「メイクセラピー」の勉強をしていて。老人ホームなどでメイクをして心を明るくすることが、今後の人生で描いている大きなビジョンです。
直近の目標でいうと、Youtubeの視聴者さんとお会いして直接メイクをしたいですね。
ー最後に、すうれろさんから20代の方へメッセージをお願いします。
「ピンチはチャンス」という言葉通り、私はどん底になったときこそ奮起できたので、みなさんも落ち込んでいるときにすべてを諦めたりせず、アクションを起こしてみてください。
また、「でも」「だって」と言い訳をつけて後回しにせず、やりたいことは気持ちが新鮮なうちに取り組んでほしいです。20代は思っている以上にあっという間なので、フレッシュなうちにぜひいろんな挑戦をしてください。
ー果敢に挑戦を続けてきたすうれろさんのお言葉は、説得力がありますね。すうれろさんの今後のご活躍を応援しています。本日はありがとうございました。