様々なキャリアの人たちが集まって、これまでのステップや将来への展望などを語り合うユニークキャリアラウンジ。第379回目となる今回のゲストは、Narrative Career School (NCS)でコミュニティマネージャーとして働いている、伊佐間 梨華(いさま りか)さんです。
「好きなことを仕事にする」ということを体現された伊佐間さんが、NCSとの運命的な出会いを果たし、自ら仕事を作り出すまでの軌跡を伺いました。
「外側の自信」をつけて自己保身していた高校時代
ーまずは簡単に自己紹介をお願いします。
Narrative Career School (NCS)という、自分の本当にやりたいことを見つけてそれに向かって走り出すためのプログラム/コミュニティでコミュニティマネージャーのお仕事をしています、伊佐間 梨華と申します。
具体的に言うと、自分のやりたいことやビジョンを言語化するワークショップのファシリテーションをしたり、1対1でコーチングやカウンセリングをしたり、イベントの企画運営をしたりしています。
ー本日は、伊佐間さんがNCSと出会うまでの道のりを、幼少期からさかのぼってお伺いできればと思います。学生の頃はどんな子供でしたか?
高校生の頃は、完璧主義な優等生でした。勉強も部活も恋愛も、すべてにおいて完璧像を作り上げるためにエネルギーを割いていました。
もともと自分に自信なかったからこそ、成績や周りからの評価など、「外側の自信」をつけることで自分を必死に守ってたのです。そういう生き方が、とても息苦しかったですね。
ー「外側の自信」をつけることで、同時に自己肯定感を高めようとしていたのでしょうか。
そうですね。自己肯定感が低いからこそ、外側の自信を求めるのかなと思います。今も自己肯定感が高いかはわからないですが、自己肯定感を高めるためには努力して積み重ねることが大事だと思っていて。
頑張りたいことを1つ決めて、毎日コツコツやる経験を積む。そしてそれが成果として目に見えてくると、「私って努力すれば意外とできるじゃん!」と気づき、自分を好きになることができました。
あとは、自分のことを肯定的に受け止めてくれる人を周りに置くことで、より自己肯定感は高まりますね。
ーもし今、伊佐間さんが昔の自分に会ったらどんなアドバイスをしますか?
とにかく「もっと自信をもって生きればいいよ」と言ってあげたいです。
自分自身が完璧ではなかったとしても、もし少しでも人の役に立てる部分があって、そこを使って人を喜ばせることができれば十分だと伝えたいですね。
留学先で摂食障害を乗り越え、最後は笑顔で卒業した大学時代
ー高校では完璧主義だった伊佐間さん。大学進学後も、完璧を追い求める姿勢は変わらなかったですか?
そうですね。大学でも変わらず完璧主義で、それ故に、留学をしたときに今まで作り上げてきたものが通用しなくて病んでしまいました。
ー留学をしたときのお話を、詳しくお聞かせください。
昔から国連職員になりたいと思っていたので、大学ではオーストラリアの現地の大学に留学しました。ただ、もともとシャイで完璧主義だったこともあり、間違いを恐れてなかなか英語を話せず、英語力が思うように伸びなかったのです。
それに加えて、「何のために留学したのだろう?」「本当に国連職員になりたいのかな?」と悩み、その先の未来がまったく見えなくなってしまって……。
将来への不安や焦り、孤独感から摂食障害になってしまい、休学することになりました。
ー休学後はどのように過ごされていたのでしょうか。
普通の人であれば休学中は心と身体を休めると思うのですが、私は「何がやりたいのかわからない」というストレスが溜まっていたので、じっと休んでいることができなくて。結局、自分のやりたいことを精査するために、NGOとNPOと一般企業でインターンをしつつ、学生団体で活動をしていました。
学生団体で行った難民問題啓発のイベントでは、学生団体だけではなくユニクロや大塚製薬、東京都、UNHRCR駐日事務所などの様々な組織を巻き込んで200名ほど集め、その結果イベントは大成功を収めました。参加者が喜んでくれている姿をみたとき、「いろんな人をつなげて場づくりをするのっていいな」と思ったのです。
当時は精神科に3つほど通っていたのですが、やりたいことが見えてきて徐々に自信を持てるようになったおかげで復学することができました。
そんな過去を経たからこそ、「やりたいことや人生の目標を見つけて、自分がどこに向かっているのか認識すること」は大事だと心から思っています。
ー今の話しぶりからは、伊佐間さんがシャイだったなんて信じられません。シャイな部分をどのようにして克服したのか教えてください。
休学の1年間を通して自分に自信が持てるようになったことがきっかけですね。もともと英語力は会話できる程度のレベルではあったものの、自信のなさから怖気づいてしまい上手く話せなかったのですが、自信がついたからこそ人に話しかけられるようになって、友達の輪も広がったのです。
復学後は、心から信頼できる日本人・アジア人・オーストラリア人の友人に囲まれ、「最高の留学生活」を送ることができました。卒業式には親も友達も来て「りか、おめでとう!」と言ってくれたのです。留学中は苦しいこともたくさんありましたが、最後は笑顔で乗り切れたという経験は、自分の人生の中で大きな影響を与えています。
“三方良し” な天職「英語学習カウンセラー」との出会い
ーオーストラリアからの帰国後、どのように過ごされていたのかお聞かせください。
4年間のオーストラリア留学を経て、帰国後は既卒就活をしました。「人の夢や目標を応援する仕事をしたい」という想いから教育と人材業界を見ていたのですが、教育は「表情が堅い」「顔が怖い」などの理由で落とされ続けたので諦め、最終的に勢いのある人材系メガベンチャーから内定をいただくことができました。
ただ、入社するまでバイトとして働いているときに「なんか違うな……」と思って。人想いで優しい方ばかりなのに、なぜか組織構造やビジネスモデル上、会社の歯車になってしまっていたのです。お客様と会社と従業員が、三方良しではない状態に違和感を感じて、3か月で退職しました。
ー「三方良し」がキーワードですね。
それに加えて、毎日電車で疲れた顔をして出勤している方たちの姿を見ていて、留学先とのギャップもあり、日本の未来や自分の将来の可能性に希望を見いだせなくなってしまいました。オーストラリアに帰ろうと思ったのですが、帰国後すぐにオーストラリアへ行くと親を驚かせてしまうので、まずはバイトをして資金を貯めようと思いました。
バイト先を探すと同時に、もう一度英語を勉強するため「レアジョブ」という英会話サービスに登録して。先生に「日本社会のこういうところが嫌だ」「こんなことをやりたい」と話をしていると、「あなたのやりたいことはレアジョブでできるんじゃないかな。いろいろ募集見てみたら」と言われたのです。実は、レアジョブは昔から使っている思い入れのあるサービスだったので運命を感じて、とりあえずカスタマーサポート・英語学習カウンセラー・英語コーチングの3つに応募しました。
ー偶然の出会いですね。応募結果は……?
見事、英語学習カウンセラーとして採用していただけました。
前職を3か月で辞めていたことをネックに思っていたのですが、前職を辞めた経緯や今後やりたいことを素直にお話すると、「ぜひ来てください」と言ってくださったのです。嬉しくて泣きそうになりましたし、期待に応えようという気持ちでいっぱいでした。
英語学習カウンセラーという職種は未経験でしたが、向いていたこともあって成績がどんどん伸びていって楽しかったですし、何より同じチームのメンバーが大好きでした。みんな個性が強いけどバチバチしていなくて、何かあったら助け合う素敵なチームだったので、「それぞれが自分の強みや “らしさ” を活かして、自分も相手も周りもハッピーにしながらも、何かあるとお互いに助け合う社会が作れたら良いな」と思ったのです。それが私がコミュニティを作りたいと思った原体験ですね。
ー英語学習カウンセラーとはどのような仕事か教えてください。
英語学習の目的・目標に合わせて、学習のプランニングやサポートをするお仕事です。2,500人くらいの方とお話してきました。
英語学習カウンセラーのお仕事は、「私自身、働いていてハッピー」「受講したお客様には喜んでいただける」「周りや社会にも良い影響を与える」という三方良しを実現できていたのです。
「会社」と「個人」どちらも捨てずにフリーランスとして走り出す
ー英語学習カウンセラーという職業は、伊佐間さんにとって天職だったのですね。
そうですね。仕事が大好きで成績も伸びていき、いろんなお客様に指名いただけることも増えたこともあり、「自分でもできるかも」と思い始めて。
スキルシェアサイトで英語学習カウンセリングを出品してみると、なんと注文が入ったのです。ドキドキしながらお客様とカフェで会ってお話すると思いのほか喜んでいただけて、その後も継続的に予約が入るようになりました。
ただ、お客様と1対1の場合はすべて自己責任なので大変なんですよね。教材の用意やトラブル対応など、知らず知らずのうちに企業が支えてくれていた部分がたくさんあったことに気づき、今まで以上に会社に対して感謝の念が湧いてきました。だからこそ私はレアジョブでの仕事と、個人の仕事を両立していたのです。
ー1つの働き方に縛られず、ご自身に合った働き方をしていたのですね。
この経験を通して皆さんに、正攻法でやらなくてもお仕事はできるということを伝えたいです。一つひとつのご縁を大切にして、戦略的に動いていけば自分のやりたいことはできます。
ー伊佐間さんは、自分のやりたいことを見つけるまでにどのくらい時間がかかりましたか?
やりたいことは変化すると思っているんですよ。
やりたいことをやっているうちに、「他にこういう要素が必要だな」とか、「やりたいことの中でも、この部分が特に楽しいな」とか発見して解像度があがっていくイメージです。
なので私も、やりたいことを深めている途中でもあります。
NCSとの運命的な出会い。活力に溢れたコミュニティの形成を目指す
ー伊佐間さんは現在もフリーランスとして働いているのでしょうか。
はい。今はフリーランスでNCSのコミュニティマネージャーとして働いています。
ーNCSとの出会いについて教えてください。
実は留学時の経験が、NCSと出会うきっかけになっています。
留学先で病んで、3つの精神科に通ったけれど治らなかったときに、「人の性質によって課題は異なるし、合うアプローチ方法も違うよな」と思って。それから、英語という枠を超えて、いろんな理論を包括的にブレンドしたうえで、その人自身がやりたいことを実現していくサポ―トがしたいという想いが強くなったのです。
自分の想いを実現できるところがないか探していたときに見つけたコミュニティが、NCSでした。参加者としてジョインしたときに、「これこそ、私がやりたいことじゃん!」と一目ぼれして、「絶対にここで働きたい」と心に決めました。
ー参加者から、運営側として働くまでの経緯をお聞かせください。
ここで働きたいと決めたときから、全体を俯瞰して見るように意識し始めました。俯瞰して見ると、「今コミュニティでは現場を回してくれる人を欲してそうだな。であれば、誰とでも分け隔てなく仲良くできる私の強みは、喜ばれるんじゃないかな」と思い、周りの方に積極的に話しかけて、みんなが楽しく参加できるような場になるよう動きました。
それに加えて、リーダーに対して「私のやりたいことは、NCSと近しい部分があって」「私は今まで英語学習カウンセラーとして2,500人ほどとお話してきました」とアピールしたことで、向こうから「働いてみる?」と言ってくださったのです!
ー積極的に動いたことで、結果がついてきたのですね!
「働いてみる?」と聞かれたときに、当時働いていた英会話のスタートアップを辞めてまでNCSに飛び込んでよかったです。やりたいことを掴むために安定の道へ行こうとする人はいっぱいいるけど、背水の陣で「辞めてここに来ます!」と言われたら雇うしかないですよね。
私はそこまで考えたうえで行動に移したからこそ、コミュニティマネージャーという新しい仕事を自分で作って働けていますし、リーダーとも信頼関係を築けていると思っています。
ー伊佐間さんはご自身の強みを上手く活かしてきたと思うのですが、強みはどのようにして見つければ良いのでしょうか。
人からのフィードバックが大事です。自然にやっていることが強みだったりするので、客観的な意見は参考になります。
あと、強みは伸ばせると思っていて。好きなことに対してはみんな熱量があるので、多少苦手だとしてもいくらでも時間とエネルギーを投下できる。時間とエネルギーを投下すればある程度のものにはなるので、人より平均値が上がって仕事としてやっていけるようになると思います。
ー最後に、伊佐間さんが今後チャレンジしたいことを教えてください。
いつか自分のコミュニティを作りたいです。そこで今までサポートし切れなかった方たちもサポートできる体制を作って、もっとみんなが生き生き働けるような環境を整えたいなと思っています。
コミュニティに参加することで、「ご縁やチャンスなどを周りの人にも返していく精神」を体感的に学んでもらって、そこで学んだ方々がコミュニティを卒業してからもその精神を広げていく。その流れを循環させることで、私が目指す世界を、私の周りから少しずつ作っていきたいです。
ー伊佐間さんのコミュニティが誕生し、その文化がどんどん広まっていく日を楽しみにしています!本日はありがとうございました。