様々なキャリアの人たちが集まって、これまでのステップや将来への展望などを語り合うユニークキャリアラウンジ。第357回は株式会社フラミンゴ代表取締役の金村容典さんです。大学時代に英会話事業で起業された金村さんが起業をされるまでの経緯など、過去から遡って現在に至るまでのお話をお聞きしました。あまりご自身の過去の話を公の場でされてこなかったという金村さんの過去のお話、必読です◎
英語初心者の悩み解決をするコーチング事業に注力中
ーまず始めに現在のお仕事について教えてください。
2015年6月に設立した株式会社フラミンゴという英語学習のサービスを提供している会社の代表を務めています。
株式会社フラミンゴでは主に3つの事業があります。1つ目は英会話レッスンをカフェで受けられる教師と生徒のマッチングプラットフォームです。2つ目は法人向けのレッスン、そして3つ目が昨年4月から始めた英語学習コーチング事業です。
ー英語コーチング事業についてもう少し教えていただけますか。
英語コーチングではマンツーマンで学習のサポートを行うことで一生使える英語学習の習慣と理論を身につけてもらうことをゴールとしています。英語を学ぶ時の課題として、身近に英語学習について話せる人がいなかったり、一緒に英語学習を頑張れる仲間が見つからないといった悩みがあると知り、コーチング事業の立ち上げを決めました。
というのも、僕たちがお客さまにインタビューを実施していくなかで、市場に、英語初心者のシリアスな課題解決(例:真剣に英語を伸ばしてキャリアに活かしたい)にこだわったプロダクトが少ないことに気づきました。英会話スクールはカジュアルユース(例:外国人と仲良くなりたいから通う)を許容する必要があるため、シリアスな方にこだわったサービスを届けることが苦手なようで…
ー英語コーチング事業を提供する会社は最近増えているのでしょうか。
そうですね。「英語コーチング」の需要は伸びており、人気のスクールには数百人の方々が順番待ちをしているような状況です。ただ、家事や育児に忙しく、移動や自習の時間を確保することが難しい方は、「英語コーチングは初心者向けに感じない」、「スパルタな雰囲気がしんどい」というような心理的なハードルを感じているようです。
実際、弊社サービスにお申し込みいただく方の多くは、英会話スクールや英語コーチングサービスを経験するも、自分にはあわなかったという感想をお持ちの方が多かったです。オンライン学習の体験が急速に浸透しはじめている今、初心者に寄りそったサービスにチャレンジすることで、大きな価値を生み出せる可能性を感じています。
ーこのコロナ禍で事業や経営方針などに影響はありましたか。
英会話レッスンについては、このコロナ禍ということもあり、自発的にオンライン対応をする先生方が増えました。やはり対面レッスンに不安のある方は多いので英語コーチングについてもオンライン化に力をいれています。
多感な時期に見つけた夢は外交官だった
ー過去に遡って現在に至るまでのお話をお聞きできたらと思います。金村さんの幼少期のお話などお聞かせいただけますか。
幼稚園の時は天真爛漫で活発な少年でしたね。小学2年頃から中学受験のために塾に通うようになり、徐々に外で遊ばなくなりました。
株式会社フラミンゴの創業に関わる出来事としては、小学3年の時に両親が海外出身だと知ったことがあります。周りの子とは違うという特別感を感じられて嬉しかった反面、外国籍だというだけでいじめられたり、差別を受けたりしている人がいることも知っていたので複雑だったのを覚えています。外国人にやさしい社会を目指したいという想いはこの時の体験からきています。
ーそうだったんですね…!中高生活はどのように過ごされていたのですか。
受験をして中高大学一貫の共学に進学し、当時野球が好きだったので野球部に入りました。が、入部してすぐに椎間板ヘルニアになってしまい…野球どころか、近くの病院に電気治療をしに行く日々を送ることになったんです。痛かったのも辛かったですが、それ以上に辛かったのは練習をサボっていると周りに思われていたこと。そこから品行方正から真逆の方向に走ってしまいました。朝から授業をサボって友達とボーリングに行ったり、むしゃくしゃして窓ガラスを割ってしまったり…
ーなんと!それは高校生になっても続いたのですか。
高校からはめちゃくちゃ厳しい先生のクラスになり、更生しました(笑)先生に部活に入るよう言われたのでバレーボール部に所属したり、高校から入学した友人に任命され生徒会の風紀更生委員をやったりしていましたね。
高校では特に友人に恵まれ、友人が教えてくれた台湾留学プログラムにも参加しました。これをきっかけに台湾で将来生活をしたいと思うようになり、当時外交官をテーマにした「アマルフィ」を見ていたことが重なって、台湾駐在の外交官になりたいと思うようになりました。
ーということはそれを軸に大学の進路も選択されたのでしょうか。
そうですね。外交官を目指すことを考えて法学部に進学したのですが、入学後にキャリア形成関連の授業を履修したところ、実際の外交官の仕事が自分が想像していた外交官の仕事と違うことが分かり、入学早々外交官を目指すのは辞めてしまいました。
マッチングサービスで起業、学生生活との両立
ーそれでは大学生活はどのように過ごされたのでしょうか。
大学では学園祭の運営に関わっていました。大学3年では学園祭の運営代表も務めた他、大学の生徒会長も務めていました。大学4年でも両方続けることはできたのですが、なかなかハードな日々だったので最後の1年は違うことに時間を使ってみることにしたんです。そして友人が教えてくれたスタートアップウィークエンドという2泊3日のプログラムに参加して初めて起業やアプリ開発に触れることとなりました。
ーそこから少しずつフラミンゴ創業に繋がっていくんですね。
そうですね。スタートアップウィークエンドの参加をきっかけにアメリカでのインターンにお声がけいただき、現地を訪問した際にAirbnbやUberといった便利なサービスに出会いました。個人と個人のマッチングによって安くサービスを受けることができる仕組みがいいなと思い、同じようなものを自分も作りたいと思ったんです。
ー英会話レッスンに着目したのはどのような背景があったのでしょうか。
友達に外国人留学生が多くて、彼ら彼女らに人気だった仕事がカフェ英会話講師だったということがきっかけです。気軽に英会話レッスンを受けたいという需要が日本人側にはあるものの、英語で直接先生とコミュニケーションを取るのが苦手などといった理由から無断キャンセルが起きるなどといった現状を聞いていたのでそれを解決できるマッチングサービスを始めることに決めました。
ーそして起業されたんですね。
実は初めは起業する気はなかったのですが、レッスン代金を先生に送金するにあたり法人の銀行口座が必要となり、そのためには法人登記しないといけないと分かり…結果的に会社になっていたという感じです(笑)
ー起業するつもりではなかったのにはびっくりです。大学4年で起業されていますが、卒業後の進路については何か考えられていましたか。
進路については迷っていました。大学5年生をするか、大学院に行くか、卒業するか。迷っていることをゼミの先生に相談したところ「金村くん、ほとんど勉強してなかったよね」と言われ、確かに大学生活であまり勉強した記憶がなかったのでもう少し勉強しようと思い、大学院への進学を決めました。
ー大学院と会社の経営の両立はいかがでしたか。
大変でした。そしてやっぱりどちらかに集中した方がいいかもと思った時に、やっぱり会社に集中したいと思い、大学院は途中で辞めることにしました。退学後上京し、今に至ります。
友人に刺激を受けて取り組んできたけれど、ここからは自分で自分の未来を描く
ー会社経営に専念したことで気づきや学びなどはありましたか。
初めは良い会社を作ることよりも、良いサービスを作ることに注力していたのですが、徐々に良いサービスを提供するだけではなくて良い会社ではないとと思うようになったのは大きな気づきでした。根拠のない自信が強く、自分に対する過大評価があったのですが、良い会社を作るにあたって他者理解の能力が不可欠だということ、そしてその能力が自分には欠如していることも実感しました。
だからこそ、フラミンゴにジョインしてくれる仲間には「言葉にして教えてくださいね」と伝えていますし、どちらかというと我の強い人を採用するようにしています。わがままを言ってくれる人を集めて、その人たちが働きやすい環境を作るのが一番かな、と。
ーU-29世代にも起業を考えている方や、就職などの進路で迷っている方がいるかと思うのですが、何かそんなU-29世代へのメッセージをお願いできますか。
尊敬している方の言葉を借りるならば「こんな僕でも社長にはなれるよ!」ですかね。どちらかというと流れ、友人がくれたきっかけで起業することになった僕でも社長としてチャレンジできていることを知っていただき、「自分もできるかもしれない」と思ってもらえたらと思います。
ちなみに最近は起業家としての目標も明確になって、きちんと逆算して計画的に生きるようになりました。周囲のおかげで起業6年目を迎えることができましたが、ここからは自分の意志を強く持って、自分の未来を描いていこうと思っています。
ーありがとうございます。最後に今後の展望やチャレンジしてみたいことをぜひ教えてください!
なかなか英語の勉強が続かないといった人たちにもっとフラミンゴの英語コーチングを届けていきたいです。今年中には、英語初心者が脱初心者するなら、フラミンゴの英語学習コーチングだよね、というような事業にしていきます。
仕事以外の個人的な目標としては、最近バッティングセンターによく行くんですが、マイバットもゲットしたので140キロの球をしっかり捉えられるようになりたいです!目標達成に向けてYouTubeをみてコツを勉強するや、とにかく打ちまくるなどができると思うんですが、それって会社経営にも応用できると思っています。日々細々としたこと・地味なことを淡々とやる中で今見えてないものが見えるようになると思うんです。目の前のことにしっかりと取り組みながら、1つ上の視座で物事を見られるようになりたいと思います!
執筆者:松本佳恋(ブログ/Twitter)
インタビュー:高尾有沙(Facebook/Twitter/note)
デザイン:五十嵐有沙(Twitter)