仕事=責任感のある遊び。No Code Walker・池田龍一さんがたどり着いた「ゆる〜く稼ぐ」とは

様々なキャリアの人たちが集まって、これまでのステップや将来への展望などを語り合うユニークキャリアラウンジ。第266回目となる今回は、専門学校に通いながらオンライン塾経営、オンラインサロン運営、webサイト制作と幅広く活動している池田龍一さんをゲストにお迎えし、現在に至るまでの経緯を伺いました。

4つの肩書きを背負って活動を続けられている池田さん。なぜ大学を中退してまで現在の生き方を選ばれたのでしょうか。また、Twitterを中心に発信されている「ゆる〜く稼ぐ」とはどのような働き方なのでしょうか。自分の意思で責任感をもって突き進みつつも、遊び心を忘れずに活動する池田さんの思いをお伺いしました。

 

ー現在の池田さんについて教えてください。

バンタンテックフォードアカデミーという、IT系の専門学校に通う20歳です。学校で勉学に励みながら、オンライン塾経営やオンラインサロン「NoCode Walker」の運営、フリーランスでwebサイト制作をしています。

ー4つの肩書きで活動されているのが、本当に多彩ですよね!現在されている経営やパラレルな働き方には親しみのある環境で育ってこられたんでしょうか?

両親ともにそういった働き方ではなく、周りにもそういった人はいませんでした。大学入学後のとある転機を迎えるまでは、自分も既存のレールに乗って楽に生きていきたいと思っていましたね。

 

大学進学。楽に生きたいと思っていた18年間

ー大学時代で転機を迎えられたとのことですが、大学はどのような視点で選ばれたんでしょうか?

就職したくない思いから理系を選択し、そのなかでも興味のあった学問を扱っていた東京理科大に進みました。

ー決断の裏には消極的な考えもあったのですね。現在のように、自分で何か新しいことを始めたり、創造的な活動に対して興味があったりしたのでしょうか?

一切ありませんでしたね。
家庭環境が恵まれていたこともあり、甘やかされて育ってきたと思います。今振り返ると「18年間何をやっていたんだろう」と思ってしまうくらい、自分から何か行動を起こすことはしていませんでした。

ーとなると、現在とは真逆の生き方をされていたのですね。大学ではアルバイトなどはしていましたか?

アルバイトは塾の講師をやっていました。その頃は、将来は就職するんだろうと漠然と考えていましたし、周りの人たちと同じようにアルバイトしか稼ぎ方の選択肢は持っていませんでしたね。

 

浮き彫りになった違和感から、模索し始める

ーごく一般的な学生だったところから、19歳の頃に考え方が180度変わったそうですね。

当時お付き合いしていた社会人の彼女がきっかけでした。
その方は「働きたくない」とよくこぼしていたんですが、その姿を見ているとこっちも「自分が稼がないと」という気持ちになってきて。大学生の自分が稼ぐにはどうすればいいか考えた時に、大学では稼ぎ方は学べないということに気付きました。

また、アルバイト先の塾での指導が度を越して厳しかったということも感じていました。
当初はそれが普通だと思っていたんですが、自分の後から入ってきた先生に「パワハラじゃない?」と言われてしまって。「これがパワハラなんだ」と気付かされたと同時に、アルバイトとして稼ぐことへの違和感も抱くようになりました。

そんな二つの経験から、普通のアルバイトよりも効率的に稼げる方法を探し始めました。
FXやブログ、せどり(転売)などから手をつけ始め、その過程でプログラミングにも出会いました。

ーそれが、初めて自分で行動を起こした瞬間だったんですね。

新たな道を自力で見つけられたものの、大学との両立は難しくなってしまいました。
また、ITで技術を身につけていきたいという思いを大学の教授にぶつけたのですが、「大学では君のやりたいことはできない」と言われてしまいました。

思うように進めないのなら、ということで最終的には中退を選びました。

ー中退を選ばれたんですね!大きな決断です。

迷いは一切ありませんでしたね。休学という選択肢をとることもできたとは思うのですが、保険を残したくないという思いが強かったので。

また、プログラミングという一つの分野にフォーカスしてみても、大学ではコードの読み方を教わるくらいだったんですよね。実践的な書く動作については教わらなかったので、そうした点からも大学への違和感、物足りなさはもともと感じていました。

大学中退は一般的には大きな決断だと思いますが、自分としては納得のいく決断ができたと思っています。

 

大学中退、新たな道へ。自分で歩み始めたことで回り始めた歯車

ー自分で責任を持って下した決断だったのですね。
次のステップとしてバンタンテックフォードアカデミーを選ばれたとのことですが、どのように見つけたんでしょうか?

中退を決めてから1日で見つけました。
IT系の専門学校でありつつも、柔軟にいろんな学問分野を取り入れている点がすごく魅力的で。環境も重視していたポイントだったので、熱意のある人が集まりそうだと直感的に感じたこの学校にしました。

入ってみて実感するのは、とにかく自分に合った環境だということです。登校時間も自由で、教材も欲しいものは買ってもらえる。学びに集中できるので居心地が良いですね。

ー重視していたポイントがマッチした学校だったんですね。どんなところが合っていると感じますか?

やりたいことがあって、かつ自分で責任感をもって実行することができる人間は、自分でやっていくべきという考えにマッチしていました。既存の上下関係が無い、対等な組織だったのもよかったです。

ー専門学生でありながらも、オンライン塾経営、webサイト制作、オンラインサロン運営という4つの肩書きを持つようになった経緯もお伺いしたいです。オンラインの塾はいつ始められたんでしょうか?

塾は学校に通いながら設立しました。
アルバイトという働き方をとらずに自分でできることを考えた時に、これまで頑張ってきた受験勉強を教えることを思いつきました。当時、教育系ブロガーとしてTwitterで発信していたので、そこで生徒になってくれる人を募集したのが始まりです。

オフラインだと場所が必要になりますし、すでにコロナも流行していたので、オンラインという形で「スタデイ」という塾を開校しました。現在は中3から高3の学生を数人教えています。

ー2つ目の肩書きであるwebサイト制作は、どのようなことをされているのでしょうか?

サイト制作に関しては、塾の立ち上げと同時期にTwitterで繋がった人の会社の外部顧問に就任しました。
その方は名古屋のある企業を経営している方だったのですが、同じように個人塾を始めたいと考えていたようで。いろんな話をしているうちに、「ウェブに詳しいなら」と知見を買っていただき、その方の会社の外部顧問になりました。

ー塾立ち上げと同時に企業顧問になられたんですね!行動の一つ一つが歯車のように噛み合って、どんどん進んでいった感じですね。

最初に展開を想定していなかったんですが、次に繋がらないことはしたくない、という自分の性格がうまく作用していたのかもしれません。

世間的にも、Twitterはビジネスの基盤になりつつありますし、塾の運営や顧問になった経験からも、Twitterの活用は個人の成功の鍵ではないかと思っています。

ー池田さんのお話をお伺いしていると、プロとアマチュアの壁もどんどん溶けていっているということを実感しますね。

いろんなツールの技術が進歩しているということもありますよね。
今一番注目しているノーコードという技術はその筆頭ではないかと思います。4足目のわらじとして携わっているオンラインサロン「No Code Walker」では、サロンメンバーの学習サポートやノーコードの魅力を伝えるメディア運営をしています。

プロとアマチュアの区別は、お金を稼いでいるか無償でやっているか、ということがよく言われますよね。でも、今の世の中では初心者からでも稼ぐことができると感じます。プロと言えばプロになれる。そんな中で責任感を持って向き合えているか、が重要なのではと思いますね。

 

模索の末たどり着いた「ゆる~く稼ぐ」とは

ー相手の求めているものに対して、責任をもって適切なアウトプットができれば、仕事は成立すると。
池田さんが発信されている「ゆる〜く稼ぐ」ということなんですが、これはどういった働き方なんでしょうか?責任感とゆるさというのは、一見相反しているように聞こえますが…。

自分にとっての「ゆるさ」とは、上司や下からの圧力がなく、自分の意思で動けるストレスフリーな状態です。
そういった環境では、個人の裁量で稼ぐ額が変わってきますが、そこはゲーム感覚で楽しむ。自分の戦略やビジョンをもちつつも、遊びのように楽しむことが「ゆる〜く稼ぐ」ことだと思っています。

ー池田さんが「ゆる~く稼ぐ」うえで大切にしているポイントって何なんでしょうか?

大切にしているのは、誰と一緒に働くか、ですね。

こうした働き方のメリットは、働きたくない人と付き合う必要がないことです。それが恵まれたことであるとは実感していますが、だからこそ周りの人との関係は大切にしています。時にはお金は二の次にしてしまうこともありますね。

ーどれだけ技術が進んでも、大切なことは人間同士の繋がりということですね。

生き生きしている経営者さんと関わっていると、よりそのことを実感しますね。

仕事に対して思うことは、楽しめないと損だということです。
人生の中で50〜60年、あるいはそれ以上やっていくことなので、この「働く」という行為を一番楽しくないともったいないなって。だから、直感的にやりたいと思えることしかやらない。その思いで続けていると、仕事は「責任感のある遊び」だなと思うようになりました。

これからも、責任感をもって遊びつつ、好きな人たちと良い関係を結びながら生きていきたいですね。

ー責任感のある遊び…!人生を楽しく生きるコツですよね。
とはいえ、好きなことを仕事にしたい、と思いつつもなかなか行動に移せずに悩んでいる人も多いのでは。自分がやりたいことを見つけるにはどうすれば良いんでしょうか?

とりあえず全部やってみる、ということですね。全部やれば「これだ」と思うものに出会えます。

どんなことでも、やる前は「うまくいかないんじゃないか」と不安になりますよね。でも、やってみないと分からないこともあるし、途中で辞めても良いんです。

やってみて合わないと思ってやめたことでも、一度触れたことがあれば、次に熱が入ったときに理解しやすい。それって失敗じゃなく経験になるので、将来にも生きてくるんですよね。

 

可能性に満ちたノーコード。サロン運営を通して技術を広めたい

ーいろんな稼ぎ方を模索された池田さんだからこその説得力がありますね。
今注目されているノーコードとは、どんな技術なんでしょうか?

ノーコードは、普段私たちが使っているようなツールを、直感的な操作で作ることができる技術です。裏側の処理すらコードを記述する必要がなく、パワポを仕上げる感覚でサービスやアプリが作成できてしまいます。

プログラミングで作るよりも断然早くでき、少人数で制作できるのが魅力です。現段階で、アプリの動作が重かったり、元のサーバーが落ちると連動してアプリも落ちてしまう、といったデメリットはありますが、ノーコードの波はこれから確実に来ると思っています。

ノーコード×ビジネスのオンラインサロンを運営していますが、ノーコードでの開発案件が来たり、最先端の情報が入ってきたり、という環境なのでとても刺激的ですね。

ー今後の展望について教えてください!

今、一番力を入れているのが「No Code Walker」というオンラインサロンの運営です。

このサロンを法人化し、受託案件によって基盤を築いていきたいと考えています。受託した案件を、ツールに熟達したサロンメンバーに還元していきたい。将来的には、自社サービスを展開したいという希望もあります。

サロンメンバーも現在募集しています。
ノーコードを使って、自分が持っているビジネスアイデアを実現したい人、ノーコードという技術を使って稼ぎたい人は、ぜひ一緒にやっていきましょう。個人で経営している塾の生徒も募集しているので、こちらも興味のある方がいらっしゃったらぜひご連絡ください!

ー池田さんの仕事観、人生観にとても刺激を受けました。ありがとうございました!

 

取材者:山崎貴大(Twitter
執筆:中原瑞彩(Twitter
デザイナー:五十嵐有沙(Twitter