出会いから2ヶ月で婚約!1児の母でメイクアドバイザー、島望に訊くライフワークバランスの秘訣とは

様々なキャリアの人たちが集まって、これまでのステップや将来への展望などを語り合うユニークキャリアラウンジ。第141回目のゲストはメイクアドバイザーの島望(しまのぞみ)さんです。

大学時代に出会ったパートナーと、2か月で婚約。社会人1年目で結婚し、現在は1児の母の顔を持つ島さん。仕事と育児を両立しながら、ライフステージを進める彼女の選択を後押ししたのは、ノルウェーで触れた価値観と、ご自身の母親の姿がありました。子育ても、仕事も、自分の時間も、好きなように。ライフワークバランスを上手に保つ島さんの、結婚観とキャリア観に迫ります。

外見を変えるメイクの魔法に出会う

お客様にメイクをする島さん

ー自己紹介をお願いします。

島望です。パーソナルメイクアドバイザーとして、一人一人に合わせたメイクの紹介とパーソナルカラー診断をしています。

ー今のお仕事をはじめられたきっかけはなんですか。

出産を機に、新卒から勤めた美容部員としてのコスメ販売を辞め、現在に至ります。美容部員時代に、接客をする中でお客様の悩みに触れる機会も多かったんです。雑誌やインスタを見たお客様が人気色をつけて、「モデルさんだから似合う」「可愛くて欲しいけれど、私には合っていない」「思っていた印象と違う」…そんな声を耳にしました。肌色や肌質は一人ひとり違うので、お客様それぞれに似合う色があります。しかし、10分から1時間の接客時間ではメイクの好みをつかみづらかったんです。そこで、マンツーマンでメイクの指導やレッスンを通して、デパコスやドラックストアコスメを組み合わせたメイクをいろんな方にご提案したいと思い活動をはじめました。

ー子育てと仕事はどのように両立させていらっしゃいますか。

夫と相談し、協力して子育てしています。先日、パーソナルカラー診断の予定があったのですが、息子が熱をだして…最初は困惑しましたが、在宅勤務の夫に任せて、帰宅後に看病を代わって対応。このような協力関係ができているので、両立が可能なんです。

ーそもそも美容やメイクをお仕事にしようと思ったのはどうしてですか。

小さい頃は人見知りで、顔にコンプレックスを抱えていました。祖父母や近所のおじいちゃんおばあちゃんに可愛がってもらえていたのですが、一人っ子として生まれたので、内気な性格でした。さらに、片方だけが二重というバランスの悪いまぶたと、エラが張った自分の顔がコンプレックスで、人前に出るのがあまり得意ではなかったんですよ。

16歳のときに、メイク好きの友人と出会って、衝撃を受けました。当時は、美白のギャルが好まれる時代。友人は流行りのメイクが得意で、その手法を間近で見ることができました。「目が大きくなる!」「口紅一本で顔が華やかになる!」とひとつひとつの変化に感激を覚え、メイクのすばらしさを感じたんです。その子から教えてもらい、私もメイクをはじめます。メイクで人生の可能性が広がり、楽しくなりました。

ー高校生であれば、将来のことも考えている段階だったかと思います。メイクの道に進むことを既に決めていたのでしょうか。

当初はメイクの専門学校に行こうと考えていました。しかし、高校の先生に、「本当にメイクだけで生きていきたいのか」と問われ、大学進学の道も検討することに。専門学校はメイクに特化した学びを深めるがゆえに、卒業後の進路変更がしづらい側面があります。先生から「1つの分野に絞るより、多面的に学んでみた方がいいんじゃないか」と提案を受けました。悩んだ結果、大学進学を選択。大学ではたくさんの新たな学びや出会いに恵まれ、人間性が育まれたので、入学してよかったと思います。

母親の姿から、自分のライフステージを考える

ノルウェー渡航時の島さん

ー大学生活において自分の価値観や人生観を変えた体験はありますか。

ノルウェーに視察へ訪れた体験ですね。これがきっかけで男女平等の価値観や子どもの教育に興味を持つようになったんです。女性博物館に行き、そこで、衝撃的な史実を知りました。望まれない妊娠をした女性は首を斬られて処刑されていたそうなんです。その後、国民のデモ活動により抗議が起こり、現在の男女平等の価値観が育まれました。

ノルウェー在住の日本人ガイドの方が話してくださった教育エピソードも印象に残っています。ある子どもが自転車に乗る際、彼女がヘルメットを装着してあげました。すると、顔の肉が挟まって泣いたそうなんです。日本であれば、「ごめんね、痛かったね。私が悪かった。」と謝る場面が想像できますが、その子の親は痛いという事実は認めながらも、「自分でベルトをつけられたら、それは起きなかったよね。だから自分でできるように頑張ろうね。」と伝えたらしいんです。

ーその後、どのような変化が起きましたか。

ノルウェーから帰国してから、家族、結婚、出産、子育てに真剣に向き合うように。「早く私もお母さんになりたい」と思いました。それには、親の介護の時期と子育ての時期をずらしたいという考えもあったんです。

母は高齢出産のために、祖父の介護と私の子育てで手一杯でした。自分の時間を犠牲にする姿が目に焼きついていて…。母は専業主婦でもありました。好きなことが見つかって社会復帰しようにも、働き口がなく不安な様子も見ていました。

そんな母親の姿があって、私は、母になっても自分の時間を大事に、仕事も続けたかったんです。子育てが人生の制限になってしまうことはたたあります。それでも、私は、そのなかで自分のできることを探し、実行することが性に合ってるなと思いました。

先輩ママから、「子どもが出来たのは嬉しいが、自分の思うように出来ないもどかしさ」について聞く機会もありました。それは、子どもを出産する前に自分ひとりで叶えられる幸せを多く知っていたからこその悩みであるとも感じられたんです。仕事やファッションに自分の24時間をすべて使っていたのに、子育てでその時間がどんどん無くなっていくから苦しい…。そこで、「子育てと仕事をできるだけ同じタイミングでスタートできれば、そんな思いをしなくていいのではないか」仮説をたてました。「できるだけ早く出産したい」と考えていた理由はここにもあります。

子育てする母親の気持ちが、私はまだわからない

パーソナルメイクアドバイザーとして活動し始めた頃の島さん

ーかなりご自身の人生を現実的に考えられていらっしゃったんですね。同時に、卒業後の仕事についても考えられたのではないでしょうか。

大学に行きながら1年半、メイクの専門学校に通っていました。結果として、美容部員になりましたが、実は子育てママの再就職支援する企業に就職するつもりでいました。女性の働き方について大学で学び、ママに社会復帰する機会を与えられる活動がしたいと強く願っていたんです。大学4年生からインターンとしてその企業で働いていたのですが、そのうち、「結婚や出産を体験してない私に何がわかるのか」と疑問が浮かびました。

当事者ではなかったので、子育てママが抱える問題を高い解像度で理解出来ず、必死に再就職に向き合うママに本当の意味で寄り添うことが出来ないと考え、「この仕事をできない」と内定をお断りしました。卒業間近の決断に不安はありました。自分が何をしたいかをもう一度考え直し、メイクの仕事を選んだんです。

子ども、夫、自分のバランスがいちばんよいところで生活する

息子さんとのツーショット

ー「できるだけ早く子どもを」という思いは叶ったのでしょうか。

たまたま大学4年生で現在の夫と出会いました。一目ぼれでした。何度か会っていて「一緒に過ごせる人」だなと思い、出会いから2ヶ月後に私からプロポーズして、社会人1年目の8月に入籍。結婚してからは、お互いの仕事を優先しながらも、家では一緒に過ごす時間を大切にしていました。帰宅したらその日あったことを共有し合いました。夫婦の時間がすごく楽しかったですね。

ー産後は3週間里帰りされて、次の3週間は旦那様が育休を取得されたそうですね。初めての子育てはいかがでしたか?

今までの人生で経験したことのないことの連続で、とにかく大変でした。出産後の体の痛みに耐えながら、生まれて間もない我が子を相手することって、こんなに難しいんだなって。1人ですることはとても困難だと思いました。

ーそのような新しい体験である子育てと日々向き合いながら、ライフワークバランスを保つ上で、大切にされていることはありますか。

第一に、ムリをしないこと。自分の気持ちが不安定で家庭が暗くなるのであれば、嫌だと思うことはやらず、まずは自分が楽しくいることを心がけます。私が家庭でネガティブな姿を見せていると、子どもや夫にもネガティブな気持ちが伝搬します。立ち振る舞いによって、明るくすることも暗くすることもできると思うんですよね。

つぎに、イレギュラーに対応できる準備を行うこと。子どもに関する不測の事態にも対応できるように、連絡先やものの場所など、夫婦ふたりで把握しています。熱を出したときの近隣の診療所や、衣類が汚れたときの着替えの場所など、お互いに知っておくことが重要です。

ー家庭と仕事を大事にしながら、今後チャレンジしていきたいことはありますか。

まずは、女性のメイクを通して、外見から内面を変えるお手伝いがしたいです。自分のサロンを開くことも考えています。さらに、男性の外見を変えたいとも思っています。男性のお客様に、魅力を引き立てつつ場に適切なファッションのご提案をしたいです。また、26年間住む宮城に貢献したいですね。地元の企業とタイアップし、パーソナルカラー診断のイベントや、企業で働く女性に向けてメイクレッスンを開催したいと考えています。

ー今後も母として、妻として、ビジネスワーカーとして活躍される島さんを応援しています。ありがとうございました!

取材者:高尾有沙(Facebook/note/Twitter
執筆者:津島菜摘(note/Twitter
編集者:野里のどか(ブログ/Twitter
デザイナー:五十嵐有沙(Twitter