誰もが本来持つユニークネスを取り戻すために。「ユニーク大学」という次世代ビジネスリーダーの実験場

2019年10月より、Webメディア「U-29ドットコム」と連動したコミュニティ「U-29ドットコムリーダーズ」を開始後、2020年1月より「10〜20代が本来持っているユニークな才能(ユニークネス)を発掘し、磨き上げ、価値を創発する共創型の学びの場として「ユニーク大学」にコミュニティ名を改め本格始動。

U-29(ユニーク)な高校生、大学生から、会社員・起業家・フリーランス・アーティスト・政治家に至るまで、業界・職種を超えた多様な10~20代に瞬く間に広がり、2020年1月現在、約500名の大きなコミュニティとなりました。

500名の加入した動機や経路は様々で、内部でも幅広い活動が行われているのですが、「そもそもU-29って何?」「何を目的としているの?」ということを知る人は多くありません。

そこで、コミュニティメンバーが有志で集まり、ユニーク大学の発人であり運営者である西村創一朗さんにお話を伺いました。

「西村さんはどんな20代を過ごしたのか?」「なぜこのタイミングでU-29世代なのか?」など、気になることをたくさん話していただきました。

じぶんのユニークネスを発見・発揮できる場としての「ユニーク大学」

ー最初に、U-29の活動の柱について教えてください。

大きく2つあり、1つはユニークな価値観を持つ”個人”にスポットライトを当て、その姿を発信すること。もう1つはユニークな価値観を持つ”複数人”が集まり交流し、学び合う場づくりです。

ー一つずつ詳しく教えていただけますか。

前者は、10~20代のユニークな方々のキャリアストーリーを聞き、インタビュー記事という形で発信しています。平日のほぼ毎朝『U-29 Carrer Lounge』(通称「ユニキャリ」)という名前で公開インタビューを行っており、公開インタビュー形式にしているのでコミュニティメンバーは現地やオンラインで参加することができます。また、月に1回のペースで開催する『U-29 Career FES』では、100人規模で公開インタビューをしています。

https://flat-naha-4780.egoism.jp/2019/12/16/suga/

 

https://flat-naha-4780.egoism.jp/2019/12/19/sawamadoka/

ー公開インタビューにこだわる理由が気になりました。

もちろん、記事という形で皆さんに届けたいのですが、編集の功罪がどうしても生まれてしまうんですね。記事は話した内容を”編集”したものが掲載されているので、場の空気を全て伝えることは難しい。だから、記事には載せきれないライブ感を届けるべく、現地参加を可能にしたり、遠方の人や通勤時間と被る人のためにコミュニティ内限定でオンライン配信もしています。

ー公開形式にしたことでどんな効果がありましたか?

面白いのが、『U-29 Carrer Lounge』のゲストや参加者の間で、インタビュー後にほぼ100%ネクストアクションが生まれています。そこで意気投合して、飲みに行ったりもしてるみたいですよ。

ーつながりができるのがすごいですね!もう一つの柱の「場づくり」は、具体的にどんなことをしているのでしょうか?

この場づくりは、「相互に刺激し合う」ことを目的としていくつか活動を進めています。たとえば、同じ年次に大学を卒業したメンバーで集まるいわゆる”同期会”、メンバー主体で立ち上がるnote部やランニング部などの”部活動”で、異なる業界や価値観を持つ人同士で意見交換をしたり、ときには雑談をしたり。社会人になると「横のつながり」がどうしても薄くなってしまうので、それを生み出すことは強く意識しています。

ー確かに、メンバー主体で立ち上がる部活動が増えてきていますよね。では、「U-29」の名前の由来を教えてください。

2つの意味をかけていまして、1つは、「Under 29」 という次世代リーダーを対象にしているということ。決してビジネスパーソン以外を受け付けないというわけではなく、アーティストやアスリート、政治家など様々なジャンルから集まる場にしたいと考えています。僕自身が30代に突入しており、次世代を担うU-29世代のために何かを提供したいという想いから始まりました。もう1つは、誰もが本来持つ「ユニークネス」を取り戻したいということ。いつの時代も、世の中を牽引するリーダーはユニークな価値観を持つ人が多いにもかかわらず、U-29世代は上の世代や社会に抑圧されてやすい年代だと思っているので、そのユニークさを存分に発揮できる場にしたいですね。

自分を保つことができた「サード・コミュニティ」の存在

ーでは、U-29が誕生するまでのことについていくつかお聞きします。20代の頃の西村さんは、どんなことに悩んでいたのでしょうか?

色んなことに悩みましたよ。主に新卒で入社したリクルートキャリア時代なのですが、たとえば思うように仕事で成果を出せない時、転職を考えた時、営業から新規事業開発に移りたいと思った時など、挙げ始めるとキリがありません。

ー社内の人に相談できる悩みと、そうでない悩みが混在していますね。

そうですね。特に、転職のことは社内の人には当然相談できません。

ーでは、その悩みをどのように解決していったのでしょうか?

一言で言うなら、社外に目を向けました。職場でもなく、自宅でもない、いわゆる「サードコミュニティ」や「サードプレイス」と呼ばれるものですね。そういう場を持つことで、気軽に相談できる人が増えますし、何よりメンタルバランスが保たれ、視野が広がっていたように思います。

ーキーワードが出てきましたね。具体的に、どのように作っていったのかを教えてください。

その時おこなっていた複業を活用しました。ブログ運営をしていたのですが、話を聞きたいと思った方に「記事にするのでインタビューさせてください」と連絡し、インタビューという名目で知識や考え方を吸収していきました。また、自分の悩みなんかもぶつけてみて、解決策を教えてもらったり。社外でそういう機会を作っていたからこそ、仕事でぶつかった課題に対してすぐにアクションを取れていたように思います。

ー今のU-29の活動にもつながるエピソードですね。一方で、同世代とのつながりもあったのでしょうか?

僕は1988年生まれなのですが、「88世代」と冠した同世代のコミュニティも作っていました。そこがとても居心地が良く、会社の中では話せない本音も遠慮なく話せる関係性です。職場や家庭の外に価値観を共有できる場があって、日々のモヤモヤや悩みを共有できる仲間がいることが、20代の頃の僕には大きい意味を持っていたんです。仕事には辛いことも多いですが、逃げずに前に進むことが大切なのはもちろんのこと、そういうサードコミュニティに逃げ込むことも時には必要だと学びました。

ーそれがU-29の原点にもなっているのですね。

間違いなくこれが原体験になっています。しかし、僕はそういう活動をしていたからサードコミュニティを自ら作れましたが、ゼロからするのはなかなかハードルが高いことも理解しています。だからこそ、「サードコミュニティによって救われた僕が、次世代のために場をつくっていくべきだ」と考え、いつかやりたいと思うようになりました。

ペイ・フォワード精神が生んだ、3度目の正直の「ユニーク大学の誕生」

ー”いつか”が少し気になったのですが、2019年10月の本格始動までの経緯を知りたいです。

実は、2回頓挫しています。1回目は2016年、僕が28歳の時です。実は、その頃にはu-29.comのドメインは取得していました。20代が終わりに差し掛かっていたこともあり、大きいことをしたくて数人でイベント企画をしていたのですが、とあるビッグゲストを呼んでいたんですね。ですが、当初予定していたイベント開催日とそのビッグゲストの結婚式が丸被りしてしまい、イベントの消滅とともにU-29の立ち上げもお流れになりました(笑)

ーそんな裏話があったとは(笑)

その後、2018年の10月からゆるくウェブメディアを立ち上げ、気が向いたときにインタビューするという感じでしたが、中途半端になってしまっていたのは事実。これが2回目です。

ーでも、2回頓挫しても3回目を試みたのは何故ですか?

いつかやりたいとずっと思っていたので、「ちゃんと思想を持ってやろう」と気を引き締めたのと、何より僕らが先輩方にしてもらったことを次の世代に渡す”ペイ・フォワード”を実現したいと思ったからです。

U-29世代のケーススタディとなる「人生コレクション」

ーU-29世代を卒業した西村さんから見て、今のU-29世代はどのように映っていますか?

いつの時代も同じなのかもしれませんが、本来だれもが持つユニークさを押し殺し、周りや世間の目を気にしてしまっている人が多い気がしています。特に、学校では個性を発揮できる学生も、就活になった途端に「社会に適合できるように」と違う自分を演じてしまう。その一方で、あるがままに生きている人もいて、その人は他人軸ではなく自分軸で生きていると思っています。他人軸ではなく自分軸で意思決定していく人が増えてほしいし、U-29はそれを推し進めるエンパワーメントなメディアにしていきたいと思っています。

ーなぜユニークさを発揮できないようになると考えていますか?

ユニークさと表裏一体ではありますが、100人100通りの悩みがあり、他人軸と自分軸の狭間で葛藤しているんじゃないでしょうか。「本当は自分の判断に従って生きたいけど、親や友達が反対しているから一歩が踏み出せない」「そもそも、自分の軸が何なのかわからない」といった悩みがあるように感じています。

ーその悩みを、U-29でどのように解決していきたいですか?

まだまだ模索段階ですが、「コミュニティ」という形を取っていることがその解かもしれません。「10~20代が本来のユニークネスを取り戻していけば、日本という国がもっと元気になっていくんじゃないか」と考えていて、それを阻害しているものを探りたいですし、コミュニティ内での情報共有がその第一歩だと思っています。

ー「日本という国が元気になる」というのがワクワクしますね。インタビューはどのような位置づけなのでしょうか?

個人の働き方に着目して伝えることは、大きなヒントの一つになると思うから、色んな人のストーリーを発信して、U-29世代のケーススタディの手段となるようなインタビュー&記事にしていきたいです。100人100通りの、いわゆる「人生コレクション」ですね。会社員になる人もいれば、起業する人もいるし、大手に行ったけどベンチャーに行ったり、副業をしたり。色んな人生があっていいと思っていますし、その全てをヒントとして提供したいですね。

ユニークネスな環境が次世代リーダーを生む、そんな実験場に

ー2019年10~12月を経て、2020年1月より「ユニーク大学」と名称変更されました。その背景を教えていただけますか?

僕の中では、前年の3か月間は試運転期間と位置づけていました。多くの記事を公開できましたし、何より本当に多くのU-29世代に出会うことができ、大変充実した3か月間でした。試運転を経て、皆さんに何を提供したいか?を改めて考えてみると、「10〜20代が本来持っているユニークな才能(ユニークネス)を発掘し、磨き上げ、価値を創発する共創型の学びの場」だったんですね。それを踏まえて、本コミュニティが「どんな場であるか?」をワンワードで表すと、「学び場」となりました。というわけで、2020年1月をもって、名称もシンプルに「ユニーク大学」に変更することにしました。

ー一層磨きがかかったネーミングであると感じました。メンバーにはどんなことを大切にしてほしいですか?

ユニーク大学のコアコンセプトを以下の3つに定めました。

  • Action Driven:考動ドリブン、アウトプットファースト。
  • Be Unique:自らのユニークネスを発掘・発揮し続ける。
  • Change yourself:自分自身を絶えず変化させ続ける。

何より大切にしてほしいのが「Be Unique」。誰しもが「ユニーク」な存在であることが大前提で、そのユニークネスを発揮して社会に新たな価値を生み出し、次世代を引っ張ってもらいたいからです。
そのために重要なのが「Action Driven」。絶えずインプットし、思考を回し、そしてアウトプットし続ける。アウトプットの引き金としてこのコミュニティを活用してほしいですね。
最後に「Change yourself」について。ユニークネスを発揮し、自分のモノサシで生きていくために、過去のモノサシを健全に捨てていく。そうやって、変わっていく自分を肯定し続けてほしいなと思います。

ーABCで綺麗にまとまっていますね!そのために、具体的にどのようなことを展開していきますか?

「ユニキャリ」などの既存のコンテンツについては、以下3つのテーマに絞っていきます。

①戦略的転職
→「逃げの転職」ではなく、ユニークなキャリア戦略に基づいた「戦略的な転職」にフォーカスします。
②持続可能な学習
→モチベーションに依存した”持続しない学習”ではなく、人生の礎になるような”持続可能な学習”を通じたユニークなキャリアづくりを特集します。
③自己成長型の複業
→単なる小銭稼ぎを目的とした「副業」ではなく、自己成長を目的とした、転職でも独立でもない「第三の選択肢」としての「複業」に焦点を当てます。

また、新しい取り組みとして、特定のテーマに絞った「ゼミ」を開講します。
「学びの場」の一つとして、U-29世代のためになるようなゼミを展開していきます。

ーリアルな「学びの場」。楽しみですね。そのために、U-29のメンバーに期待していることはありますか?

特別何かをリクエストするつもりはなく、自由かつ主体的に活動できる場にしたいと思っています。いわば「遊び場」であり「実験場」です。ユニークさを持つU-29世代が集まると何が起こるのかを知りたいですし、僕の役割は、この場で起こる活動を支援すること。既に生まれているメンバーの繋がりや部活動がその良い例です。だからこそ、「アウトプットファースト」の姿勢ではいてほしいですね。ABCのコアコンセプトを実現するには欠かせませんから。

ーありがとうございます。最後に、U-29が目指す姿と、社会に発信したいことを教えてください。

まず、コミュニティ内での次世代を担うリーダーの発掘。育成ではなく発掘です。ユニークな価値観や活動を世に知られていない人がたくさんいると思いますが、そんな人たちがこのコミュニティから世の中に出ていく、ある意味登竜門のような存在になればいいなと思っています。それに触発されて、新たなタレントが生まれるといった循環も生まれてほしいですね。

ー誰もがその可能性があるということですね。それを実現するために、ユニーク大学はどういう姿でありたいですか?

そもそも僕は、ユニークネスは誰もが持っていて、それが発揮できているかできていないかの違いだと思っています。「ユニーク大学にいるから自分のユニークネスに発揮できている」と思ってもらえるようにしていきたいですね。

(取材・文/山本恵理子、取材・編集/角田尭史、写真/渡辺健太郎、デザイン/矢野拓実)