様々なキャリアの人たちが集まって、これまでのステップや将来への展望などを語り合うユニークキャリアラウンジ。第632回目となる今回は、小杉山浩太朗(こすぎやま こうたろう)さんをゲストにお迎えし、現在のキャリアに至るまでの経緯を伺いました。
総合人材サービス企業ので、SDGsの実現責任者を務める小杉山さん。ビジョンに悩んだ高校時代や海外での学生生活、現在のお仕事の内容についてお話していただきました。
「SDGsと経営との橋渡し」を、国内外へ発信中
ー簡単に自己紹介をお願いいたします。
Adecco Group JapanでHead of SDGs(SDGs経営実現責任者)を務めている、小杉山 浩太朗と申します。Head of SDGsは、簡単にいうと、SDGsと経営との橋渡しをする役割です。Adecco Group Japanでは、経営の根幹にSDGsを反映させる仕事をしています。
ーSDGsと経営の橋渡しとは、どのようなことを行うのでしょう?
大学卒業後、2020年にジョインした際は、当時設計中であった2021年から2025年までの中期経営計画にSDGsを反映させることがミッションでした。
SDGsを軸に経営をデザインしていくことを中心に注力しました。戦略は立てて終わりだけでなく、施行されることが大切なので、そこにも気を配りましたね。
ーAdecco Group Japanの外へも発信を行なっていると伺いました。
Adecco Groupの事業のひとつが、人財に就労機会をもたらす紹介や派遣の事業です。ここを通じて接点を持ったクライアントのうち、SDGsの実現に共感したクライアントへ、SDGs経営の実現コンサルティングを行なっています。
具体的な内容としては、大手企業の経営層やSDGs経営実装のリードを担う社員の方々などとの実行社員とのセッションです。
また、Adecco Group JapanはグローバルでもSDGs経営実装が発展している拠点なので、日本で行なっているSDGs施策を本部や他国に発信もしています。日本同様の取り組みを、他国でも展開できることを目指した取り組みです。
ーAdecco Group Japanの社会課題解決に向けた取り組みを教えてください。
現在、気候変動をはじめとする大きな社会課題が問題視されています。
Adecco Group Japanでは、自分たちだけが儲かっていて、社会で誰かが取り残されている状況は好ましくないと考えています。今後どのようにSDGsを実現できるかを議論した上で、社会全体のムーブメントや土壌を作ることが使命と考えています。
「なぜ学ぶのか」に悩んだ学生時代、そして海外へ
ー学生時代は、どのように過ごされていましたか?
小学校から大学までの一貫校に入って楽しく生活していました。中学2年生あたりで、勉強について「なぜ学んでいるのか?」がわからなくなってしまって。「なぜしたいのか」がわからず、生活に目的がないと気付いてしまいました。
勉強する意味から、生きる意味に至るまで、1年近く模索を続けていました。学生生活を楽しく過ごしてはいたものの、虚無感を感じる日々でした。
ーそこからなにか変化はありましたか?
17歳のとき、世界中から生徒を集めるカナダの全寮制学校、UWCに進学しようと決めました。自分がなぜ勉強するのかわからなくなったとき、自分の中には「世界を良くしたい」という漠然としたビジョンがあると気付きました。
UWCの存在意義は「世界中から生徒を集め、ともに生活し学ぶことで、相互理解を醸成し、世界平和につなげる」ことです。まさに自分の目指すところそのままだと感じました。
ー自分のビジョンに一致する学校を見つけたんですね。
はい。当時通っていた学校を退学して、UWCへの進学を決めました。進学資金には、経団連の中にあるUWC日本協会を通じて出願し、経団連加盟企業からいただいた奨学金を使いました。
UWCは元々イギリスで設立された学校で、現在世界に18校あります。その中でも2番目に古いカナダキャンパスに、日本代表として派遣していただきました。どこの都市に行ってもUWCの卒業生がいて、世界中で同じビジョンを持つ仲間と繋がれることが魅力ですね。
ー世界に目を向けることになったきっかけはありますか?
私の母も留学経験があり、幼い時に世界や英語の文化、多様性に触れて欲しいとの思いがあったようです。
私は幼稚園のとき、短期間インターナショナルスクールに通っていたこともあって、英語を主言語として人と触れ合っていた時の楽しさをうっすらと覚えていました。
Adecco Group Japanとの出会いは、大学時のインターン
ーカナダからの進学先はニューヨーク大学(NYU)を選ばれたそうですね。
UWCでは、世界を自分の目で見てみたいと思って生活していました。世界中から集まってきた、政治的・経済的状況が全く異なる仲間との生活は刺激的でした。
世界の仲間と学ぶにつれて「世界が直面している課題について、どのように対処しているかを学びたい」と思うようになりました。当時は国連に興味があったので、国連の近くのニューヨークで、国際関係学を学ぶことに決めたんです。
NYUは、多様な学生が集まるキャンパスが世界中にあり、海外のキャンパスに通えるプログラムもあります。大学在学中に、どこかの国のキャンパスに行って、また違う国の文化も理解してみたいと考えました。
実際に在学中の1年間はスペインに留学して、現地の人が「今」を楽しみながら生きている姿に感銘を受けましたね。
ーAdecco Group Japanとはどこで出会ったのでしょう?
大学2年生のとき、Adecco Groupが主催する、CEOを1ヶ月間体感するCEO for one monthというインターンイベントがありました。そこで日本部門の代表に選ばれ、CEOとして業務をしました。
現場社員に同行し、業務に取り組むにつれ、いくら素晴らしいビジョンを持っていても、業務との繋がりがないと空回りしてしまうと感じました。理想を実現していくために、自分は何ができるか考えることの重要性を学びました。
ーそれでは、卒業後には、そのままAdecco Group Japanに進もうと決めていたのでしょうか。
2019年夏頃は、このままアメリカへ住み続けて、大学卒業後に国際機関へ就職しようと考えていました。
根本的な課題の発生源である社会活動について「誰一人取り残さない」というSDGsの観点に対して、多くの企業への呼びかけは、国際機関からの方が有効そうだと考えたためです。
しかし2020年にコロナが発生し、NYUもキャンパス閉鎖が始まり、日本へ戻ることを決めました。母国に対して、自分が何をできるか考える時期なのかと思いました。