就職は理想の働き方を実現するための手段だった。本業と副業を両立させるえるもの働き方

色々なキャリアの人たちが集まって、これまでのキャリアや将来への展望などを語り合うユニークキャリアラウンジ。第90回はWeb広告会社で働きながら、ライター・ブロガーとして働かれているえるも(石橋萌)さんです。

現在は本業で新規事業の立ち上げを行なっているものの、昔は英語教師を目指していたというえるもさん。その後就活中の気づきを経て現在の職場を選ばれ、パラレルキャリアという選択肢を考えたそう。30歳までにえるもさんが実現したい働き方や本業と副業との両立に関するお話も聞かせていただきました!

自身の経験から生まれた新規事業キャレア

ーまずは現在のお仕事について教えてください。

株式会社ファンコミュニケーションズで新規事業の立ち上げを担当しています。現在は女性向けのキャリア相談サービス「キャレア」と副業サービスの立ち上げを行なっています。また、本業とは別にライターとメディア運営をやっています。

ー新サービス「キャレア」についてもう少し詳しく教えていただけますか。

キャレアはキャリアに悩む女性が、女性メンターにキャリアの相談ができるサービスです。私自身が就活時代、キャリアに悩んだことからこのサービスの立ち上げを始めました。女性は結婚・出産などでキャリアを諦めている人が多い印象がありますが、諦めたくない人が、少しでも自分に合った、自分が理想としているキャリアを歩んでいる先輩と出会えたらと思っています。また、メンター側の方にもメリット・モチベーションにもなるようサービスは有料にしました。

まだスタートしたばかりのサービスにはなりますが、本当に必要としている人がいると思ったからこそ始めたサービスです。女性の次の行動までの後押しになっている実感があり、手ごたえを感じています。

ーいっぽうでライター・メディア運営もしているとのことですが、こちらはいつ頃から始められたんですか。

大学時代からアメブロ等を利用してブログを書いていましたが、一昨年の5月頃から本格的にブログの収益化を始めました。ライター業は、知り合いの紹介で一昨年の8月頃から始め、昨年の秋頃から本格的にライターとして仕事を受けるようになりました。

大学時代は英語教師を目指していた

ー少し過去を振り返ってこれまでの経緯を聞けたらと思います。どんな中高時代を過ごされていたんですか?

中学ではバレー部に所属し、部活漬けの毎日を送っていました。と同時に英語塾で海外ホームステイのチラシを見たことや当時ペンパルが流行っていたこともあり、海外の人と交流したいという思いが漠然とありました。

そんな思いが募り、高校は国際科に進みました。ディベートに参加したり、フランス語を勉強し始めたりと海外への憧れはどんどん強くなっていました。当時はフランスに住みたいと思っていましたね。

ー海外への憧れはその後も続いたのでしょうか。

はい。大学では留学をしたいと思っていたので、立教大学の異文化コミュニケーション学部に進学しました。実は両親にずっと留学に行きたいと話していたのですが、お金もかかるし、必要ないと言われてきていたので、両親には秘密で留学が必須だったこの学部を選んだんです。

ーなるほど(笑)そして無事、留学を果たしたんですか?

大学2年の時にイギリスへ留学しました。当時は英語教師を目指していたので、英語力を磨くためにフランスではなくイギリスを選びました。念願の留学生活は非日常を感じられて楽しかったですが、同時に挫折の経験にもなりました。思いのほか言葉の壁があり、自分らしさが言葉でうまく表現できないことにストレスを感じて家に引きこもっていた時期もありました。

これがきっかけとなり、英語教師の免許はとったものの英語の先生になりたいという思いは消えました。

就活の軸は「30歳になったら移住できるか」

―ではその後普通に就職活動されたんですか。

はい。就職活動は結構苦労しました。小学生にプログラミングを教えるアルバイトをしていたのがきっかけで、ITベンチャー企業を中心に就活をしていました。3月頃に内定をいただいていたのですが、「その仕事って本当にやりたいことだっけ?」と考え直し辞退。

再度就活をする時に改めて自分の軸を考えてみたんです。「私が本当にやりたいことってなんだろう?」と考えた時に、将来は場所や時間に縛られない働き方をしたいと思ったことと、30歳までに福岡に移住したいと思ったこともあり、就職活動の方向性をシフトしました。

―その結果、現在の会社に?

はい。当時自分の好きで得意なことといえばライティングだったので、30歳になったらブロガーになって福岡に移住しようと思いました。そのためにはどのような会社に就職したらいいかを考えた時に思いついたのが、アフィリエイト(ASP)の会社で働くことでした。アフィリエイトのコツなどブロガーに必要な知識を身につけられると思ったんです。

―就職は目的ではなくて手段だったんですね。実際入社してみてどうでしたか。

入社してすぐはアフィリエイト広告の新規営業を担当していました。テレアポが苦手だったので苦戦しましたが、自分にあった営業スタイルを見つけた結果、新卒の中で1番の営業成績を取ることができました。

―どのような営業スタイルで受注数を上げられたのでしょうか。

テレアポといえば、たくさん電話をかけるほど成果が出ると言われていましたが、私は電話するのが苦手だったので、アポ率を上げることに集中しました。

まずは電話をかける前の段階で業界を絞り、その業界でどのような広告がでているかを分析。電話をかけ、同業他社の広告状況を説明し電話で広告提案をしてアポをとるようにしていました。その結果、電話をかけた数は少なかったですが、かけた電話に対するアポ率が高くなり、結果的に受注数も高くなりました。

社外にも目を向けて本業に活かす

―そしてその後現在の新規事業の担当になられたんですね。

はい。ちょうど会社に新規事業を作る部署ができるタイミングで異動となりました。当時は人生の中で一番モチベーションが高く、朝活などのイベントなどに積極的に足を運んでいました。それが会社側からは行動力があって社外にアンテナを張っている人材と評価され、新規事業にぴったりだと思っていただけたようです。

ー具体的にはどのようなイベントに行かれていたんですか。

朝渋という朝活コミュニティに参加していました。友達に誘われて行き始めたんですが、このコミュニティに参加して夜型から朝型になりました。朝に起きるのが得意になったわけではなかったのですが、朝に会いたい人ができたこと、朝の時間が有効活用できると気づいたことで、新しい生活の選択肢が追加されました。また、必要となった時に思い出してもらえるように自分が何をしているかを出会った人にアピールしていたことで、イベント等での出会いがお仕事に繋がったこともありました。

―しっかりとイベントでも種まきをされていたんですね!新規事業の立ち上げを始めてみていかがでしたか。

プロダクトオーナーとして新規事業を立ち上げるのは想像以上に大変でした。やりがいが1なら、大変さは9くらいですね。現在3つの事業でベータ版をリリースしましたが、それまでに様々な企画案を出してきています。

―これまでどのようなサービス案を出されてきたのでしょうか。

最初は美容師事業に取り組んでいました。例えば、朝から美容院に行きたい人がいるのではと思い、朝から行ける美容室予約サービスを作りました。これはターゲットがニッチすぎたため、ユーザー数が伸びずクローズしてしまいました。他にも美容師専用SNSアプリなどの企画もありましたが、インスタグラムの劣化版になるとのことでボツに……その後、新しくキャレアを提案し、これがリリースにまで至りました。

本業と副業との両立

ー本業だけでも忙しいそうなという印象を受けましたが、副業をする余裕はあるのでしょうか。

正直なことをいうと本業と副業の両立は大変ですね。最近は土日を挟んだ納期でお願いして、週末にまとめて副業はやっています。それでもライティングのスキルはキャレアのメディア運営にも活かせていますし、自分自身が副業をしているので副業する立場に立ってサービスを開発することができています。また、会社外での仕事の経験は新規事業のアイディアに繋がることもあり、相乗効果が生まれることも多いです。副業が本業にもたらすメリットは大きいので今後もこの働き方を続けるつもりです。

―週末もお仕事は本当に大忙しですね。

はい。その分、これからもっと本業の生産性と効率化を上げていきたいと思っています。これまでもいくつか効率化を目指して取り組んできました。例えば、何の作業に何時間かかっているかを見える化すること。TO DOリストを毎日作成し、考える時間を減らすこと。また、新規事業は終わりがないので1日でやると決めたことを決めて、そこまで達成できたら意識的にその日の仕事は終わりにするようにもしています。

―30歳までに福岡へ移住という目標は変わらず、ですか。

移住したいという目標は変わっていません。もしかしたら30歳まで待たなくても移住できそうです。ブログで月20~30万稼げるようになったらその時点で移住をしようと考えていますね。ただ、移住先は福岡にもう限定はしていないです。食べ物がおいしいところに移住できたらなと思っています(笑)

―そのほかに、今後挑戦してみたいことなどもあるのでしょうか。

人のキャリアにも興味があるので、採用広報などのお仕事もしてみたい気持ちはあります。新規事業でやっているファン作りの知見とライティングのスキルを掛け合わせてできる仕事にチャレンジもしてみたいです。ただ、その時々にやりたいことをやればいいかなとも思っています。また1年後に答え合わせするのが楽しみです。

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取材:西村創一朗(Twitter
執筆:松本佳恋(ブログ/Twitter