デザインの力で課題を解決!渡邊優に学ぶ、人生における“縁”とは

様々なキャリアの人たちが集まって、これまでのステップや将来への展望などを語り合うユニークキャリアラウンジ。第620回目となる今回は、株式会社縁のCEO・渡邊優さんをゲストにお迎えし、現在のキャリアに至るまでの経緯を伺いました。

人材業界からクリエイティブ業界にキャリアチェンジを果たし、現在は株式会社縁でCEOを務めている渡邊優さん。予期せぬ転機に遭遇するなかでも、縁を大切にする理由を伺いました。

デザインの力で経営課題を解決したい

ーまず最初に、自己紹介をお願いします。

株式会社縁の代表取締役社長の渡邊優です。新卒で人材広告会社でフィールドセールスを経験し、その後は商業空間や展示会、Webなどクリエイティブ全般のディレクション業務に携わっていました。

シードフェーズからナショナルクライアントまで、経営課題をデザインの力で解決する仕事をしています。

2020年にフリーランスとして独立し、お客さんによって自分のポジションを変えながら、マーケからデザイン、プロジェクト推進要員として多方面から企業の課題解決に従事しています。

昨年、クリエイターに特化したフリーランスのマッチングサービス事業『株式会社縁』を立ち上げました。今はフリーランスと法人を持ちながら、二足の草鞋での活動です。

ーデザインの力で経営課題はどのように解決できるのでしょうか。

デザインの力で経営課題を解決するといってもピンとくる方が少ないのではないかと思います。前提として、私はデザインを「課題を解決する手段」だと考えています。

これまでの人生の中で、職種を変えながら様々なお客さんと出会う中で、日本には優れた技術やサービスを持っている会社が多いと実感しました。しかし、それと同時に、日本の企業は自分たちの技術やサービスをはじめ、自社の魅力について、相手(消費者)に伝えることが得意な会社はそう多くない事実にも気づかされました。

アウトプットの形は様々です。例えば、魅力を発信するためにはWebサイトやプロダクト、サービス紹介資料などがあります。

情報の受け手のニーズを踏まえながら、わかりやすく「伝わる」かたちでアウトプットしていくことは、企業のブランド価値を向上させる上で重要なことです。

経営戦略においてわかりやすく伝えるためのデザイン視点を取り入れていくことは、ビジネスの成長において、売り上げに直結する部分だと思います。

お客さんの経営課題に寄り添いながら、ビジネスのデザインを支援するサービスをを作れないかと考え、これまでの私の人生やノウハウを生かして、今のサービスを誕生させました。

震災をきっかけにマーケティングが学べる大学に進学

ー進路について18歳のころに転機があったと伺いましたが、どのようなことがあったのですか。

18歳のときは私がまだ高校生ぐらいの年齢でした。幼少期から正義感の強い警察官に憧れ、卒業後は警察官になりたいと強く夢見ていました。

しかし、ちょうど東日本大震災に遭遇し、受けようと思っていた警察官の採用枠がなくなってしまいます。震災の影響によって採用が一旦クローズになり、同時に自分の進路にも迷い、そこではじめて警察官以外の人生について、模索しはじめた記憶があります。

地元が、水も電気も通らない状況に加え、追い討ちをかけるように、原発の風評被害に遭い、生まれ育った故郷が悲惨な状況に陥っていました。

何か自分の力でこの状況を変えられないかなと思っていたときに、当時生きる上で頼りにしていた、テレビやニュース、ラジオから発信される情報に感化され、メディアの持つ力に可能性を感じたのです。

メディアを通じ、人々が受ける影響の大きさや情報の重要性を考えたときに、自分も情報を発信する側になって、地元を蘇生したい感情が芽生えました。

そのためには、情報発信までのプロセスや広告やマスについて学ぶ必要があるなと考え、マーケティングを学べる大学に行こうと進路転換をしたのがターニングポイントです。

ー夢だった警察官から大学進学に進路変更する中で、どのように進学先を選んだのでしょうか。

生まれ育った地から、少し環境を変えたところでいろいろな刺激を受けたい気持ちがありました。あと、大学にどうしても学びたい教授がいました。

マスコミや広告、メディアに関心を持ち始めたときに本屋で様々な書籍を購入しましたが、重複して同じ人の本を買ってることに気づいたのです。WEBで検索をしたら大学の教授だとわかり、この人のいるところで勉強したいと思ってチャレンジしたのです。

警察官になるための公務員の勉強しかしていませんでしたが、その教授に、地元福島の復興のための企画書とプレゼンテーションを行うアドミッションオフィス型の試験を受け、なんとか進学を果たしました。

ー大学ではどのような日々を送っていましたか。

大学生でしたが、当時から会社(※ブラック企業)みたいなゼミナールに所属していました。マーケティングコミュニケーションといわれるゼミナールですが、いわゆる企業課題をマーケティングの力で解決します。

学生ながらに企業コンペに参加する機会をいただき、企業から課題をヒアリングしながら、学生目線から解決のための施策立案を行っていました。市場調査やSWOT分析、有識者ヒアリングなども実施しながら、毎晩遅くまで没頭していたゼミです。

ー大学生でありながら、知らない世界に飛び込むことに不安はありませんでしたか。

「社会人から見た学生ってどう見えているのだろう?」と、有識者をはじめ、大人等とコミュニケーションをとる上で常々考えていました。

でも自分たちが真剣に思いや熱意を伝えると、関心を持って、そして時には対等な目線で自分たちと向き合ってくれるのだなと感じました。

なんとなく、現代の風潮的に社会に対するネガティブな情報が多く、社会に出たら大変なことがいっぱいあるのだろうなと悲観的に捉えていた時期もあります。

しかし、早い段階で社会人とコミュニケーションを取る機会をいただけたことで、漠然としていた社会の壁が打ち砕かれた感覚がありました。

それまでは、社会は「得たいの知れない何か」のイメージでしたが、組織は人でできていることを肌で感じられたのがすごくいい経験でした。

元々初対面の人や新しいチャレンジに怖気づくタイプですが、人との出会いに貪欲になる精神はゼミナールで培われたように思います。