キャリアの逆算で選んだ東大。僕の選択は「目標思考」ではなく「目的思考」

入社3年目にし、すでに大手企業とベンチャー企業の両方を経験した薮さん。

現在勤めている「株式会社POL」では、未経験の営業で実績を積み上げ、2019年は営業責任者として営業部を率いるようになりました。今後は、新たな挑戦として人事責任者として採用/組織の基盤づくりに携わります。

また、志望校を東大にした決めては「将来のキャリアからの逆算」とのこと。

今回は薮さんの目的思考をベースに、これまでのキャリアや若手から成果を出すためのハックをお伺いしていきます。

 

薮大毅:1994年大阪生まれ。2017年新卒でNTTドコモに入社し、出向先のドコモ・ヘルスケアにてヘルスケアビジネスのプロダクトマネジメント及び新規事業の創出を行う。2018年12月に友人が創業したLabTech企業のPOLに転職し、2019年12月まで営業責任者として営業組織の立ち上げを行なったのち、現在は人事責任者として人事制度制定や中途採用、人材育成を担っている

東大を目指したきっかけは「経営コンサル」になるための逆算だった

ーー東大を目指した背景が「キャリアからの逆算」と聞きましたが、詳しくお聞きしたいです。

薮:受験生の頃、当時就活生だった姉がいたこともあり「四季報」が転がっていました。それが、自分の将来や人生を考える機会になったんです。

「どんな職に就きたいか?」を考えながら四季報を読んでいたら、結果的に「経営コンサル」に辿り着きました。ワクワクしていましたね。

そこで「どの大学行ったら1番行ける可能性が高いのかな?」と考えたときに、東大だったので、志望校を東大にしました。

つまり、「東大に行く」を目的にするのではなく、「経営コンサルになるために東大に行く」にしていました。

ーー高校生でそこまで先を見据えられるってすごいですね。最終的に目指していたキャリアは変わったと思いますが、何かきっかけがあったのですか?

薮:大学生時代高校のOB会に参加したのですが、そこでベンチャー企業を知りました。

ベンチャー企業の方の講演を聞く機会があって、ビジョンなどを熱く語っていて。「おもしろそうだな…」と思ってインターンに参加して、そこからベンチャーの世界に飛びましたね。

実際にインターン先として、フォースバレー・コンシェルジュからはじまり、エス・エム・エス、楽天とお世話になりました。

ベンチャーでのインターンで閉じられた世界だと知り、大手のNTTドコモへ入社

ーーさまざまなインターンを経験し、ベンチャーの魅力も知っている中であえて大手を志望した理由は何でしたか?

薮:1番大きかったのは、「世の中を変えるには大手企業の変化が必要だな」と感じたからでした。ベンチャーは見方によっては、閉じられた世界のようにに思えて。よく、スタートアップ村と言われたりしますよね。

また、「大手の世界を知りたい」と思ったのもあります。なんとなく「大手=堅い」や「大手=変化を恐る」って認識がある中で、本当かどうかを一次情報で体感してみたかったんです。

ーーなるほど…!大手企業の中でNTTドコモの決めては何でしたか?

薮:当時から変わらないのですが、「人との出会い」を重要としていました。

ドコモは、人と人をつなげる文化を作りあげた会社なので、今後も「新しいコミュニケーション文化を創造する」というミッションを軸に掲げていた会社だったんです。

他にも、学生のフラットな社風が魅力的でした。学生の僕が「こんなことをやりたいのですが、一緒にやりませんか?」と言った時も「いいね、やろうよ!」と言ってくれて、すぐ動いてくださったり。

一般的な大手の印象と大きく異なった点も、魅力的に映りましたね。

ーー実際に入社してみて、自分の仮説はあたっていましたか?

薮:正直、正しかったこともそうでなかったこともあります。

すこし物足りなかったところは、上司がオープンマインドであるにも関わらず、それに対して貪欲に機会を取りに行く若手少なかった気がします。せっかくのチャンスを「若手だから」と遠慮してる人が多い印象でした。若手だけではなく、カルチャー全般にあったかなと思いますね。

ただ、つながりや人には恵まれていました。今でも、ドコモと仲良くさせてもらっていますし、ドコモと仲間は大好きです。

アフリカのサバンナで今後のキャリアに疑問を抱き、ベンチャーの「POL」へ転身

ーーそして、大手のドコモからベンチャーのPOLへの転身。どういったきっかけがあったんですか?

薮:ちょっとアホらしいかもしれませんが、夏休みにアフリカのサバンナにいて星を撮影していました。その時にふと、「20年後にどうなってるかな…」って考えてたら、ドコモでの20年後がなんとなく想像できたんです。

正直、20年後には「ドコモを上手く動かせる人間になっている」という所感はありました。ただ、僕がドコモに入った理由は「ドコモを動かす」というより「世の中にどう価値提供していくか」だったんです。

そういう自分にどうやったら近づけるんだろう、ってことを考えたのが1番のきっかけですね。

ーーなるほど。数多くのベンチャー企業がある中で「POL」を選んだ理由はなんでしたか?

薮:大きく2つあります。まずは「このメンバーと一緒に働きたい」と強烈に思ったことです。代表は学生からの知り合いで、メンバーにも何人か知り合いがいたんですが、「今のメンバーと本気で働くには今しかない」なって。

もう一つは、POLの事業や今後の展望が、世の中を確実に前に進めている事業だと確信を持てたことです。僕は「社会にどう貢献していけるか?」を常に考えていて、自分が携わっている会社と事業で世の中に価値提供したかったんです。

POLは自分の想いと環境が合致していて、「ここで自分の人生を投資したい」と思い、しました。まったく迷いがありませんでしたね。

大手企業とベンチャー企業のギャップに苦しむも、責任者まで登りつめた

ーーその後、実際に入社してみてどうでしたか?入社前と後でギャップなどはありませんでしたか?

薮:正直、最初はしんどかったですね(笑)。やはり、大手とベンチャーでは仕事環境や任される量も大きく違いました。

例えば、大手は「信頼貯金」がありますよね。一方でベンチャーは全くないと言っても過言ではなく、1から基盤を作っていかないといけない。

また、僕は社員12人目で入社して、本当にカオスな状態でした。営業として入って、初日からテレアポ100件とかこなしていましたね。

大変でしたが、地道にコツコツと頑張ることで、最終的には営業責任者に就任できました。

ーーすごい…若くして責任者になったんですね。苦労もたくさんあった中で、成果を出すためにしていた工夫はありますか?

薮:実は営業がはじめてで、たくさんの方に助言をいただきながら、手探りで試行錯誤していました。僕自身「数値化して分析する」することで効果がでてきましたね。

電話してから受注するまでのプロセスごとに数字化し、誰がどこで上手くいっていて、誰がどこで未達なのかを可視化した上で、PDCAを回す。これをひたすら繰り返していました。

また、「数字必達の文化づくり」も意識していましたね。決められた電話数や訪問数などのノルマが未達だと恥ずかしいみたいな文化作りは第一にしてました。

実は、2020年1月から「営業責任者」から「人事責任者」へチェンジします。採用の土台づくりにまずは注力し、POLに貢献できるように努めていきたいです。

成果に貢献してくれたのは「人・環境の変化」と「目的意識」

ーー今まで結果を出し続けた薮さんですが、「成果を出すためのライフハック」ってありますか?

薮:僕は人に会いに行ったり、会う人を適度に変えることがとても重要だと考えています。

僕のこれまでの人生を振り返ると、誰かの助言だったりコミュニティでの出会いが、大きなターニングポイントになっていて。

例えば、僕は過去に自分で飲み会を主催していたこともありました。環境を自ら作ることもとても有意義な時間になるかと思います。

ーーなるほど…!あと、変化が激しい今だからこそ、学び続けるってとても大切だと思っていて。薮さんがおすすめする「学習ハック」ってありますか?

薮:常に意識しているのは「学ぶことを目的化しない」ことですかね。

「しないといけない」って駆られると、その反動で人ってやりたくなくなるんですよ。僕は過去に「営業を学ばなきゃ…」って思った瞬間、嫌になってしまいました(笑)。

なので、まずは「なんで学ぶ必要があるんだっけ?」と、常に目標と目的を視野に入れる。その後に「結果を出すために必要だから知りたいよね?」と好奇心を煽り、自然と取りに行けるようにマインドセットをしています。

将来は「可能性を広げられる人」でありたい

ーーでは最後に、今後チャレンジしていきたいことがあれば教えてください。

薮:「可能性を広げられる人」でありたいですね。

せっかく世の中に生まれたからこそ、自分の枠組みを超えた人に会いに行ったり、自分が見たことないところに実際に赴いて記憶に残し、色んな人に伝えていきたいです。

プライベートの話になりますが、実は最近、結婚しました。身近な例で言えば、まずは自分の可能性と器を広げていって、ゆくゆくは奥さんや子供にも、可能性に富んだ人生を歩んでもらえるようにアシストできればと思っています。

そんな人生を歩んでいきたいですね。

取材:西村創一朗
文:ヌイ
写真:橋本岬
デザイン:矢野拓実