あなたの個性を大切に。モーションデザイナーの渦原諒之介が考える、生きる上で大切にしたいこと

様々なキャリアの人たちが集まって、これまでのステップや将来への展望などを語り合うユニークキャリアラウンジ。第973回目となる今回は、渦原 諒之介(ウズハラ リョウノスケ)さんをゲストにお迎えし、現在のキャリアに至るまでの経緯を伺いました。

モーションデザイナー兼アーティストとして活躍中の渦原さん。幼少期のエピソードやこれまでのキャリア、U-29世代へのメッセージなどをお話していただきました。

目指すのはナンバーワンでなく、オンリーワン

ー簡単に自己紹介をお願いいたします。

渦原諒之介と申します。フリーランスとして独立して、今年で4年目です。

モーションデザイナーとして、企業の広告映像制作を中心にPRやWeb広告、ミュージックビデオなど幅広く映像コンテンツを作っています。また、昨年からは音楽などのクリエイティブ関連のお仕事も始めました。コロナ禍も落ち着き始めた昨年末頃からは、音楽ライブや配信にも興味を持ち出しましたね。

ーまずは幼少期のエピソードから教えてください。

子どもの頃は、まるで王子様のような自由気ままな性格でした。母が外国人で、英語や海外の文化がつねに家庭内にある環境で。周囲からは「英語が話せてすごいね」と言われて鼻高々でした(笑)。

親の影響で、幼少期から海外と日本を行き来する生活でした。日本では、個性を大事にする僕とはあまり関わりたくないという人もいれば、バックグラウンドを気にせず近づいてきてくれる人もいました。幼少期は個性豊かな人ほど良いと思っていましたが、いろんな人と関わって育つにつれて、今は人それぞれの価値観に合わせて生きるのが一番だと思っています。

ー個性を大事にする性格だったのですね。

中高一貫に入学してからも同じような性格でした。中学校では、テニスが得意な父親の影響で硬式テニス部に入部しました。中学時代にたまたま全国大会に出場したり、スクールでしっかり教育を受けた人たちに次ぐ実力があったりしたので、特に引け目を感じる機会もなかったんです。

高校でも硬式テニス部を続けたところ、より体育会系の厳しい部活になって。個々の価値観を大切にする僕には合いませんでした。僕はナンバーワンでなく、オンリーワンになりたい気持ちが大きかったんですよね。

テニス以外にも目を向けたいなと思い、周囲も部活を辞める人が多いタイミングの高校2年生の秋で退部を決めました。もし偏差値の高い大学に入学したら、僕の個性も認めてくれる人が多いのではと思い、大学受験の勉強に力を入れることにしたんです。

ー大学受験はいかがでしたか。

第一志望は叶いませんでしたが、青山学院大学に入学しました。高校生の頃から興味のあったダンスを始めて、表現の魅力に気づいたのもこの頃でしたね。

ただ、大学入学前と実際は、大きなギャップがあり驚きました。大学はルールがなくて自由なイメージだったのですが、なんだかんだで集団主義というか、グループでつるむ人が多いですよね。

入学式でさっそくグループで固まっているのを見て、あれ?と違和感を持ったんです。高校生の頃は「大学に入ったらあれがやりたい」という話をする人も多かったのに、実際は団体行動する人が多くて、せっかく自由な環境なのに没個性だなと感じました。今思うと、やりたいことがはっきりとあって、目標に向かって一直線に進む人は、大学よりも専門学校にいたのではないかなと思いますね。

独立を選んだことで、個性を出せない環境から脱出できた

ーその後、キャリアはどう描いてきたのか教えてください。

自分の個性を生かせる自由な環境に憧れていて、自由なイメージがあるエンジニアをやってみたいと思っていました。

将来に期待しがちな性格なので、高校生の頃に大学生活へ期待していたように、会社の内定を貰ったときには社会に期待をしていたんです。ただ、残念ながら今回も裏切られる形となりました。入社してみると、個性やアイデンティティが出せない環境にギャップを感じました。

入社後に新規事業の立ち上げに関わりましたが、自分が出すアイディアは2割ほどしか通らず、アイディア自体も上司にブラッシュアップされて別物になり、さらにはリリースまでも半年くらいかかるのが現実でした。

組織で働く以上は仕方ないのかもしれませんが、入社前に抱いていたイメージや前もって聞いていた情報とのギャップが大きかったですね。エンジニアの仕事でも、1人きりで全てを完結できるわけではないと知りました。

ーそこから独立に至ったのですか。

はい。自分に何かできることはないかを考え、新卒入社した企業で魅力を知ったモーションデザイナーとして独立しようと決めました。独立する半年前くらいからは毎日3時間ほどモーションデザイン関連の勉強をしていて。楽しかったので、勉強は全く苦ではなかったです。

もちろん、独立前にはデメリットについても考えました。ただ、金銭的に不安定であっても、一度挑戦してみようと決めたんです。

幸い、独立後はとくにネガティブにはならなかったですね。自分がやりたいものへ素直に挑戦できる環境になり、表現できる喜びの方が大きかったです。独立後は知らないこともたくさんで大変でしたが、「この大変な業務も乗り越えれば自分のためになる」と信じ、納得感を持って動けました。

ー昨年、音楽活動を始めたきっかけについても教えてください。

ダンスをやっていたこともあり、もともと大学時代から気になっていたんですよね。音楽を聴く中で自分だったらもっとこうしたいと思うことが多く、それなら自分で作ってしまおうと思ったんです。

音楽活動は、表現したいからという理由で始めました。売上を出すことももちろん考えないといけないのですが、僕はそれよりも表現することが根本的に好きな人間だなと思っています