何となく選択していたら、今の自分はいない。プロサッカー選手 荒木秀介の人生観とは?

想像できない方がワクワクする!覚悟を決めた進路選択

ー就職活動については、どうでしたか?

教育大学にいっていたので、教育実習をしたのですが「すぐに教師になるというよりは、社会に出たい」と感じて就職活動もしていました。もちろん、プロのサッカー選手も目指していたので、面接では「プロを目指しています」ということを選考でも話していましたね。

就職活動については、はじめは根拠のない自信があったので、何となく「いけるんじゃないか?」と思っていました。しかし就職活動を進める中で、有名な大学の学生とグループディスカッションをすることがあり、話の進め方・考え方・まとめ方にすごく差を感じたのです。そこで自分が今まで勘違いをしてきたことに気づき、就職活動の方法を変えました。

SNSで話を聞いてみたい人に声をかけて自分の考え方をアップデートさせ、また別の人と話てアップデートさせることを繰り返しました。合計100人くらいの社会人と話したと思います。

ー焦りから、次の行動にきちんと移せるのがとても素晴らしいですね!最終的には、企業に就職するのか、プロのサッカー選手を目指すのかの選択に迫られたと思います。どのように決断しましたか?

同じ大学にプロサッカー選手になった先輩がいました。話を聞きに行くと「プロになれたらいいな、という気持ちじゃなれないよ」と厳しい言葉をもらいました。その時に、自分は本当に甘く考えていたのだな、と気づきましたね。

プロの選手を目指すか、就職するかを考えていく中で、就職したら、この年で結婚して、子どもが生まれて……と想像ができたのですが、プロの選手になった時のことは全く想像がつきませんでした。想像つかないことにむしろワクワクを感じたのです。その時企業から内定ももらっていましたが、海外でサッカーをする道を選択しました。

ープロのサッカー選手になると決めてから、何か変化はありましたか?

これからサッカーで生きていくと決めてからは、練習時間を増やし、練習外の時間も過ごし方を考えるようになったため、実際に結果にも結びつくようになりました。しかし、すごく調子もよく進んでいた中、練習中に肩を負傷する出来事がありました。再発する可能性があるため大学卒業後もサッカーをするなら手術をする方がよい状況だったのです。

手術をすると、残りの大学生期間でサッカーができなくなり、今までお世話になった先生・先輩・後輩とサッカーができなくなる。とても辛かったですが、海外でプロの選手を目指すことを決めた自分にとって、改めて覚悟が問われる出来事だったと思います。

自分で選択し、自分自身の人生を歩める人が増えてほしい

ーその後無事に手術を終えて、ドイツに渡航されました。これまでとは異なる環境に飛び込んでみて、どうでしたか?

試合中のコミュニケーションや監督から求められること、フィジカル面、身近に相談できる人がいないなど、苦しい部分はあります。しかし、プレーの面では順調にいいスタートがきれました。チームからいただくお金だけで生活するという夢も実現できています。

ー将来の展望について、教えてください!

ドイツで1番上のチームを目指して頑張っていきたいです。その一方で、明日怪我をするかもしれないし、サッカーをいつまで続けられるかも分からない。

ドイツに来てから、良くも悪くもサッカーが全てではなく、人生の中の1つにサッカーが位置づいていると考えるようになりました。サッカーを通じて学び、自分の人生への学びを得ていきたいと思います。

また、海外にきて初めて日本をいい国だと感じるようになりました。日本にいた頃には、良いと感じるより「日本はこのままで大丈夫かな」という危機感を感じることの方が多かったです。しかし、海外の方から日本っていい国だよね、と言ってもらえることが多く、自分が思っているより日本っていい国なんだと思えるようになり、日本を好きになりました。

どういう方法があるかは模索中ですが、日本に生まれてよかった・日本にいれて幸せだと日本人が思えるようなことを実現したいと思っています。

ー最後に、同世代の方に向けてメッセージをお願いします!

私自身、すごいことをしてきたわけでもなく、割とみなさんが悩むであろうことを自分も悩んできた普通の人間です。ただ自分が何も考えずに、何となく未来を選択していたら、今のドイツにいる自分はなかったと思います。しっかりと自分が何をしたいのか、そのために何を選択するのかを考えると良いと思います。

周りの目を気にして「みんながこうしているから自分もこうしよう」ではなく「自分がこうしたいから、この選択をしよう」という考え方で自分自身の人生を歩めていたら、自分が今やっていることに全力を注げると思うし、それが誰かの力になる。そういう人が1人でも増えたら、私自身の夢でもある「日本をもっといい国にする」ことにもつながります。この記事を読んだ方が何かを感じてくれていると、私もとても嬉しいです!

ーありがとうございました!荒木さんの今後のご活躍を応援しております!

取材:落合慶太(Instagramr
執筆:長瀬ちか(Twitter)
デザイン:高橋りえ(Twitter