想いを紡ぎ、地域の人材をいかし人おこしを!内閣府認定地域活性化伝道師 Time Colors Lab.代表 伊藤 晴樹

様々なキャリアの人たちが集まって、これまでのステップや将来への展望などを語り合うユニークキャリアラウンジ。第248回目となる今回は、Time Colors Lab.代表 伊藤 晴樹さんをゲストにお迎えし、現在のキャリアに至るまでの経緯を伺いました。

「人の夢を応援したい」と語る伊藤さん。そんな伊藤さんが、現在の地域おこし事業や起業をするに至った経緯や半生について詳しくお伺いしました。

「委ねるのは他人でなく自分」認めてくれた恩師との出会い

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ーまずは簡単に自己紹介をお願いいたします。

Time Colors Lab.代表 伊藤 晴樹と申します。教育人材育成を行う個人事業を今年の4月からスタートしてます。また過去に、秋田県の男鹿市で地域おこし協力隊を3年間していました。

地域おこし協力隊の時の活動は、主に移住定住の促進、イベントの企画運営や子供たちの教育をしておりました。地域作りの根本は人作りだと思っており、現在の個人事業でも人材育成を中心に事業を進めています。

ーありがとうございます!それではまず幼少期のお話から聞いていきたいと思います。

私は一人っ子で、実は引っ込み思案でした。その影響か人の性格や話してる様子を観察する機会が非常に多かったです。兄弟がいると対人関係を学ぶ機会多いと思いますが、一人っ子ですと親とのコミュニケーションだけのため、対人関係に不安がありました。人目を気にして過ごしていた幼少期でしたね。

引っ込み思案な幼少期から様々な人と関わり、私自身の良さを見つけていただいたり、面白い人と関わることでエネルギーもらえ、どんどん変わっていきました。イメージとしては私の心の氷が溶けていくイメージですね。

ー人との出会いで自分自身が変わっていったのですね。とくに印象的な出会いなどはありましたか?

1番大きかった出会いは委員会での活動と当時の先生との出会いです。私自身すごく真面目だったのですが、堅いイメージを持たれることが多かったんです。委員会をやっていく中で先生は、その真面目さを買ってくれ、「真面目でいい、それがあなただ」と客観的に見て認めてくれました

先生の言葉で、「ちゃんと大人は自分のこと見てくれてる」と思い、心を開くようになりました。

ー先生との出会いで1つの転機だったのですね。その後、中学、高校と進学されると思いますが、当時から進路に関しては決まっていたのでしょうか?

正直なところ、当時はキャリアデザインをまったく考えていませんでした。身近な存在で年上の学生、例えば大学生の方などがいる地域ではなかったので、あまりイメージが持てなかったです。自分が大学生になることや大人になることの具体的なイメージは持ってなかったです。

そのため、受験の時期はとても苦しかったです。田舎の方ってなると競争ってあんまり正直ないんです。しかし、いきなり受験となった瞬間に「競争」の文字がちらついてマイペースの私にとっては、とてもストレスでした。

ー葛藤を乗り越えて高校に進学した後、秋田大学に進学されているようですが、大学選択の背景をお伺いできますか?

大学受験のときは研究者になりたいと思っており、大学院までいくつもりで秋田大学に進学しました。中学自体のライフプランが決まっていなかった時とは打って変わって、高校3年間はしっかり考え、準備をしていました。

「委ねるのは他人ではなく自分」と思い、自分でこれからを作っていかなくてはいけない気持ちになってましたね

地域おこし事業に触れ、自分の将来について考える

ー進学されたあとはどのような大学生活を送られていて、今の活動に繋がるようなきっかけがあっったのでしょうか?

私は出身が秋田県北部だったのですが、大学が秋田県北部の出身の高校生と大学生を集めて、ローカル鉄道とかの利活用や未来を考えるようなワークショップを企画していたのです。ローカル鉄道のワークショップに参加させていただいたことがきっかけで、地域を見つめ直す機会になりました。地方大学の良さだなと思いましたね。

その後、ほかのプロジェクトにも参加させていただき、地域の方と接する機会が増えました。活動地区が母の実家があるエリアだったので、幼少期通っていたのですが、大学生になった自分が同じ地域に入ると、知らないことがたくさんあり、表面的な情報でしか地域を見てなかったことを考えさせられましたね。

地元秋田県について、田舎だけれどもいろいろな良さがあることを肌で感じることができて、地域を活性化する活動っていいなと思ったきっかけでした。

ー在学時に地域貢献団体を設立されたことが転機になっているとお伺いしたのですが、活動内容を具体的にお伺いできますか?

学生を受け入れてくれる地域を募集して、社会科学系の地元学のようなフィールドワークやワークショップのような学びの場を提供する活動をしていました。雪祭りお手伝いや地元特産品を販売など常時学生が地域に溶け込むような機会を作らせていただいて、コーディネーターやパイプ役をしていました。

私は秋田県出身で地元の大学進学しましたが、他の地域から進学してくる学生の方も多いんです。大学が秋田県の中央に固まっているうため、大学4年間で秋田県全体のことをあまり知らずに卒業してしまう方がほとんどでした。

私は地元民として、もっとローカルな故郷を知ってもらいたい気持ちがあり、知ってもらうためのルートができれば、私が卒業したあとも学生さんたちが各自で地域に入り込んで交流してくれるだろうと思いました。交流の機会を提供できるようなシステム作りたいと思ってたのが一番のモチベーションです。

ー学生時代から「関係人口を増やす」ような活動をされてたのですね。大学4年間の経験を経て、大学院に進学されたとのことですが、進学されたきっかけや実際進学してみていかがだったでしょうか?

私は探究心が強く、打ち込みたかったのが大学院進学の1番の理由だと思います。

実際に入ってみて研究者をしている自分を客観的に見たときに、「ずっと自分がやり続けたいことなのかな?」と感じました。

私が好きなことは幼少期から「人と関わること」だと思い、研究以外のキャリアで自分が挑戦したいことはなにか考えた時に地域おこしの活動を自分のライフワークにした思いが強かったです。この想いが今の事業に直結してますね。

大学院時代は学生の社会参画をキーワードに考え、学生の社会的機能に目を向けて欲しい思いで、もう1つ団体を立ち上げました。

当時、18歳選挙権の政策がきっかけで総務省さんからワークショップの依頼をいただいたことや模擬選挙をしたことで、政治家の方と話すような機会が増えましたね。

「雇われずにお金を稼ぐ」の第1歩を踏み出す

 

 

 

ー大学院を卒業して社会人になると思いますが、どのようなキャリア選択をしたのでしょうか?

就活をしている時は、教育系や国内旅行系の分野に興味がありました。しかし、大学院で勉強してた分野とはまったく違う方向だったため、自分の中でどんなキャリアに進むかの方向性が固まっておらず葛藤した時期でもありました。

考えた結果、地元のベンチャー企業に就職しました。農業もしながら、いろいろな仕事をマルチにこなす企業でした。

ー就職したベンチャー企業から少しずつ違う選択肢を考え始めたきっかけや背景をお伺いできますか?

就職して1年目は環境のとても変わるので、辛かったのが1番にありました。また、就職した会社に長い間いないな、と感じ、半年くらいで退職しました。

次に別のことをしたいなって思っていたところ、総務省が実施する制度の地域おこし協力隊の募集があり、興味を持ちました。募集条件が「都市部からの移住すること」がキーワードで、私はできないだろうな、と思っていました。そんなとき、知人から「やってみればいいじゃん」と背中を押してもらい、駄目でもいいかなと思ってエントリーしました。

ー退職や友達の後押しがきっかけで今の事業につながっていったのですね。地域おこし協力隊としてどのような活動をしていたのでしょうか?

秋田県の地域おこし協力隊自体は約70人(令和3年1月時点)ぐらいの協力隊がいるのですが、十人十色な印象が強いですね。

最初はほかの地域の隊員の方と交流する機会がなく、私が2年目ぐらいのときから秋田県主導で全県単位で集まる研修が増えてきて、交流する機会が増えてきました。現在はいろいろ専門性を持った人たちが増えてきている印象はありますね。

私自身は移住の事業に携わっており、地域へ溶け込むのがうまいねと言われることが多く、学生時代のキャリアが生かせてるなと思いました。

地域で活動する中で、地域の人が私の良さをたくさん言ってくれるんです。フィードバックをいただいて、こういうふうにサービスを提供できるなと今の事業を確証に変えていく機会だったなと思います。

ー現在の事業は具体的にどんな人にどんな形で届ける日々を送っているのかお伺いできますか?

今回インタビューをする中で、私自身が今までとても悩んでることがおわかりいただけたかと思うのですが、悩んでる人は自分だけじゃないと思ったんです。

キャリアや自分のパーソナリティについて考え、どう向き合うか悩む方が多いと思います。私自身が悩んだからこそ、共感できることがあると思ったことが1番大きかったです。

人の夢を応援することを仕事にしたいと思い、Time Colors Lab.を作りました。自分のキャリアに迷いがある人の相談をメインに自分にあるものをどうやって磨くかからライフプランまでサポートをしていますね。

ー最後に伊藤さんの今後の展望についてお伺いできますか?

東京とかにも行きたいなと思っていたのですが、新型コロナウィルスの影響でなかなか行くことができませんでした。

今年は本当にいろんな人ともっと会っていき、自分の思いを直接伝えていきたいです。さらに自分の思いを日本全国にやっぱり広げていくのが今後継続していきたいことですね。

ー本当に今日はあっという間でした!素敵なお話ありがとうございました。今後の伊藤さんのご活躍楽しみにしています。

取材:山崎貴大(Twitter
執筆:ゆず(Twitter
デザイン:五十嵐有沙(Twitter