アカデミアと社会をつなぐ橋渡しになりたい
ー大学・大学院とたくさん問いをたてて国際協力を学んできた田村さん。そこからどうしてベンチャー企業へ就職する道を選んだのでしょう?
当時は就職せずそのまま博士課程へ進学する予定でした。修士論文を提出後、以前より知り合いだった、現在の会社の社長と食事をしているときに「パキスタンに行かない?」と言われたんです。
「パキスタンに行ってみるのもよいな」と思い、パキスタンで事業をしながら現地の大学院で博士号をとる計画をたて、現在のベンチャー企業で働きはじめました。
情勢の変化で現在は国内ドローン事業をメインにしていますが、パキスタンにおける草の根の国際協力事業についても地道に動いています。自分のつくった提案書で、ゆっくりながらも事業が前に進んでいくのはとてもやりがいがありますね。
ー就職してからも学びは継続しているのでしょうか?
社会人にはなりましたが、国内のモスク、外国人ムスリムの研究活動も行なっています。会社として公に認めてくれているので、フィールドワークや学会発表にも引き続き参加しています。現在は博士課程への進学時期を見計らっているところです。
パキスタンはイスラム教国なので、研究で得たムスリムについての知識が、仕事でパキスタン人とミーティングをするときにも役立っていて。
アカデミアの知識はもっと社会に還元されるべきだと思うんです。もちろん研究者は論文にまとめて社会に出しているけれど、難解な言葉で分かりにくいじゃないですか。
だから私が、アカデミアとビジネスのどちらも知っている身となって、研究と社会をつなぐ橋渡しを体現できたらと思っています!
ーステキです。今後も学びつづけたいという意思を強く持っていらっしゃるのですね!
そうですね。人間は思考停止したら終わりだと思っていて。
物事を当たり前と受けとめずに、ほんとうによい影響なのか批判的に考える癖が大学・大学院を経て強化されました。
ずっと自分の頭で考えつづけること、かつ自分が見えないところで何に加担してるか考えることも大切だと感じます。たとえば政治に参加したり、自分の行動が環境破壊に加担しているかもしれないと考えてみたり。
考えつづけるのは面倒くさい作業かもしれませんが、社会に生きていくうえで非常に大切な要素だと思ってます。
ー田村さんの今後のビジョンを教えていただけますか?
引き続き、私のやりたいことをやりながらも、可能な範囲でこの世界や社会をよくしていきたいです。
またロールモデルとなる人の存在が、女性のエンパワーメントにも繋がると思うんです。私自身が次世代を生きる女性のロールモデルとなれたらうれしいです。
ーありがとうございます。最後に読者の方へメッセージをお願いします。
今まで培ってきたものが、自分を形づくる軸になると思うんです。自分が何をやりたいのか分からない方も多いのではないでしょうか。でも今やりたいことが明確になくても大丈夫です。
ぜひ興味のあることにたくさん触れてみてください。そのなかで自分が使えそうなものや、今までの経験で武器にできそうなものを見つけ、自分なりに形づくっていけばよいと思います!
ーステキなお話をありがとうございました。田村さんの今後のご活躍を応援しております!