COLORFUL U 代表・張孜翔が「やりたくない」に気づき、コーチングに出会うまで

やる意味を感じられない仕事は「やりたくないこと」だった

ーIT企業であること以外で、1社目の会社を選ばれた理由はありますか?

CSVを大切にしている会社であったことです。CSVとは社会課題への取り組みを、利益や経済価値につなげる概念を指します。前述の遠山さんとの出会いから、CSVを重視するようになりました。

会社が目指すビジョンにとても共感し、社長をはじめとする働く人たちが好きで選びました。

ーWebディレクターとして働きはじめて感じたギャップはありますか?

仕事をしていくにつれて「やりたいこと」「やりたくないこと」がわかるようになりました。会社のビジョンに共感していたものの、Webディレクターとして任された業務が好きになれない状態が3年続きました。

とくに1年目は成果も出せず、上司にひたすら詰められる毎日で本当にしんどかったです。2年目になると、少しずつ仕事の楽しさを覚えました。とはいえ 「これでいいんだっけ?」と疑問を抱くようになりました。

ーどのような点に疑問を抱いたのですか?

自分の業務がCSVの実現につながっている実感がありませんでした。サイト改善や運用を通して担当企業様の売上を上げることが、CSVの実現につながると当時の自分は思えなかったため、モチベーションが上がらなかったんです。

これはやはり自分のやりたいことではないと気づきました。そこで次は事業会社に移りたいと考えるようになりました。

ー2社目はどのように意思決定をされたのですか?

1社目の反省を踏まえた、当時の意思決定のポイントは3つありました。まず興味関心のある課題に携わることです。父が飲食店勤務であったこともあり、飲食業界の課題解決をしたいと考えていました。

次にスタートアップ企業であることです。もっと自由度の高い仕事をしたかったからです。3つ目が、当時独学で学んでいたAIに関わる仕事がいいなと考えていました。

幸運なことにすべて満たす企業を、新聞のニュース記事で見つけました。そこですぐに入社を決め、運良く入社させていただきました。

ー実際に働かれていかがでしたか?

自分の「譲れること」「譲れないこと」がさらに明確になりました。僕にとって会社のミッション・ビジョンは譲れないものでした。

ただ、コロナの影響により飲食業界は大きなダメージを受け、そこで会社の方向性が大きく変わりました。その新しい方向性の中で、自分が進んでやりたいと思える仕事がなく、転職や独立を考えはじめた矢先に、コーチングと出会いました。

コーチングとの出会いで、自分の本心に気づく

ーコーチングに出会ったきっかけを教えてください。

友人がコーチングを学びはじめ、セッションの練習相手になったことがきっかけです。当時コーチングを知らず「何をするのだろう?」「怪しいけど大丈夫かな?」と疑心暗鬼でした。ですがコーチングに対するイメージは、一度セッションを受けて大きく変わりました。

ー実際にコーチングを受けられていかがでしたか?

自分の本音に気づきました。「どうしたら今の会社を改善していけるのか」をテーマに、60分話したんです。いろいろ改善策が見つかり、コーチから「いつまでにやりますか?」と問いをもらいました。

そのとき「全くやりたくないな」「会社辞めたい」と自分の気持ちが初めて言葉になって出てきました。それが本当の気持ちだと知り、翌週には会社を退職しました。

ーコーチングが効果的に働いたのですね!

半年ほど抱えていた悩みの解決の糸口が、コーチングの60分間で見つけられました。ものすごく衝撃的でしたし、コーチングの効果を体感しました。

自分が「どうしたいのか」「どう思っているのか」を相手の意見や考えを挟まずに、しっかり聞いてもらった経験が、これまでの人生でありませんでした。

コーチングを学べば、自分のように話を聞いてもらえなかった人や思い悩んでる人たちを救えるのではないかと思いました。コーチングの魅力にどんどん引き込まれました。

次第にコーチングを学びたい、コーチングをできるようになりたいと強く思い、コーチを目指すようになりました。

ーその後プロコーチになられて、会社設立に至った経緯を教えてください。

もともとはプロのコーチとして、 コーチングだけをやっていこうと活動していました。ただコーチの仕事だけでは、数年後の自分の姿が想像できてしまったんです。想像できるような縮こまった自分にはなりたくありませんでした。

改めて「自分はどんな人になりたいか」を考え、社会に対してインパクトを残したり、コーチング自体をもっと世界に広めたりしたいと思いました。会社のサービスとして展開すれば、自分のビジョンを叶えられるのではないかと感じました。

ーどうすれば張さんのように心からやりたいことに出会えますか?

「これじゃないな」というものを明確にして、遠ざけていくことです。できればいろんなことに手を出した上で、分析するとより精度が高まると思います。たとえば「相手の顔が見えない状態で働くのは嫌」とか。自分に合わないものを選択肢から外していくと、やりたい方向性が見えてくるのではないでしょうか。