自分と向き合い、正しいと思える軸で決断することの大切さ
ー同世代でも社会課題に対して起業を志したい方や、起業したいけど迷っている方もいると思います。そういった方々にアドバイスをお願いします。
自分にはどれくらいの覚悟があるのか、まずは自分と向き合うことが大事です。僕も不安なときはありましたが、根拠のない自信も持っていました。比較的安定路線を選ぶのであれば、まずは売り上げをつくってから起業する方法もあります。若干リスクを負うのなら資金調達もできますし、よほどのリスクがなく迷うのであれば起業したほうがいいと思います。
ーお話を聞いていると、腹をくくれるかどうかが大事なんだと思いました。
そうですね。誰しもが決断して腹をくくる瞬間があると思います。僕も会社を辞める決断をしてきましたが、その当時はこれが覚悟かどうかわからない気がするんですよ。後から振り返って、あのときがそうだったんだと気づくこともあります。
僕自身、他の人とは異なったユニークな経験をしてここまでたどり着きました。なぜそうなったかというと、自分にとって正しいと思えるかどうかの判断軸で決断してきたからだと思います。
迷ったときに周りの人や信頼できる人に相談して、アドバイスを求めることもあるかもしれません。それも大事なことですが、自分の人生のプレイヤーは自分しかいません。結局自分のことを一番わかっているのは自分自身なんですよ。
意見を聞くことは大事ですが、自分が責任を持ってやり切れるのかどうかの決断の差だと思います。それは自分への素直な気持ちと自信からきているところもあるので、小さな成功体験を積んで自信を伸ばすことが重要ですね。
ー現在、安藤さんが大事にしている価値観を改めて教えてください。
すべてを巻き込むような一体感を大事に会社経営をしています。メンバーはもちろん、お客様も一緒に参加しているような価値を届けていけるかどうか。そこが最近では大きなキーワードになっています。
ー果実を育て、収穫体験ができるプロセスも含めて、関わる人たちの一体感を大事にサービスを提供するすばらしさを実感しました。改めて将来の展望をお伺いしたいです。
僕らに関わっていただいている農家さんやお客様、それにメンバーを豊かにしていきたい。そのためにも、会社を信用される組織にするのがひとつの目標です。
また、「食とつながりの豊かさ」を企業のテーマにしています。豊かさの価値観は人によって様々かもしれません。美味しいものを食べたい、人にプレゼントしたときの喜び、そういった「食とつながり」は人々の根源にある本質的な価値だと思います。それを我々は会社のサービスを通して伝えたいですね。将来的には、国産果物の持続可能性や次世代につなげていく活動もしていきたいです。
ー最後に、U-29世代にアドバイスをお願いします。
自分の意見に自信を持ってください。自分が思っていることは、人の目を気にせずにどんどん伝えてほしい。それが大きな決断をするときにも活きてくると思います。
また、農家さんのような職人と付き合うことも大事にしてほしいです。彼らは人生をかけて農業をしている「本物」の人たちです。そういう人の言葉を日々聞いていると、彼らの尊さやすばらしさ、こだわりやプライド、ひとつのことをやり遂げる大切さを実感できます。そういうものに触れる環境を自分でつくることも大切です。
マルチにいろんなことをする人に憧れを抱くかもしれませんが、一つのことに泥くさく取り組んでいる人の意見もかっこいいと思います。人生にとってプラスになると思うので、ぜひそういう人から話を聞いてみてください。