​​シニアデザイナー長尾夏音が挑戦する心も体も元気にする「介護美容」とは?

様々なキャリアの人たちが集まって、これまでのステップや将来への展望などを語り合うユニークキャリアラウンジ。第876回目となる今回はシニアデザイナー長尾夏音さんをゲストにお迎えし、現在のキャリアに至るまでの経緯を伺いました。

作業療法士×介護美容で「日本一の介護美容コミュニティ」作りを目指す長尾さん。長尾さんが介護美容の魅力と可能性に注目するに至った、人生の転機ついて話してもらいました。

障がい者・高齢者に特化した「介護美容」事業とは

ーまずはじめに、自己紹介をお願いします。

シニアデザイナーとして活動している、長尾夏音です。

もともと、作業療法士として病院に勤務をしていました。その後「介護美容」に関する資格を取得し、独立しました。

ー「介護美容」という言葉をはじめて聞きました。詳しく教えてください!

介護美容とは、障がいを持っている方や高齢の方に特化した美容サービスです。

例えば、介護施設や在宅(難病患者)にいる方にメイクを施したり、エステサービスを提供したりします。「美」を作ることはもちろんですが、同時に「心」にも働きかけています。

病気であっても、歳をとっても、美容を受ける権利は誰にでもある。

「美」をサポートすることで心から元気になってもらうことを目指しています。

バスケ時代の経験が、将来の仕事を選ぶきっかけに!

ー長尾さんの幼少期について、教えてください。

小学校時代は、バスケットボールの強豪チームに入っていました。中学校も「強豪チームでプレーを続けたい」という軸で学校を選びました。バスケットボールは高校生まで続け、バスケ漬けの学生生活でしたね。

ー今になっても活きている、バスケットボールでの経験はありますか?

「根性」と「継続力」だと思います。

仕事で困難があっても「あのころのバスケットボールよりきついものはない」と思うことで、乗り越えられました。

バスケットボールを続けてきたおかげで、精神的に強くなることができました

ー進路を医療業界に決めたきっかけも、バスケットボールをしていた経験からきていると伺いました。経緯を教えてください。

バスケットボールで怪我をした時にお世話になった、リハビリの職に興味がありました。リハビリの職で資格をとりたいと思うようになり、作業療法士になることを選びました。

海外経験で得た視野が、キャリア選択の考えを広げた

ー社会人2年目くらいになると、海外にいく機会が増えたと伺いました。

仕事にも慣れてきたタイミングだったので、たくさん海外旅行にいきました。

異文化にふれることで、考え方や視野が広がりました。今思うと、その影響もあり、作業療法士として「病院」という一つの場所で働くことが窮屈に感じるようになり、独立を考えることに繋がったのかなと感じます。

ー海外旅行を通じて視野が広がる中で、変化はありましたか?

キャリアの考え方が変わりました。

病院に7年間勤務していましたが、毎日同じスケジュールで仕事をしていくうちに目標がわからなくなってきました。

「仕事をこなす」と感じるようになったのです。

改めて「何のために仕事をしているのか」「自分がワクワクすることは何なのか」を考えた時に、介護美容の資格をとることを決めました。

体だけではなく、心も元気にする「介護美容」

ー介護美容の資格を取得するに至った、具体的なエピソードはありますか?

作業療法士として、訪問リハビリをしていた経験がきっかけです。

ご自宅に訪問してリハビリを行うのですが、生きることに悲観的な方に多く出会いました。

心の病がある方。歳をとって体が思うように動かなくなることで、自分でできていたことができなくなったりする方。訪問リハビリを受ける方はには、そのような人が多くいました。

リハビリをする以前に、生きていたくないと落ち込む状態になってしまっていたのです。

ー体だけでなく、心も元気がない状態だったのですね。

大きなきっかけになったのは、年配女性のご自宅を訪問した時の経験です。

その女性の家を訪問した際、おしゃれに着飾って映っている写真を、家の中で見つけました。きっと美容が好きな方だと思い、ネイルやメイクを提案したところ一緒にやってくれました。

はじめはリハビリの運動を断っていた方でしたが、美容をきっかけに段々と運動にも挑戦してくれるようになったのです。

「美容」をきっかけに、「心」が動いた瞬間だと感じました。

ー「介護美容の難しさ」についてはいかがでしょうか。

介護美容はまだまだ認知度がないので、一人で事業を進めるのに苦労しました。しかし介護美容について発信していくうちに、「私もこのような仕事をやってみたい!」という方からご連絡をいただくようになりました。現在は仲間と一緒に事業を展開することができています。