興味を持ったらまずやってみる!プロソフトテニス選手・船水雄太に聞く一歩踏み出す勇気

様々なキャリアの人たちが集まって、これまでのステップや将来への展望などを語り合うユニークキャリアラウンジ。第818回目となる今回は、プロソフトテニス選手の船水 雄太(ふねみず・ゆうた)さんをゲストにお迎えし、現在のキャリアに至るまでの経緯を伺いました。

家族の影響でソフトテニスを始め、国内外の競技大会で数々の優勝経験を持つ船水さん。世界一強い実業団での恵まれた環境を離れてプロソフトテニス選手として独立し、経営者とアスリートを両立する選択をした経緯、一歩踏み出した理由について伺いました。

だったソフトテニスがプロ選手との出会いで本気に変わった

ーまずはじめに、自己紹介をお願いします。

船水 雄太(ふねみず・ゆうた)です。プロのソフトテニス選手として活動する傍ら、ソフトテニスの魅力を世の中に広める「エースマネジメント」という会社の代表も務めています。

ーソフトテニスとは、どのようなスポーツですか?

ソフトテニス(軟式テニス)は、柔らかいゴム製のボールをネット越しにラケットで撃ち合うスポーツです。特に中学生から人気があり、中学校での競技人口はサッカーやバスケットボールを超える第1位です。

日本での競技者数は約45万人、ソフトテニス愛好者数は約700万人規模ともいわれ、生涯スポーツとして幅広い世代の方に愛されています。

ー船水さんが最初にソフトテニスを始めたきっかけは?

ソフトテニスをやっていた両親の影響です。子どもの頃から常にラケットやボールが家に置いてある環境で育ちました。

小中学生の頃に仲間と一緒にソフトテニスを始めたときは、友達との遊びの延長という感覚でした。大会に出ることなどは特に考えず、日々楽しくプレーしていました。

ー意外にも、大会に出て優勝を目指すタイプではなかったのですね。

当時はソフトテニスで活躍する選手の情報が少なく、硬式テニスの錦織選手のような憧れになる存在がいなかったんです。ソフトテニスで将来を目指すイメージも持っていませんでした。

大会前に本気で練習をはじめても2時間の追加練習に価値が見いだせず、練習をしても全然うまくいかない時期もありました。ソフトテニスを辞めて他のスポーツに力を入れようと、ラケットをゴミ箱に捨てたこともあります。

ーテニスを辞めようかと悩んだときに、もう一度頑張ろうと思えたのはなぜですか?

青森県で開催されたイベントにソフトテニス日本代表のキャプテンが来てくれたことがあったんです。世界で戦うアスリートの姿を初めて見て、迫力あるオーラに圧倒されました。

世界選手権で優勝した話を聞くうちに「ソフトテニスは、日本代表も世界大会も金メダルもある、なんてかっこいいスポーツなんだ!」と。一気にスイッチが入り、スポーツ一直線の生活を送るようになりました。

世界大会に出る目標を立てて、実現までの日数を逆算して日単位で計画を組み立てるテニスノートを書きはじめ、がむしゃらに練習に励みだしたのもその頃からです。

進学とともに激減する競技人口。悩む進路選択

ー学生時代は、テニスの強豪校で数々の成績を残されましたね。

高校ではテニスに打ち込める環境に恵まれた東北高校に進学。高校からの推薦で入学した早稲田大学では、日本一になって世界でも結果を残そうと朝から晩までソフトテニスに打ち込みました。今振り返ればもっと外に視野を広げても良かったなと思うくらい、ソフトテニス漬けの日々だったと思います。

その甲斐もあり、大学では全日本大学対抗ソフトテニス選手権(インカレ)では4連覇を達成。4年生のときには世界選手権のメンバーに選出され、国別対抗戦で世界一になる夢も叶えられました。

ー中学生の頃に描いた「世界一」の夢を達成されたときの心境は?

子どもの頃からの夢を叶えた達成感があった一方でやり切った感もあり、一時的にモチベーションが下がりました。その後の進路を悩んでいたところに、NTT西日本から実業選手としてスカウトしてもらえたんです。

NTT西日本は、全国約200チームあるソフトテニス実業団の最高峰で、サッカー界でいうならレアル・マドリードのような存在。「日本代表選手を輩出するチームで、リーグ10連覇を目指すチャンスはなかなかない。日本代表、世界代表としても活躍したい」という新たな目標が生まれ、チームに加入しました。

ー大学を卒業して就職するという選択もあったのでは?

指導者や教員、企業への就職という道も考えましたが、ソフトテニスで行けるところまで行ってやろうという気持ちのほうが強かったです。

プロリーグも賞金大会もないソフトテニスは、勝ち続けたとしても人生が変わるほどの見返りはもらえない。そのため、中学から高校に進学するタイミングと高校から大学に進学するタイミングで競技者数が大きく減少するんです。

ソフトテニスに見切りをつけて就職活動を始める人もいる中、人生のポートフォリオにおいてはリスクの高い選択でしたが、テニスへの情熱を優先して実業団に入りました。