コーチ×人材組織コンサル 加藤沙織に聞く ワーク↔ライフの垣根を越えて、”自分軸”で生きるとは?

夢に描いていた「多様性」のある世界に出会う

ー今その瞬間に集中することが、精神的な幸せにつながるんですね。帰国後はどんなことをしていましたか?

タイとミャンマーから戻った後も、また海外に行くことを決めました。

内閣府主催の青年国際交流事業「世界青年の船」に挑戦し、それに合格して参加することになりました。

このプログラムは、10カ国の青年たちと船で1ヵ月間共同生活をする、というものでした。いろんな性格の人たちと生活をすることで、まさに自分が思い描いていた、多様性のある世界を体感することができました。

ー参加してみてどうでしたか?

今のコーチングやワークショップの元となる経験でしたね。

船の中では、みんな違ってみんな良い、という考えが根底にありました。違いがある上で対話をして良いところを引き出して、弱みを補完しあう環境が出来ていたんです。リーダーシップをもって社会を良くしていこう、という考えなど、現在の活動の基盤となるメソッドを多く学ぶことができました。

また、この時にコーチングという職業を知りました。

日本代表青年の方がプロコーチだったのですが、人柄がとても素敵で。この人のようになりたい!と思うようになりました。

ーまさにロールモデルに出会えたということですね!船から帰ってきてからはどんな生活を送られたんでしょうか?

その後もまた懲りずに海外に行きます(笑)

海外に一定期間住む経験を通して、多様性の社会を肌で感じたいと思い、

大学を休学して、フィリピンの大学へ留学したり、マレーシアでインターンシップに挑戦していました。

ー東南アジアのまた別の国に行かれたんですね!どの国が一番好き、などはありますか?

マレーシアが一番好きでしたね。自分の思い描いていた多様性に近い世界だったからです。

現地にマレー系、中国系、インド系の人がいらっしゃるのに加え、その他の国から来ている人もたくさんいて。

他の国では自分が外国人という自覚があったんですが、マレーシアではそれがありませんでした。現地の人が、自分を一人の人として扱ってくれたからです。

いろんな人種の人々が共存していて、そこには上下関係もないんです。こんな環境が成り立っているのってすごいな、と本当に感動して大好きになりました。

いつか移住したいと思っているくらいです!(笑)

原点に帰るためコーチング資格を取得

ーいろんな世界を見てきた学生時代だったと思いますが、その頃将来についてはどんなことを考えられていたのでしょうか?

東南アジアで楽しく過ごしていたので、日本に帰国することも就活も嫌でしたね…。

空港で「帰りたくない」と号泣するくらいでしたが、帰国後、なんとか就活を乗り越えることができました。

ー海外生活後に日本で就職、となるとギャップが大きそうですよね..。就職先はどんな企業を考えられていましたか?

人材育成に関心があったので、初めはその業界の会社を考えていました。

ですが、何をやることも大事だけど、どのような役割になるか、ということのほうが大事ではと考え、途中から業界関係なく職種で応募できるところを探すようになりました。

大学生活で共通していたのが、プロジェクトを興して周囲の人と協働する、プロジェクトマネジメントに携わってきたということでした。加えて、ビジネスでは課題解決をしたい、と思ったため、コンサルタント職で就活をしました。

その結果、外資のIT企業に入社することになりました。

ー入社後は、どのようなお仕事をされていましたか?

その企業には5年間在籍して、人事のシステム導入を担当していました。

印象に残っているのは、プロジェクトマネージャーとして担当していたプロジェクトの一つで、3回もプロジェクトが延期/中断になったことがあって。それがすごく大変でしたね。

ー3回も!どんな状態だったんでしょうか?

システムを入れることに対して、クライアント企業の内部で反対や違和感の声があったようです。

直接やりとりしていた窓口の方とは良好な関係でした。ですが、社内の声にフタをしてプロジェクトを進めていたので、それが突如停止という形で現れていたんだと思います。

いくら論理的に組み立てて進めても、感情でブレーキがかかってしまうことがある。たとえそのロジックが正しかったとしても、です。

人間関係から生じた問題に直面したことで、人間は感情の生き物なんだということを肌身で感じました。

ービジネスにおいても、一番大事なのはそれを動かしている人、ということですね。その後、加藤さんの中で何か変化はありましたか?

3年目の、その頃から転職を考え始めました。

ですが、当時の自分は何も成し遂げていない感覚があって。

まだ転職を決意できなかったので、手に職をつけてから進もうと思いました。

自分の原点であった「人と組織を良くしたい」という思いに立ち返って、自分自身が人を変えられるようなスキルを手に入れたいと感じました。

そこで、世界青年の船で出会ったプロコーチと同じ「CTI(Co-Active training institute)」という学校に通い、コーチングの資格を取得しました。

ー転職の準備を始められたんですね!取得後はどんなことをされていましたか?

コーチングは練習相手が必要なので、友達に声をかけて付き合ってもらおうと思いました。

ですが、みんなから断られてしまって。当時、コーチングがあまり知られていなかったので、怪しまれてしまったんですよね…。

思い切った自己投資をしてコーチングの学校に入学したものの、この先どうしよう、、と立ち止まってしまいました。