外国人が活躍しやすい世の中を目指して!MONOVERX代表・木村賢輔

ステップアップのために別の日本語教育の資格をとる。再度フィリピンの語学学校に就職し、フリーランスとしても活躍する

ー次の転機は23歳のときとお伺いしました。ここではどのようなことがあったのでしょうか?

フィリピンの派遣が1年で終わって日本に帰ってきたときに日本語学校に就職しようと考えました。しかし、日本語学校に就職するには大学で受けた日本語教育副専攻だけで採用してもらうのはなかなか難しいです。

日本語教育に携わるためには「日本語教育副専攻」以外に「日本語教育能力検定試験」と「日本語教師養成講座420時間」がないと厳しいと言われています。

そのどちらかを取ろうと決めてからはとても大変な毎日でした。

ーどんなところが大変でしたか?

時間もお金も両方が大変でした。持っている貯金を崩して勉強しながら、生活のために勉強以外の朝や深夜に働いていました。

絶対に先生になりたいという思いと、自分が理想としている教育で救える人がいるのだからここで諦めてはダメだという思いで日々がんばっていました。

ーその生活はどの程度の期間続いたのでしょうか?

1年3ヵ月ほどですね。この勉強期間が終わるころにまたフィリピンの別の学校に就職することが決定していたので、早くフィリピンに行きたいと思っていました(笑)。

ー25歳で再度フィリピンに行かれたとのことですが、このときはどんな心境でしたか?

最初に行ったときはアシスタントとして働いていたため、自分が先頭に立って何かをすることは少なかったのですが、このときは自分がクラスを持って裁量権を与えられていたので良かったと思っています。

ーこのころからフリーランスの日本語教師としても働くようになったとお伺いしました。

このころにコロナが流行りはじめて、オンラインで仕事をすることが多くなったため、フリーランスとしても働いてみようと思ったのです。

フリーランスはどんな人に何を教えたいかを自分の裁量で決められるので、起業前の勉強になりました。

外国人が活躍しやすい世の中を。自分の理想とする日本語教育を実現するために会社を立ち上げる

ーフリーランスを経て起業されたわけですが、そのきっかけとなった出来事を教えてください。

就職して2年目で親会社に転籍する可能性がでてきました。しかし、語学学校に就職する際の面接で「私は2、3年で独立します」と言っていたため、転籍するのは申し訳ないなと。

そのタイミングで共同創業者の友人と話す機会があり「2人なら何かおもしろいことができるかもしれない」と思ったことが起業に至ったきっかけです。

ー起業するのは勇気がいると思います。いろいろな不安があるなかで起業に踏み出せたのはなぜですか?

若いときであれば体力があるため、もし失敗してもやり直しがきくと思ったからです。いまではなくあとで起業するとしたら、そのときは家庭を持っているかもしれません。いろいろな要素を加味して若いほうがリスクが少ないと判断しました。

ー木村さんが大事にされている価値観を教えてください。

自分をきっかけにして他の人ががんばれたら良いなと思っています。挑戦したいと思っている人たちの背中を押してあげて他者貢献のできる存在になりたいです。

教えたいという思いだけだとひとりよがりな授業になってしまいます。そのため、私が大事にしているのは相手が学びたいことに寄り添って伴走することです。

ーこれからの展望を教えてください。

スクールは現在オンラインのスクールを考えているので、次はオフラインで校舎を構えて実際に対面の授業をしたいと思っています。その後は日本だけではなく世界中のいろいろなところに日本語学習のための校舎を建てたいです。

VRは海外に住んでいる日本語学習者が、日本に来る前に使っていただきたいと思っています。もちろん来日後の研修でも使っていただけるかと思います。

私自身の話でいうと、この一生を教育に身を捧げていきたいです。フィリピンにはたくさんの貧しい子どもたちがいます。環境に恵まれない子どもたちの何かのきっかけになれるように、青少年の教育事業もしていきたいです。

その他にも日本で起業したい外国人のための起業家スクールや、日本語版のTEDを企画してみたいなと構想していますね(笑)。

ー最後にU-29世代へのアドバイスをお願いします。

他の人と話をしていると何をしたら良いかわからないという悩みをよく聞きます。そういう人におすすめの方法が、やりたくないことをすべて書き出してリストにすることです。やりたいこととやりたくないことは表裏一体なことが多いので、やりたくないことを書き出していくうちにやりたいことが見つかると思います。

なかなか行動できない人に対しては「未来のことを考えてもどうしようもないから、いまできることをしなさい」とアドバイスしたいです。未来がどうなるかなんて誰にもわからないので、未来のことを考えすぎても無駄だと思っていて。それよりも目の前にある今できることをしたほうが良い未来に繋がるのではないかと思っています。

ーありがとうございました!木村さんの今後のご活躍を応援しております!

取材:黒澤朝海(Twitter
執筆:松村彪吾(Twitter
デザイン:安田遥(Twitter