様々なキャリアの人たちが集まって、これまでのステップや将来への展望などを語り合うユニークキャリアラウンジ。第550回目となる今回は、ZaPASS JAPAN株式会社・外賀陽春(げかようしゅん)さんをゲストにお迎えし、現在のキャリアに至るまでの経緯を伺いました。
現在はフリーランスとして、コーチングやライター業など幅広く活動を行う外賀さん。「納得感のある人生」を実現させるための、Beingの大切さについて語っていただきました。
大学受験失敗で感じたのは、挫折よりも解放感。「納得して生きる大切さ」を学んだハタチの春
ーまずは簡単に自己紹介をお願いいたします。
ZaPASS株式会社でビジネス職を担当しております、外賀陽春と申します。
副業としてeスポーツチームの新規事業開拓や、前職のオウンドメディアでライティング業とパーソナルコーチを行っております。
ーそんな外賀さんはどんな学生時代を過ごされましたか?
僕の人生の転機となったのは、大学受験に失敗した20歳の時です。
医学部に入りたくて2年浪人をしたのですが残念ながら失敗してしまい、環境問題や資源問題などを学ぶ国立理系大学に入りました。
2浪して不合格は結果だけ見ると大失敗に見えますが、当時は「解放された」という気持ちが大きくて。
僕は元々、さまざまな価値観に触れたいと思っているタイプです。しかし浪人生活中は、当然ながら毎日が勉強の繰り返しで変化が無い。医学部を諦めた悔しさよりも、その単調な生活が終わる解放感の方が強かったです。
ー受験失敗で挫折は感じましたか?
当然悔しさはありましたが、自分の中で「できることは全てやった。これ以上は無理だ」と納得した上での失敗だったので、すぐに気持ちを切り替えられました。
逆に高校受験で失敗した時は、内心「もっと頑張れたんじゃないか」と後悔があって。自分自身に納得できずに長く苦しみました。
大学受験失敗をきっかけに「成功する・失敗するではなく、『納得できる人生』を生きていこう」と思うようになりました。これが、今の僕の軸になっている考え方です。
早生まれなので、2浪からの受験失敗のタイミングでハタチになったこともあり、これからは過去の価値観を壊し、新しい価値観を取りいれて生きていこうと前向きな気持ちになりました。
新しい価値観をインプットし続けた大学時代。自信を培った成功体験と、苦い就活が与えた気づき
ー大学生活はどんな活動をしていましたか?
入学時の理想通り、大学では「過去の価値観を壊し新しい自分を作る」ことに成功できたと思います。とにかく新しいことをしよう、価値観を広げようと思い、交友関係を学外にも広げて色々なアルバイトも経験しました。
例えばガテン系のアルバイトで、自分より年下の男性が100人の従業員を率いて監督をしていたり、45歳の日雇いの方と仲良くなって食事に行ったり。僕は本来人見知りな性格ですが、勇気を出して世界を広げた結果、さまざまな価値観と触れあえました。
新鮮な価値観を自分に取りこむ中で、過去に囚われていたものから解放され、新しい情報が組みあわさり、今の自分が生成されたと感じています。
ー特に印象に残っている活動を教えてください。
学園祭の部署リーダーとして、地味で人気が無い裏方部署を一番人気の部署に育てられたことです。
僕は人に合った支援やサポート対応が得意なので、メンバーひとり一人の性格や得意不得意、人間性に合わせて関わり方を変えて、真摯に向きあいました。
すると皆がとても喜んでくれて、その部署の翌年の継続率が約25%から約90%まで上昇したんです。
人にやりがいを与えられたことも、組織をアップデートできたことも、何より「自分の好きな考え方・あり方を前面に出していいんだ」と思えたことも嬉しく、現在にも続く自信に繋がりました。
ー就活ではどのような切り口で企業を選びましたか?
元々医学部に入りたかった理由は、アスリートをサポートするスポーツドクターになりたいと思ったからです。スポーツ業界に転職をする将来を踏まえて、経営やマーケティングのコンサルティングを行うベンチャー企業を狙っていました。そんな中で、ある面接官に言われた言葉が今でも心に残っています。
「君は、自分の人生を自分で決める経験をしたことがないでしょう」
言われた瞬間、その通りだ、と。同時に「この課題には向き合う必要がある」と感じました。
大学在学中に価値観は広がったし、充実感も得ていましたが、人生という大きなスパンで考えた時に「決めきれていない、覚悟が足りないな」と。
自分のひ弱さを痛感し、精神的にも落ちこみました。内定はいくつか貰っていましたが、社会人になるに至っての己の未熟さを感じて大学院に進学しました。
研究や就活関連イベントなどを通して経験を積み、自分の人生を自分で決める覚悟を決めてから第一志望の企業に就職しました。
僕の中で、覚悟を決めるには「経験」が絶対条件だったんです。
コーチングとの出会いで考えた、これからの人生
ー現在、パーソナルコーチとしてコーチングを行っている外賀さん。コーチングとの出会いを教えてください。
コーチングは、前職時代に出会いました。当時は新卒2年目で、仕事が終わったら平日の夜に講座を受講するような生活でした。
受験失敗の時に気持ちを切り替えられたように、僕は「納得感を持って生きる」ことを大事にしています。結果よりも、生き方のプロセスや方向性の納得感の方が、人生において重要だと思っていて。
人生の選択に迷っている人のために、自信と納得感を持って選択ができるようにサポートしたい。と思った時に、着目したのがコーチングです。現在も働いているZaPASS JAPAN 株式会社のコーチ養成講座に入り、コーチングの学習を始めました。
ー選択肢が多くある場面で、コーチングはどのような助けになるのでしょうか?
コーチングの定義は「対話を通じて、目標達成や課題達成を支援するプロセス」です。コーチとクライアントが、じっくりと対話することで、納得感を持って自分らしく笑えるように支援します。
クライアントが普段から感じていることや夢・理想を聞き、無意識の内に蓋をしている本心を引きだします。感情や気持ちも踏まえて納得をした上で、自分に合った選択肢を選んでもらい、僕らは支援することができます。
コーチングを学ぶ中で自分と向きあう時間が増え、これからの人生を考えるようになりました。
自分らしく生きるために。意思決定に「納得感」を感じながら、悔いの無い人生を
ー現在はフリーランスとして活躍されていますよね。退職から現在までのエピソードをお聞かせください。
コーチングに出会い自分について考えるようになり、28歳の時に退職しました。社会人としての自分と「こうありたい自分」のズレを感じるようになったのがきっかけです。仕事を頑張りすぎて体調を崩しがちだったのもあります。
丁度コロナ禍が始まった時期でもあり、新しいチャレンジをしたくて。退職後は一旦東京から離れ、群馬の田舎や京都などに引っ越し。あまり先を決めすぎず、心身をリフレッシュしながらフリーランス生活を送っています。
僕自身、自分に自信がないと頑張るタイプなんです。就職をしても慢性的に自信が持てなくて、だから体験を積みたくて。「他の人より頑張らないと」という義務感で、頑張りすぎていたことにも気づきました。
ー現在の外賀さんは、どのようなマインドで日々を生きていますか?
「自分は自分でいいんだ」という安心感、ですね。受け止めてくれる仲間がいることも大きいです。
ZaPASSで新しい文化に挑戦してきたことが、少しずつ実を結びつつある。仕事の安定感が増し、自分に自信を持てるようになってきました。
ーBeing(あり方)に納得感を得られるのが重要、ということですね。外賀さんにとっての理想のBeingをお聞かせください。
Beingとしては「個別化」が最上位だと考えています。
人間ひとり一人がユニークであったり、独特であったり、他の人と違うというのは本当に「いいこと」だと考えていて。
自分は自分、と思えて生きてるのが「Being」としてあります。今の僕もうまくいかないことはありますが、自信が無いという焦りは昔ほどありません。
ありのままの自分として生きていけばいい。お互いでそれが認めあえ、リスペクト出来る人間でありたい。そうあるために、自分のユニークな部分は自覚し、ユニークであるように心がけるのが大切だと思います。
その上で、Beingを自信を持って体現できるように、各種の経験を積んでいる状態が僕の中の必須条件です。
軸になるBeingをベースにして経験を積んでいくのが大切です。
ー外賀さんがこれからの挑戦したいことを教えてください。
Beingへの自信をずっと持っていたいと思っています。
僕は、ドゥーイングの野望はあまり無いのですが、いつかエッセイを書いて「自由に自分らしく生きていいんだ」と皆が思えるものを残したいですね。
晩年は、作詞作曲をして自己満足な時間を過ごしたいです。猫が好きなので、猫に囲まれて生きて死にたいなぁとも思っています(笑)。
自分に自信を持って生きていければ、ある程度は「なんでもいいかな」という気持ちです。
しかしその過程で、理想のBeingのために必要な経験なのかは集中して選んでいこうと思っています。
ー最後に、U-29世代へメッセージをお願いします!
- どんな人生を歩みたいのか。
- 未来の自分はどうなっていたいのか。
これらを視野に入れて生きてみましょう。すると、日々の意思決定に統一感と一貫性が生まれます。
チャレンジをした結果が成功だったかどうかは、人生の中で一番重要なことではない、と私は思っています。最も大切なのは「自分が納得して人生を過ごしているのかどうか」です。なお、これは私の考えなので、皆さん自身がこの考え方に納得できるかどうかを是非お考えいただきたいとも思っています。納得のできる選択を繰り返していけば、死ぬ時に後悔することも無くなるのではないでしょうか。
ーありがとうございました!外賀さんの今後のご活躍を応援しております!
取材:山崎貴大(Twitter)
執筆:METLOZAPP(Twitter/BLOG)
デザイン:安田遥(Twitter)