動物と自然を愛し、人間と共存する社会を!Rehorn代表・青柳花奈

様々なキャリアの人たちが集まって、これまでのステップや将来への展望などを語り合うユニークキャリアラウンジ。第467回目となる今回は、Rehorn代表青柳花奈さんをゲストにお迎えし、現在のキャリアに至るまでの経緯を伺いました。

幼い頃から動物に興味を持ち続け、動物や生き物が人間と共存する社会をつくるために「Rehorn」という団体を自ら立ち上げた青柳花奈さん。活動の原体験や団体設立の背景、今後の目標を語っていただきました。

生き物に興味を持ち続けた中高時代

ーまずは自己紹介をお願いします。

Rehornという団体の代表をしている青柳花奈と申します。もともと動物や自然が好きで、どうやったら人間と共存できるのかということをずっと考えていて、大学では動物学を専攻し海外で学んだりしました。その経験を仕事につなげたいと思って団体を立ち上げました。

ー動物と人間の共存に興味を持ったきっかけは何だったのでしょうか?

きっかけは、10歳の時に飼っていた猫を亡くしたことです。生まれた時から家にいて、家族の一員だったけど病気で亡くなってしまってしまい、私は何もしてあげることができなかった。初めて死に触れた経験だったので衝撃が大きかったですね。

動物や生き物と人間と暮らしていける社会をつくる仕事にどうしたら就けるのかと考えるようになり、獣医になりたいと思いました。

ー中学・高校時代を振り返り、どのような考えで勉強に取り組んでいましたか?

獣医になりたい気持ちはあったものの、獣医さんのお仕事はペットの治療が一番多く、できることが限られているんですよね。次第に、猫だけを救いたいわけではないことに気が付いて、「命がある生き物すべて」を守りたいと思うようになりました。

獣医学を学べる大学は全国的に少ないうえ、動物の体内構造に強みがあったり、感染症に強みがあったりと様々なジャンルがあり、関心のある大学は3、4校しかありませんでした。

結果として、幅広く勉強がしたいと思い、動物学を専攻しました。

ー動物に興味を持ち続けられる背景や実感があれば教えてください。

人間とは違うからこそ、興味を持ち続けているのだと思います。中学や高校では、クラスや部活動などコミュニティが広がっていって、いろんな人と関わるようになります。それによって、日々、人間関係に悩むこともあって……。

そんなとき、「人間と動物は身体の構造や血液が流れている部分は同じなのに、ここまで違うのはなんでなんだろう」と興味を持つようになりました。違う部分と共通している部分を見つけてみたり、動物はどういう存在なんだろうとずっと考えていました。

ーご自身で団体を立ち上げる行動力を持つ青柳さんですが、もともと活動的な子供でしたか?

中学・高校は、部活でダンスとバドミントン、それに水泳もやっていました。バドミントンと水泳はタイムや点数で勝敗を決める個人競技でしたが、高校で始めたダンスは周囲と動きを揃えてきれいに魅せないといけないので、前に立つこと、発信することを部活を通して学びました。ダンスの経験は、今にもつながる学びも多かったですね。

大好きな動物との関わり方を模索した大学時代

ー大学在学中に海外に行った経験がありますが、そのときの話を教えてください。

大学時代にマレーシアへ2回行きました。1回目は、2年生で参加した見学ツアーで1週間ほどの滞在でした。2回目は、3年生の時に1ヵ月滞在して、現地の人に同行して生き物の生息状況を調査するボランティアに参加しました。

ボルネオ島という島に滞在して、ゾウやサイ、オランウータン、5m級のワニにも出くわしながら、ジャングルクルーズの世界を体験しているような感じでした(笑)。

島ではパームの椰子の木の実から油が採れます。お菓子や化粧品をつくる際に使用されていて、油を日本や中国に輸出していました。原生林を切ってパームの木を栽培するので、地域にとって大切な熱帯雨林のある自然豊かな環境が失われている現状を知りました。

他の現場でも、生き物の個体数が減少していることや、現地の人が動物を殺している事実も目の当たりにし、動物や環境の破壊につながる要因があることを学びました。

ー1回目にツアーに参加した時はどう思われましたか?

化粧品やお菓子の需要があるからパーム油が供給されているので、日本と遠くの熱帯雨林がつながっていること、何気ない生活の中で自然や生き物が失われていることを知りショックを受けました。

需要を減らすことは難しいので、他に解決策がないか考えるためにもう一度マレーシアに行きました。

ー2回目にマレーシアに行かれた時はどうでしたか?

1ヵ月間、現地の人の家に泊まらせてもらって、パーム油の生産現場で働く人はマレーシアだけでなくインドネシアから来た難民の人が多いことを教えてもらいました。

給料がきちんと支払われているのか、農薬を使用することによる健康被害のリスクもあったようなので、働く人たちの労働環境も改善しなければいけない。でも、それを仕事とする人がいる。

きちんとした教育を受けられていない人も多く、学校に通えるようになれば、仕事の選択肢も広がると思ったりもしました。

現地の生き物を守る前に人間からどうにかしなければと感じましたね。動物学を勉強して大学教授になって研究からアプローチをすることも可能だと思いますが、それだけでは時間が足りないととても焦りを感じました。

ー大学1年生の頃から将来を考えて模索されていましたね。就職活動ではどうでしたか?

就職活動はかなり悩んでいましたね。活動はしていたものの、自分のやりたいことがイメージできなかったんです。同級生には安定や福利厚生の良さを理由に、自然や仏学に関係のない業界を志望する人もいました。

私は現場や大学で学んだ経験を活かしたいと思っていたので、「なぜ、大学で動物学を学んで、実習した経験を就活に活かさないのだろうか」と思っていました。実は狩猟免許も持っているので、日本で増えすぎた鹿や猪が生態系を崩している現状に危機感を覚え、数を減らす活動の道に進むことを考えた時期もありました。

今できることや目の前の現状から変えていかなければと考えすぎて、自分のことになかなか集中ができなかった就職活動だったなと思います。

就活での実感をもとに「Rehorn」設立

ーご自身で団体を設立したきっかけを教えてください。

就職活動がきっかけです。2つの問題を解決しようと立ち上げました。ひとつは、学生自身がやりたいことや企業自体のことが分からないという問題。ふたつ目はやりたいことができる会社が少ない、給料が少ないという問題。

環境や自然分野専攻の学生が、就職先を見つけるのに苦労することから変える、解決できる活動からしたいと思って立ち上げました。

今「Rehorn」という団体では2つの事業に取り組んでいて、ひとつは「NatureClass」という自分がやりたいことを実現する事業や会社をつくることを実践を通して学べるコミュニティ事業です。ビジネスや経営界隈のスクールと提携しています。

もうひとつは「ハクチョウプロジェクト」という環境や自然を守りたいと思う学生を対象とした就活支援キャリアデザインサービス。自分にとって大切な価値観が企業にどうつながるのか自己分析や対話を通じて発信する活動を行っています。

ーご自身が感じた問題点を事業に落とし込み展開されているのですね。団体立ち上げは大変でしたか?

大変でした。大学4年生で就職活動を辞め、そこから団体立ち上げに向けてバイトや大学の研究をしながら準備をしていきました。

売り上げがなく、事業としてはマイナススタートで、何からどう進めていけばいいか分からないし、周りから「大丈夫?」と心配されることも多かったです(笑)。

今振り返ると、当時は視野が狭かったと思います。周囲と同じように普通に就職をしたら、猫を亡くした経験やマレーシアでの経験が活かせないと思い込んでいました。今は一般企業に入っても学べることがあると思っているんですが……。

ー団体を立ち上げてから2年ほど経ちましたが、どのような変化がありましたか?

起業家スクールに通って経営学を勉強したものの、実際に学んだだけでは通用しないことも多々ありますね(笑)。学生時代は「生き物や動物を守らなければいけない」という使命感で勉強を始めましたが、今は一緒に活動するメンバーや、コミュニティに参加してくれている目の前の人間に向き合わなければ、と感じます。

今あるつながり、ご縁を大事にしながら、自分としても組織としても今まで以上に能力アップが求められます。

ー今後の目標を教えてください。

まず今取り組んでいる「NatureClass」と「ハクチョウプロジェクト」を事業として安定させていくことです。環境分野専攻の学生と企業をつなげる就職支援にも注力していきたいです

もうひとつは、自然に寄り添った暮らしを体現できる環境の創出にも力を入れていきます。古民家や畑のお話を多くいただくので、「共存する社会」を地域単位でつくっていきたいですね。

ゆくゆくは海外にも挑戦していきたいです。マレーシアやアフリカで生き物が暮らしやすい環境づくりをして、現地の人たちの労働環境を整えていきたいと考えています。

ーありがとうございました!青柳花奈さんの今後のご活躍を応援しております!

取材:新井麻希(Facebook)
執筆:Asuka(Twitter
デザイン:高橋りえ(Twitter