正解に固執せず、自分の心に素直に挑戦する保育士・ハチキン

様々なキャリアの人たちが集まって、これまでのステップや将来への展望などを語り合うユニークキャリアラウンジ。第433回目となる今回は、保育業界のカメレオン、ハチキンさんをゲストにお迎えし、現在のキャリアに至るまでの経緯を伺いました。

14歳の時に職場体験がきっかけで保育士になる決意をしたハチキンさん。現在は保育士として働くかたわら、古着販売と動画編集の三足のわらじを履いています。行動するときに大切にしている考え方をお聞きしました。

中学時代のお仕事体験を機に、保育士の道へ

ーまずは自己紹介をお願いします。

保育業界で働く、ハチキンです。保育士5年目、今年で25歳です。保育士を続けながら、古着の販売と幼馴染で結成したグループでYouTubeのカメラマンや編集を行っています。

ーお仕事の割合はどうなっていますか?

本業である保育士の仕事8割、撮影・編集と古着をそれぞれ1割というように割り当てています。

ー保育士の仕事を始めたきっかけとなったのは、いつ頃でしょうか?

中学2年生、14歳のときですね。近くの保育園で職場体験をする機会を得て、子供と直接関わってみたら楽しいなと思いました。

元々子供は好きでした。職場体験で子供好きであることを再認識できましたね。それを機に、将来は保育士になると決意しました。

他の仕事にも興味はありましたが、担任の先生が私には兄弟が多いことを知っていたので、おそらく大丈夫だろうと割り振られた感じはありましたね(笑)。今となっては職場体験先が保育園でよかったなと思っています。

新しい発見ややりたいことが見つかることを期待して、高校は普通科に進みました。子供の近くで学びたい思いがあったので、少し斬新な決め方ですが、保育園の近くの高校という点で最終的に決めました。進学した高校は保育の勉強ができますし、付近には幼稚園や保育園が多数あり、通学路でも子供たちの姿が見える場所でした。

ー視野を広く持つために普通科を選んでいますが、以前からかなり考えて行動する性格でしたか?

そうですね。何かをする前にはまずいろいろ筋道を立ててから行動しますね。小学生の時は、イケイケドンドンなタイプでしたが、中学では物事を考えてから話す友達が多くて、影響を受けました。

中学校から始めたソフトテニスは、高校卒業まで6年間続けていましたね。学校が終わった後に、テニスの仲間たちの家に集まって語っていたりしました。将来の夢や進学したい大学や専門学校といった様々な情報を共有したり意見交換したりしましたが、保育士になりたい思いは変わらなかったですね。

「正解はないから、どんどん迷わずにやってごらん」心に残る担当教員の言葉

ー短大に入ってからは、選択肢がさらに広がりましたか?

保育士か幼稚園の先生のどちらになるか、選択肢が2つありました。保育園は0歳の赤ちゃんから5歳まで幅広い年齢の子供たちがいます。

赤ちゃんの頃は話せなかったりとか、3歳とか4歳とかだと自分の思いがうまく伝えられなかったりだとか、やっぱり子供たちの1年の大きさって全然違います。だからこそ、年齢に応じた考え方たや関わり方を考える機会が多い。

保育士なら毎日いろんなことが学べるかもしれないと思い、保育士を選びました。

ー保育士は女性が多いというイメージがあります。働く環境にギャップはありましたか?

女性は多いですね。今私の勤めている所も、男性は私1人です。物事の捉え方や関わり方はどうしても男性と女性で違いがあって、そこに悩みや苦しさはありました。

4年目ぐらいから段々とその違いも受け入れられるようになってきましたが、1、2年目はわからなくて苦しかったのを覚えています。

ー短大2年間の学びの中で、何か印象に残った出来事はありましたか?

実習が一番印象に残っています。「保育の仕事に正解はない」とよく言われるのですが、自分の性格上、わからないことは納得するまで考えたり、正解を求めてしまいがちでした。

そこで、当時実習を担当していただいた先生に「正解はないから色々失敗はあっても、どんどん迷わずにやってごらん」と言われたことが、一番心に響きました。

実習先ではどうしても評価を気にしていましたね。「成功させなきゃ、正解を見つけなきゃ」と気負いがあったのですが、先生の言葉でスッキリ。それからは、自分のやりたいことをやってきたかなと思います。

ー実習先で悩む学生は多いと思います。何かアドバイスできることはありますか?

私のように実習中に評価を気にする方もいると思いますが、失敗から学ぶことは多い。まずは自分がやりたいことに挑戦して、振り返りができればいいと思います。

ー就職先はどのような基準で選ばれましたか?

保育園によっていろいろな成長方針があります。今勤めているところは、礼儀や様々なことに感謝する、かなりかちっとした保育園です。

私は子供をのびのびさせる一方で、礼儀は小学校や社会人でもすごい大事だと強く思っていました。その思いと今勤めているところの教育方針が合致したので、そこに就職させていただきました。

自らを変化させ、職場環境を前向きに捉えていった新人時代

ー就職後に苦労された時期があったようですが、その時の状況を伺えますか?

短大卒業後に保育士の免許を取得して、正職員として就職しましたが、やはり実習とは全く異なり、社内環境や子供との関わり方に加えて業務に追われる日々を過ごしていました。子供は好きでも、仕事への適正や良い影響を与えられているかばかりを考えて、辛い日々でしたね。

ー具体的にどのようなことで、実習との差を感じましたか?

例えば子供たちが好きな行事について、職員同士の意見が噛み合わなかったりすると夜遅くまで話し合いをします。

また、1年目から話し合いの場で自分の意見を提示しても、白紙に戻されることが多かった。そのうちに「それは適していない」「全く違う」といった否定的な言葉ばかりを並べて、話してしまうこともありました。

「こうしなければいけない」と考えたり、自分の考えとは全く違う教えに沿って行動しようとすると、次第に職員や子供との関わり方がわからなくなってしまいました。人との関わりで悩むこともありましたね。

ー辛い状況を脱するきっかけは何だったのでしょうか?

自分の意見を持ちながらも、先輩や上司から教えていただいたことは素直に受け止めるようにしました。また、「違う考え方もあるよな」と捉えて、深く考えすぎるのをやめようと決めました。

自分自身が変わろうと強く心に決め、そのためにどうすればいいのか考えるところから始めました。最終的には「もっと軽く考えよう」とか、相手の思いや気持ちを受け入れることにたどり着きました。

ー辛い日々から抜け出した後のお話もぜひ伺いたいです。

考えを変えたことで、段々と相手と気持ちが通じ合うようになっていきました。自分の考えが認められれば、受け入れて貰えたと嬉しくなるし、そこから指摘だったものがアドバイスへと変わっていきましたね。

私の関わり方も、新しい気づきや上司の考えを真似してみるなど、段々とプラスに捉えられるようになり、今に至ります。

勤め始めた時は、自分の思いを伝えるだけになっていましたが、年数を重ねていくごとにまずは相手の考えを受け入れて提案をする伝え方にシフトチェンジしていきました。

三足のわらじをはいて。新しいことを始めるのはすごく楽しい

ー保育園のお話を伺いましたが、古着販売や動画編集の活動を始めたきっかけも教えてください。

勤めて3年目になると業務に慣れ、何か新しいことに挑戦しようと思うようになりました。学生時代から古着集めが大好きでしたし、外出すれば人間観察をすることも多かったので、「今の若者はどんな服が好きなんだろう」とか「こんな服を来たら嬉しいんだろうな」と考えつき、それなら自分なりに古着を集めてみんなに提供しようと販売を始めました。

ー保育士をしながら販売を始めてみて、いかがでしたか?

正直に言うと両立は厳しかったです。一時期、本業を忘れるほど没頭したことがありました。いけないと思いつつ、夢中で……。購入者に「ありがとうございました」とか「すごい素敵です」と言葉をいただくと、達成感がありましたね。本業より販売のほうにウェイトが傾いてしまった時もありました。

ー今も両立は難しいと感じますか?

少し保育士の業務も減り、手伝ってくれる仲間にお願いをして古着販売をやっているので、今はちょうどいいかなと思っています。

ーもうひとつの動画編集ですが、YouTube限定でしょうか?始めたきっかけは何でしたか?

今はYouTube限定でやっています。コロナ禍で私を含め友人たちの業務にも多少の余裕があったので話し合う場が出来たので、幼馴染も一緒に巻き込みYouTubeに挑戦してみようということで4人で始めました。

ー最初は試行錯誤されると思いますが、新しく挑戦してみてどのような気持ちでしたか?

やっぱり楽しいですね。試行錯誤を繰り返して、成功するにはどうすればいいかを考えるのはとても楽しいですよ。大変さよりも楽しさが勝っています。

ーハチキンさんにとって、成功とはどのようなことですか?

一番は世の中や人に認めてもらえることですかね。

ー保育士、古着販売、動画編集に取り組まれていて、認めてもらえたという実感はどうでしょうか?

保育士は、子供が何かできるようになったとか、自分の援助によって成長できた姿を見られますが、子供たちから認められるという実感を抱くのはなかなか難しいところもあります。そういう意味では、古着販売や動画編集は反応がわかりやすいというのはありますね。

ー20代は何でも挑戦できる環境はあっても、なかなか行動に移せないこともあると思います。ハチキンさんは、そういうことはありましたか?

やりたいことはすごいありましたが、どうしても行動に移せずチャンスを逃したことはありました。例えば古着のことだと、以前知人から一緒に何かやってみないかと誘いを受けたこともありましたが、その時は保育士の仕事と両立するのが難しいと判断して断りました。何か新しい気づきになるかもしれなかったわけだし、あの時挑戦しておけばよかったなと思うこともありますね。

ーハチキンさんの今後の目標を教えてください。

将来的には、自分の保育園を作ってみたいなとか、古着で自分のブランドを出してみたいなとか、YouTubeもどんどん有名になっていきたいなと思ったりしています。

ー三足のわらじを履くハチキンさんが、大切にしている価値観などはありますか?

3つの仕事どれにおいても、挑戦すること。新しいことに挑戦するっていうのは、心がけているところです。

ー最後に、U-29世代へメッセージをお願いします!

挑戦する権利は誰にでもあると思うので、失敗を恐れずいろんなことに挑戦して欲しいなと思います。

後はYouTubeを編集しているグループは仙台を拠点に、少しでもこの忙しい社会へ笑いを届けたいと頑張っているので、仙台バンビーナで検索をお願いします。

ーありがとうございました!ハチキンさんの今後のご活躍を応援しております!いろんなことに挑戦されており、仙台からYouTubeでも発信をしてますので、U-29としても今後の活動を応援していきたいなと思っております。

取材:新井麻希(Facebook
執筆:Asuka(Twitter
デザイン:高橋りえ(Twitter