浪人時代に心機一転!連続起業家・山地 瞭に学ぶ、他人と違うことに挑戦する面白さ

様々なキャリアの人たちが集まって、これまでのステップや将来への展望などを語り合うユニークキャリアラウンジ。第476回目となる今回は、連続起業家 山地 瞭さんをゲストにお迎えし、現在のキャリアに至るまでの経緯を伺いました。

音楽スタジオWeb予約プラットフォーム事業と交通安全事業、二つの異なる業種に携わっている山地さん。今回は二足のわらじを履くことになった経緯と、今後のビジョンについて語っていただきました。

「孤独を愛せ」浪人時代にもらった祖父の言葉。

山地瞭

ーまずは現在の活動や取り組みについて教えてください。

山地 瞭と申します。

現在、音楽ITベンチャーの代表取締役とモビリティテックベンチャーの取締役を兼任しています。前者では国内最大級の音楽スタジオWeb予約プラットフォームである「スタジオル」を運営しており、後者では「世の中の交通事故をゼロにする」というミッションに、道路交通法違反を検知するスマートフォンアプリ「AI-Contact」を提供中です。

異なる業種の二足のわらじを履きながら、日々挑戦を続けています。

ー第一の転機は浪人時代と伺ったのですが、浪人するまでにどのような経緯があったのですか?

私は高校生のとき、とても親しい友人と東京大学を目指していました。友人と切磋琢磨していたのですが、あまり勉強しなかったせいで友人とどんどん差が開いてしまって……。友人は東京大学に現役合格しましたが、私はどこの大学にも受からず浪人時代に突入しました。

今まで順風満帆に人生を歩んできましたが、浪人したことで同世代と学年がずれ、レールから外れた感覚に陥って非常に落ち込みました。友人が楽しそうに大学生活を送っているときに、自分は毎日予備校で朝から晩まで勉強する日々。当時の私はプライドが高かったこともあり、出身の神奈川県ではなくどこか遠くに行きたいと考えました。結果、北海道大学に受験し、進学することになりました。

ー今振り返ってみて、良い経験だったと感じるところはありますか?

はい。小学生の頃からみんなを楽しませることが好きだったのですが、それがプレッシャーになることも多くて……。ですが浪人時代は周りの期待に応える必要がなかったので、そこから自分の人生をひとりで楽しむことができるようになりました。

浪人時代に祖父から「孤独を愛せ。雑魚は群れるから雑魚なのである。自由に大海を泳ぐ楽しみを知りなさい」というメッセージをもらったんです。その言葉から、今まで自分は他人に合わせて生きてきたと気付かされて……。そこから、自分の人生を誰にも振り回されることなく生きてみようと考えるようになりました。

ピアノサークルの会長になり、組織の導き方を学ぶ

山地瞭

ー話は変わりますが、進学先を北海道大学に選ばれたのは何かきっかけや大学で注力したことを教えてください。

一度リセットしたいという意味合いと、父が北海道大学出身で楽しかったと聞いていたのもあり、北海道大学を選びました。

実は、進学したときから東大に行った親友に勝ちたいという目標があったのです。自分で面白い事業を興してそれを大きくしていけば肩を並べられるかなと考え、そのために大学生活はアクティブに動こうと昔から好きなピアノのサークルに入りました。

大学2年生のときにサークルの会長になって100人以上在籍している部員をまとめる中で、自分とは違う考えを言われたり人間関係のもめ事があったりすることが多くて……。そこで、考えが違う人とのコミュニケーションの取り方や、まとめ方を学ぶことができ、社会人として必要な組織を良い方向に導いていくスキルを身に付けることができました

ー自分と違う考えは新しいことを生む面白さがある反面、理解することは難しいと思うのですが、関係作りをする中で何かポイントはありますか?

そうですね。あまり表面上の言葉を深く考えても仕方がないので、その奥にある意図や背景を考えることです。言葉の意味とは別の意図を感じ取ることがとても大事なことですね。

私は、自分と合わない人こそ積極的に交流することにしています。同年代を見ていると合わない人とは避けて付き合わないようにしている人が多いのですが、合わない人こそ積極的にコミュニケーションを取った方が、言動の意図を汲み取ったとき意外と面白いことがあると思うのです。

ーありがとうございます。事前にいただいた資料に在学中ビジネスコンテストを開催したとあるのですが、具体的にどのような経緯で開催されたのでしょうか?

はい。父が色々なネットサービスを作っている影響でインターネットビジネスに興味があり、様々なビジネスアイデアを生み出すことに力を入れていました。良いアイデアがあれば学生で起業しようと思って色々考えていたのですが、なかなか成功しそうなアイデアが思い付かない。人に見てもらおうとビジネスコンテストに応募したくても、北海道ではあまり開催されておらず……。

どうしようか悩んでいるとき、堀江貴文さんのゼロという本が出たのです。この本は、当時の腰を据えてビジネスプランを考えたい私にとってピッタリの本でした。実際に堀江さんに会ってみたいと考えて、自分でビジネスコンテストの企画をして堀江さんのTwitterにメッセージを送信。そうしたら堀江さんから審査員をやっていいと言ってくださり、ビジネスコンテストを開催・参加することができました。この経験から将来起業したいという思いは強くなったのです。

ー大学生でコミュニケーションの面と事業家的な面、どちらも濃い経験された山地さん。次のステップは、どのように進まれたのですか?

当時インターネットが絶対に鍵になると思っていたので、インターネットサービスを生業としている企業に入ろうと考えました。様々な企業を見ていく中で、当時「インターネットで地方をエンパワーメントする」というミッションを掲げていた楽天の理念に共感し、楽天に入社しました。

楽天には丸2年在籍していたのですが、企業から依頼を受けて企業のブランドイメージなどを調査するインターネットリサーチの部署で勤務していました。そこで、マーケティングの考え方や市場の見方などを習得。他部署との交流も盛んだったのでWebのプラットフォーム運営のノウハウも習得し、現在経営している音楽スタジオの予約プラットフォームを制作して起業しました。自身がドラムとピアノのプレイヤーだった経験から、ミュージシャンが気軽に音楽スタジオを予約できるプラットフォームを作りたかったのです。

実績・顧客すべてがゼロからの起業経験

山地瞭

ー起業した際、一番苦労されたことは何ですか?

実績が全くなく、お客さんも一人もいない状態で独立したことです。

楽天ではリサーチ部門に所属していたため音楽スタジオに関連したお客さんは一人もいませんでした。2017年4月(当時25歳)に退社し、そこから半年間システム開発に費やしてから音楽スタジオへの営業を開始しました。全国500店以上の音楽スタジオに営業しましたが、導入実績が1件もなかったので信用がなく、興味は持ってくれつつも契約には至りませんでした。飛び込み営業では契約してもらえないと考えFacebookで予約システムについての熱い思いを書いたところ、知り合いから音楽スタジオのオーナーをご紹介いただいたのです。

そのオーナーは群馬県にある音楽スタジオを経営しており、スタジオに何度も足を運び音楽スタジオやミュージシャンに対する熱い思いを訴え続けました。出向きはじめて何度目かのある日、ついに予約システムを導入してくださることになったのです!

そちらのスタジオは、予約システムの導入によって格段に業務効率を向上できました。実績を作ることができたため、早速オーナーのインタビューを記事にして今までお断りされた音楽スタジオに営業し、現在では日本全国600スタジオ以上に導入され、会員数も4万人を突破することができました。

ー音楽に対する熱い思いを訴え続けて成功されたのですね。この流れで山地さんが参画するもう1つの会社に参画する経緯も教えていただけますか?

会社の経営が軌道に乗ってきたころ、2018年にKSAP(かながわ・スタートアップ・アクセラレーション・プログラム)に採択されたんです。そこで現在参画しているジェネクスト株式会社の笠原社長と出会いました。

経営仲間として親しく交流していたのですが、1年後のイベントでお会いしたとき笠原社長から経営を手伝ってほしいと言われました。かねてからジェネクスト株式会社は素晴らしい技術やミッションがあるのにマーケティングが勿体ないと感じていたので、喜んで参画することに。

笠原社長の「世の中の交通事故をゼロにする」というミッションが伝わるホームページを作成し、プロダクトのよさを端的に伝えることで非常に社会的に注目されるようになったのです。そこに面白さを感じ、二足のわらじで参画しています。

楽器が練習しやすくて、交通事故のない社会を創る

山地瞭

ー最近注力されていることや今後の展望などあれば教えてください。

音楽スタジオの予約サイト運営は、お陰様で会員数は4万人を超えてようやく伸びてきたと感じております。しかし、コロナ禍になり、音楽スタジオのオーナーから緊急事態宣言で営業できず困っているとの声も聞こえます。楽器を一人で演奏しに来る方もいる中、どうしてもスタッフを置かなければならないため人件費がかさみ、廃業に追い込まれたスタジオも少なくありません。

そこで何かできることはないかと考え、24時間無人経営のスマート音楽スタジオ「ラクスタ」の自社スタジオ経営を開始したのです。スタッフは置かず鍵はスマートロックという機能を使うことで、深夜早朝もスタジオを使用することができコロナ対策もすることができました。人件費もかからないため、ラクスタによって、新しい次世代の音楽スタジオ経営のノウハウを蓄積することができました。

無人スタジオではお客様はパジャマでも良いし、スマホで簡単に予約して煩わしい手続きなくすぐに演奏が始められます。スタッフがいないことでスタジオに対してのハードルが下がったのではないかと感じています。

ラクスタで数か月試用期間を設けたのですが、うまく運営できてきたため他の音楽スタジオにも導入をはじめており、もう20店舗以上がスタジオルの予約システムを通じて無人スタジオ化しています。スタジオ経営者やミュージシャンのためにも、無人スタジオがスタンダードな世の中になるようにこれからも努力していきます。

また、ジェネクストでは数々の先進的なモビリティアプリをどんどんリリースして、「誰もが交通ルールを守る、事故のない社会」を創っていきたいと思っています。

上場を目指して採用も強化しておりますので、興味がある方は是非お気軽にご連絡をいただければ嬉しいです。挑戦的な職場ですので、自分のキャリアを伸ばしたいという若い人にはピッタリだと思います。お待ちしております!

ーありがとうございました!山地さんの今後のご活躍を応援しております!

取材者:山崎 貴大(Twitter
執筆者:柚月 歩(note/Twitter
デザイナー:安田 遥(Twitter