様々なキャリアの人たちが集まって、これまでのステップや将来への展望などを語り合うユニークキャリアラウンジ。第306回目となる今回は、フィットネスとコーチングをかけ合わせた独自サービスを展開する株式会社GOAL-B代表の中川晃雄さんをゲストにお迎えし、現在のキャリアに至るまでの経緯を伺いました。
子供時代は内向的だったという中川さんですが、現在はYouTuberとしてチャンネル登録者数12万人を越えるほど多くの人に影響を与える存在となっています。中川さんを変えたものとは一体何なのか?人生のターニングポイントを探っていきます。
世界一周を経て得た何でもできるという自信
ーまずは現在の中川さんの活動をお教え頂いけますか?
現在は自らが立ち上げた株式会社GOAL-Bの代表取締役として、フィットネスとコーチングの事業を推進しています。
会社を立ち上げたのは、一会社員として企業に勤めていた時です。学生時代からブログでアフィリエイト収入を得るようになり、会社員になってからもYouTuberをやりながらコーチングやフィットネスサービスを副業として行っていたんです。
2020年の4月に会社を辞めて、GOAL-Bの経営に専念するようになりました。
ーとても活動的な印象を受けるのですが、幼少期のころから経営やフィットネスに興味があったのでしょうか?
全くそんなことは無いんです。僕は、大学に入る以前の自分の生き方を僕はある一定の時期までめちゃくちゃ後悔していました。
変わるきっかけとなったのは大学受験の失敗でしょう。試験に落ちた頃、たまたま銀杏BOYZというバンドの「童貞ソー・ヤング 」という曲を聴いたんです。青春時代の素晴らしさを謳ったその曲を聞いたとき、自分はなぜ全力で生きてこなかったのかと激しく後悔しました。恋愛も勉強も部活でやっていたサッカーも全力を出していなかった。たった一度しかない青春なのになぜ適当に生きていたのかと。
それまでのミスをこれからの生き方で取り返そうと決意したんです。浪人中は、勉強の傍らひたすら本を読んで知識を身に着け、パワーを蓄えていました。
ー大学に入ってからはどのような経験をされたのでしょうか?
主にエネルギーを爆発させたのは旅ですね。
大学1年生の時、バックパッカーとなりインドへ廻ったのが最初です。日本では見ることのないような様々な人の生き方を目の当たりにしました。一生路上でバナナを売る人もいるし、何もしないで生きる人だっている。どんな風に生きてもいいんだと気付かされましたね。
その後は休学をして、所持金0円スタートのヒッチハイクで日本を一周し、アメリカを横断し、ユーラシアを横断し、アフリカを縦断してキリマンジャロへ登りました。
僕にとって旅とは成功体験の積み重ねです。見たことのないものを見て、食べたことのないものを食べ、触れたことの無いものに触れる。そんな小さな成功体験を積み重ねることで、自分は何でもできるんだという根拠の無い自信を身に着けることが出来たんです。
筋トレとの出会いが副業のきっかけに
ー旅というよりは冒険のようですね。筋トレを始められたのもその頃からですか?
筋トレを始めたのは世界一周の旅を終えて帰国してからですね。当時の自分の体は今とは比べものにならないくらい細かったんです。中学生の頃にダンベルを買ってトレーニングをしてみた時期もあるのですが、なかなか筋肉がつかなくて諦めていました。
ところが旅から戻って、久しぶりに家に帰ってみると弟がマッチョになっていたんです。弟には負けられないと思って、本気になってトレーニングに取り組んだところで、2か月で8キロほど体重が増え、体は目に見えて変わりました。
「やれば変わるんだ。短期間でも必ず成果が出る。これが筋トレなんだ!」と感動しました。
やれば100%変われることなんて、筋トレ以外この世界に存在しません。これほど確実に自分をレベルアップさせる手段はないと、どんどんのめり込んで行きました。
旅に出たころからブログ「AKIOBLOG」を初めていたのですが、その内容も次第に筋トレを良さを伝えるものへと変わっていきましたね。プロテインやサプリメントを紹介することで、アフィリエイト収入も得られるようになりました。
ー筋トレをきっかけにして、ビジネスを学んでいったんですね。卒業後のキャリアを当時はどのように描いていたのでしょうか?
当時は特に何がやりたいという夢を持っていたわけではないんです。ただ大学院へ行くよりも実際に働きながら何かに挑戦した方が自分の成長につながるだろうという直感がありました。
試しに2社の採用試験を受けたところ、そのうちの一方のリクルートから内定を得ることができ、営業マンとして働き始めたんです。
ー就職された後も、YouTuberを始めるなどパラレルキャリアを歩まれてきたのには、どんな想いがあったのでしょうか?
就職したは良いものの、周りの先輩たちの中で惹かれるようなキャリアを歩んでいる人に出会うことができなかったんです。このまま会社の人と同じことをしていたら、学生時代に想い描いたすごい人物にはなれないと危機感を持ちました。
そこで、とりあえず学生時代から続けてきたブログで月100万円稼げるようになろうと考えたんです。結果的により一層筋トレに集中するようになりましたね。
毎朝5時には起きて出社までにブログを書きました。会社から帰ったら必ずジムへ行って筋トレをします。
ーそうしたことを毎日積み重ねることは簡単ではないと思います。モチベーションは何だったのでしょうか?
やはり根源的な部分には青春時代の後悔があります。人生は一回しかないという危機感がすべての原動力でしょう。自分が何をしたいのか真剣に考え行動することが大事です。筋トレもブログも、中長期的に見て必ず自分の人生に利益をもたらすものだという直感がありました。
自分がやりたいことに真摯に向き合うことは確かに簡単ではありません。私の場合、コーチングに出会えたことで、そのための集中力を養うことが出来ました。
筋トレ×コーチングは最強の組み合わせ
ーコーチングに出会ったきっかけは何だったんでしょうか?
もともとは、人が変わる手助けをしたいと思うようになったことが始まりです。
ブログをやっていると「AKIOBLOGを見て僕も筋トレを始めました。おかげで変われました!」というコメントをよくもらうんです。そこにやりがいを感じて、もっと直接的なサポートをしたいと思うようになりました。
オンラインでトレーニングと食事の指導・管理をサポートするサービスを始めたところ、かなりの反響があったんです。トレーナーの資格も取得してパーソナルトレーニングのサービスも展開するようになったのですが、人生を変えたいと願う人をサポートするとき、体を変えてあげることだけでは一定のレベルにしか到達できないことを痛感したんです。
筋トレだけでは足りないものを補うものは何か。そんなことを考えているときに、会社の同僚からコーチングのことを教わりました。「これだ」と思いましたね。人生を変えるためにランクアップする鍵は筋トレとコーチングの組み合わせだと直感したんです。
すぐにコーチングを受けるようになり、自らコーチとなるための勉強を始めたんです。
ーYouTubeでもコーチングの素晴らしさを説かれていますよね。
ブログの収入が伸び悩んでいて何か方策は無いかと考えていたときに『
動画2.0 VISUAL STORYTELLING』(著:明石ガクト/NewsPicks Book)という本を読んだんです。
テキストの時代が終わり、動画の時代が来るというメッセージに感銘を受け、翌日すぐにヨドバシカメラへ行き、カメラを買ってYouTubeを始めました。
ただ、筋トレの動画をアップしているYouTuberはとても多くて、当初はなかなか差別化を図れなかったんです。YouTuberとして本格的にやっていくために会社を辞めようかとも考えたのですが、僕のパーソナルトレーニングを受けてくれていたある人の一言で踏みとどまりました。
その人は「あなたがただの筋トレYouTuberになっても意味はない。会社員として働きながら副業をやり、筋トレにも全力投球していることこそがあなたの強みなんだ」と言うんです。
自分の競合優位性がどこにあるのか、はっと気づかされました。
それからは、当時まだ流行ってもいなかったルーチン動画で僕のありのままの生活を公開していきました。「筋トレ大好きサラリーマンの一週間」などと題した動画が何百万回も再生され、登録者数は一気に数万人単位になったんです。
YouTuberとして認知されたことで集客ができるようになりました。当時既に友人を誘って、パーソナルトレーニングなどを分業していたのですが、会社にした方がやる気も高まると考えてGOAL-Bを起業したんです。
ー2020年の4月には会社を辞めて、GOAL-Bの経営に集中されるようになったんですよね?GOAL-Bを通して実現したいことはどのようなことでしょうか?
創業時、僕はGOAL-Bの経営理念として「すべての人に可能性がある」という標語を掲げました。
人は可能性の塊なんです。やればなんだってできる。フィットネスやコーチングを通して人の可能性を爆発させることで、圧倒的な現実をつくることがGOAL-Bの事業なんです。
行く行くはGOAL-Bを、個人だけでなく世界に影響を与えるような会社にしたいですね。僕自身がそうだったように、会社に頼らず個人でも生きられる時代になりました。そんな時代にあって、GOAL-Bという組織に所属する意義を社員と一緒に追求しくつもりです。
ー本日はありがとうございました!中川さんのさらなる挑戦を応援しています!
取材者:山崎貴大(Twitter)
執筆者:海崎泰宏
デザイン:五十嵐有沙(Twitter)