大企業で働きながらバンライフを送る木下雄斗にとって旅も、人生も、何もかもが正解?!

様々なキャリアの人たちが集まって、これまでのステップや将来への展望などを語り合うユニークキャリアラウンジ。第375回は大企業で働きながら、車上生活(バンライフ)を行われている木下雄斗さんです。幼少期から旅好きだったという木下さんが旅とは遠い電機メーカーへ就職を決められた理由とは。これまでの人生のターニングポイントを振り返ってお話しいただきました!

大企業で働きながら好きなことに挑戦中

ーまずは簡単な自己紹介をお願いします。

総合電機メーカーのパナソニック株式会社で新規事業を行っています。また、1つ上の従兄と共に起業し、VanWavesの共同代表としても働いています。バンライフカーの製作・テントサウナの製造、新規事業のコンサルなど副業内容は様々です。

現在はコロナによってリモートワークが中心となっているので働きながら車で生活する、バンライフも行っています!

ーいろいろ順番にお聞きできればと思いますが、本業についてまずはもう少しお伺いできますか。

本業ではシンガポールを中心としたアジアの販社の方に新しい事業の提案する業務を担当しています。なのでマーケティングよりかは企画に近い仕事ですね。これまでモノを売って終わりだったところから、悩みや課題に合わせた解決策を提案しようという流れでの業務になります。アジアの販売会社に対してディスプレイを売るだけではなくそれに使われる配信システムやソフトウェアを組み込んでの販売を提案したり、顔認証ビジネスをシンガポール政府に対して提案するなど、コア技術を他の商材やサービスに組み込み、より付加価値を高めた提案を現地の販売会社と共に行っています!

ーそして本業を持ちながら、車上生活を送られているんですね !

バンライフは昨年の3月にコロナの影響で基本テレワークになったことから始めました。もともと、アメリカなどで著名人がバンで生活しているというのを知ってからそのようなライフタイルには憧れがあったのですがオフィスワークとの両立は難しくコロナのおかげで実現したような形になります。

バンライフと言っていますが、車自体がベッドルームのようなイメージで、基本は外で生活するので自然がリビングのような感じになります。また、家(ハウス)という機能がないだけで、住む場所(ホーム)はあるのでよくハウスレスだと私たちはよく説明しています。

 

旅好きは幼少期の頃からずっと変わらず

ー木下さんに大きな影響を与えたターニングポイントに沿って現在に至るまでのお話もお伺いできればと思います。幼少期の頃で現在の木下さんに影響を与えた出来事はありましたか。

幼少期で記憶に残っているのは5歳の頃、小学1年生の初めての夏休みに従兄と2人で隣町まで電車で行ったことですね。隣町ではありましたが、小学1年生にとっては大冒険で刺激的な1日だったのを覚えています。それまで車で行ったことがあるところに自転車と電車を使って自分の力で、保護者なしで行ったんです。

その時以来、夏休みは毎年従兄と出かけるのが恒例になりました。これが旅が好きになったきっかけであり、今のライフスタイルができたきっかけだと思います。

ー中高時代はいかがでしょうか。

中学1年の春休みに行ったカンボジアの植林ボランティアでの経験も自分にとっては大きなターニングポイントだったなと思います。カンボジアへは自分の意思ではなく両親に勝手に登録されて止むを得ず行ったのですが、現地でスラム街や孤児院にいた子どもたちに出会って、自分よりも恵まれていない環境にいる子どもたちが笑顔なことにびっくりしました。その時に自分はずっと周りと比べて不幸だと思っていたけれど、子どもたちの笑顔を見て、人と比べるのはやめようと思ったんです。

というのも、1歳の時に両親が離婚し、10歳の時に母親が自分と12歳しか変わらない父親と再婚。本当の父親のことを覚えていないことを不幸だと思ったり、周囲に離婚・再婚した家庭がなかったためずっと周りと比べて劣等感やコンプレックスのようなものをを感じていたんです。

カンボジアで、与えられたものに満足した心豊かな人たちと出会ったことで、自分の考え方を改めることができ、感じていたい劣等感を克服することができました。人生において与えられた役目がそれぞれあり、与えられた環境でどうやって自分らしく前向きな気持ちで頑張るかが大切だなと今でもずっと思っています。

ー貴重な体験を中学1年ですでにされていたんですね!

中学から海外に行く機会があったのはとてもラッキーだったなと思います。カンボジアに行った際、学校で学ぶこととは違う学びや気づきが海外では得ることができると知り、15歳の時にはオーストラリアに留学しました。これが初めての海外での長期滞在でした。英語科に進学していたものの、英語は苦手科目だったため、ホームステイ先でも初日から怖くて泣いていましたね。1年経っても英語が全く話せていない夢もみたりしました(笑)幸い、仕方ないと諦めて楽しめるタイプの性格だったので、前向きに英語の勉強に取り組むことを決意し、学んだことをどんどんアウトプットして英語を身につけていきました。

 

ハプニングも楽しみながら新しい挑戦を続ける

ー大学時代はどのように過ごされていましたか。

大学ではとにかくいろんなところに旅行に行きました。

大学1年の時にたまたまテレビで見た「大阪から東京まで1ヶ月歩いて旅したイギリス人」の影響を受けて、従兄と大阪から東京まで1週間かけてママチャリで旅行しました。夏だったので暑く、特に箱根の山を越えるのが大変でした。コンビニのるるぶの単行本を見て、自分が着々と東に移動していることを確認してモチベーションを保っていましたね。大学生になった時点ですでに国内はほぼ行きつくしていたこともあって、ママチャリの旅や海外へバックパッカーするなど大学在籍中は一風変わった旅をすることが多かったです。

ーそんな中、旅とは関係のない電機メーカーを就職先に選ばれた理由を教えていただけますか。

パナソニック創業者の松下幸之助の「物を創る前に人を作る」という言葉に共感したことと、1番最初に内定をいただいた会社だったことが理由です。実は初めから1番に内定をくれたところに就職しようと決めていたんです。起業してみたい気持ちも全くなかった訳ではないですが、祖父や母が高卒だったことでしないでもいい苦労もしてきたと聞かされていたこともあり、まずは就職してみようと思い、就活をしていました。

結果的には、やってみたかった新規事業に関わらせていただくことができ、大企業の仕組みなども知ることができたのでよかったです。

ー今後の目標などは何かありますか。

明確な目標はありませんが、新しいことをやり続けていきたいなと思っています。新しい趣味を開拓してもいいし、新規事業を初めるのもいいですね。綿密に計画をたて、目標を順番に達成していくことにやりがいを感じる人もいるかと思いますが、自分の場合は計画外のことがあった方が面白いと感じるタイプなので、ご縁を大切に、運も頼りながら、目標をその時その時で柔軟に変えて自分の好きなことをやり続けていきたいと思っています!

ー最後に、旅をたくさんされてきた木下さんだからこそのU-29世代へのメッセージがあればぜひお願いします!

旅の特徴は何もかもが正解になることだと思っています。目的地に予定通り着くことも、予想外のハプニングが起こることも、道中での出会いも含めて全てが旅の醍醐味であり、旅のあるべき姿なんですよね。これは人生においても言えることなんじゃないかなと思っています。大変なことや嫌なことがあっても、まずはその状況を楽しんで、面白そうと思うことができれば素敵な気分で過ごせると思うので、ぜひみなさんもそんなことを日々の生活の中で意識してみてくれればなと思います!

インタビュー:増田稜(Twitter
執筆者:松本佳恋(ブログ/Twitter
デザイナー:五十嵐 有沙 (Twitter