「自由を自由につくる」私がエシカルファッションでパラレルワークを決意するまで 一般社団法人TSUNAGU理事 小澤茉莉

様々なキャリアの人たちが集まって、これまでのステップや将来への展望などを語り合うユニークキャリアラウンジ。第267回目となる今回は、一般社団法人TSUNAGU理事 小澤茉莉さんをゲストにお迎えし、現在のキャリアに至るまでの経緯を伺いました。

「TSUNAGU」、ライター、立ち上げた団体の運営という3つの草鞋で自由に生きることを決めた小澤さん。その決断の経緯やこれまでの経験について詳しくお伺いしました。

タイのスタディツアーでエシカルファッションに出会う

ーまずは簡単に自己紹介をお願いします。

エシカルファッションに関する活動をしている一般社団法人TSUNAGU理事の小澤茉莉です。

一般社団法人TSUNAGUでは、日本の伝統技術である徳島県の藍染めとコラボレーションした商品開発や草木染めのワークショップ、エシカルファッションに関する講演などを中心に活動しています。

ーまず、学生時代のお話を詳しくお伺いできますか?

高校は女子校に通っていて、合唱に熱心に取り組んでいました。高校は女子校に通っていて合唱部に入部し、大会を目標に日々練習をしていました。

大学進学に関しては、当時具体的にしたいことが決まっていなかったのですごく悩みました。ただ、もともと海外に関心があったので、国際関係の大学に進みたいと思っていましたね。

その後入学し国際関係の勉強をする中で、徐々に女性のエンパワメントに関心を持つようになりました。その中で、女性起業家のコミュニティをきっかけに、大学2年生の時にタイへのスタディツアーに参加しました。そのスタディツアーの訪問先は、ナチュラルコットンを使用したアパレルブランドで、そのツアーをきっかけに「エシカルファッション」に興味を持ちました。

ー実際、タイに行ってみて感じたことは何ですか?

ツアーで訪問したところはコットンの生産を行っている地域でした。現地でコットンがどのように育てられているかを知ると同時に、ファッション産業全体としてコットンを大量生産する過程で農薬などが原因で環境破壊に繋がっていることを知りました。また、タイ国内でも地域によって経済格差が大きいという状況を知りました。そうした環境問題や労働格差といった社会問題への解決に向けた「エシカルファッション」に興味を持つようになりました。また、実際に生産者さん達と交流する中で、生産者・消費者を超えたコミュニティとしてのファッションの形がとても心地良いなと感じました。

ーそれでは今の活動の軸でもある「TSUNAGU」とはどういった出会いだったのでしょうか?

日本に帰国し、実際に日本におけるエシカルファッションの現状に関心を持ち、調べてみたところ、草木染めランジェリーブランド「Liv:ra(リブラ)」の存在を知りました。エシカルファッションに対して熱意を持って活動されているのを見て、代表と話したい気持ちになりました。その後実際に代表とお話をする機会をいただき、日本の若者にエシカルファッションを広めていくために「TSUNAGU」を構想されていたことを知り、共感しました。私自身も、多様な「エシカル」のアプローチの中でも特に「地域のものづくり」や「伝統技術」に関心があったので、TSUNAGUに参画させていただくことになりました。

ー「TSUNAGU」での活動を詳しくお伺いできますか?

まず初めにクラウドファンディングを用いて、徳島県の藍染めとコラボレーションしたワンピースやTシャツなどを受注生産しました。どこで・誰が・どのように作っているのかという生産背景や、価格の内訳を公表するなど、情報の透明性を大切にしています。

※クラウドファンディング…インターネットを通して自分の活動や夢を発信することで、想いに共感した人や活動を応援したいと思ってくれる人から資金を募るサービス。

また、身近に草木染めを体験できるようなワークショップを実施したり、学校でエシカルファッションに関する講演をさせていただきました。

「世界青年の船」への参加がきっかけで「前向き」な休学を決意

ー大学時代1年間休学をしていたそうですが、休学をした経緯をお伺いできますか?

休学を決めた1番のきっかけは、内閣府の「世界青年の船」という国際交流のプログラムに参加したことです。

「世界青年の船」は世界各国から集まったメンバーと船で共同生活をし、世界各国を回る国際交流プログラムです。その当時、私自身エシカルファッションを本格的に探究したいという気持ちはありましたが、明確に休学を考えていたわけではありませんでした。そうした中で、「世界青年の船」に参加していた友人の中に休学をしてアクティブに活動する方がたくさんいて、その方々のパッションに影響を受けました。同時に、私ももっとエシカルを突き詰めていきたいと思い、大学3年生と4年生の間の1年間休学をすることを決めました。

ー大学3年生で休学を選択しエシカルファッションを学ぶことで、小澤さんはどんな考えに至っているのですか?

デザイナーさんや生産者さんなど直接製品に触れて生産している方々と関わることで、「エシカル」を文化的に考えていくことが大切だと思うようになりました。

今まで私自身「どうしたら社会課題がもっと広く認知されるのか?」というように、自分の「外」にある社会課題に対して行動を起こしたいという気持ちが強くありました。ですが、エシカルファッションを実践する方々と交流する中で、そもそも自分がワクワクすることを見つめることの大切さを実感しました。

「社会課題」というのは誰が見るかによって「課題」になるかが変わってくると思っています。つまり、「自分の経験」というレンズを通して「課題」になっていく、というか 。実は、社会課題と呼ばれるものは、自分の内側の鏡のような、そんなものだと思っています。なので、自分の「外」にある社会課題に向き合うには、自分の「内」にある感情と向き合う必要があるのではないかな、と気づくようになりました。

「社会」に対して自分は何ができるかを考えることも大切だとは思いますが、そればかり考えてしまうと、自然と自分自身がバーンアウトしてしまうと思います。私自身もそう感じることが多々ありました。自分が消耗しては元も子もないので、もっと自分がワクワクすることをしていくことがすごく大切だと気がつきました。

それと同時に、自分が卒業したらどうするかを考えた時、新型コロナウイルスの影響で留学できないこともあり、大学院への進学や就職は自分の中でしっくりこなかったんです。

そして、休学をしたことで自分が本当に探究したいことを軸に活動する楽しさを実感し、卒業後は「TSUNAGU」、ライター、そして立ち上げた団体の運営という3つの領域でパラレルに活動すると決めました。

ライターとしては、自身が興味のある「日本発サステナビリティ」の形を探究するべくライティングや映像などを通して発信していく予定です。

また、団体の運営に関して、昨年一般社団法人Social Good Nativesを立ち上げており、サステナビリティに関心がある方や実際にその領域で活動をされている方のコミュニティを作っています。

同時に、私自身も今後の「働き方」や「生き方」を考えていきたいと思っています。今って、受験=> 大学進学=> 就職、のような一本道が主流ですが、一人一人の生き方はもっと多様ですよね。大学も行きたかったら行く、起業もしたいタイミングでするなど、人生はもっと「自由」でいいと思っているので、そうしたライフスタイルについても発信していきたいと思っています。

「エシカルでメシを食べる」ために、「自由」を自由に作る。

ーずばり、「エシカルでメシは食べられるか?」について詳しくお伺いできますか?

エシカルで「メシを食べる」のは「どう食べるか」「どんな物を食べるか」が重要になると思っています。なので、自分が大切にしたいことによって活動内容や働き方が変わっていくと思っています。

私はそもそも、自分の感性を磨く時間を大切にしているので、例えると、「まずは自分が本当に美味しいと思える物を食べたい」イメージです。自分で「素材」を選んで、さらに自分で「料理」をするのが今のイメージを叶えられる手段だと思っています。

ー最後に小澤さんの今後のビジョンをお願いします!

自分が感じる「自由」を自分でつくっていこうと思っています。「自由になりたい」という言葉がありますが、私は自由というものは「なる」ものでなく「つくる」ものだと思っています。私自身、そうした自由な環境をつくり感性を深めていくことに楽しさを見出しているので、そういった自分の働き方・生き方の部分も今後発信していきたいですね。自由を作るためには、自分の心が自由であることが大切。だからこそ、自由に「自由」をつくることをこれからもしていきたいと思います。

ー短い時間で濃いお話をありがとうございました。小澤さんの今後のご活躍を楽しみにしています!

エシカルファッションを広める活動をする小澤さんには、この記事には書き切れないお話もたくさんあります。もっと知りたい方はぜひ小澤さんのnoteをご覧ください!

小澤さんnoteはこちら

執筆:ゆず(Twitter
インタビュー:増田稜(Twitter
デザイン:五十嵐有沙(Twitter