様々なキャリアの人たちが集まって、これまでのステップや将来への展望などを語り合うユニークキャリアラウンジ。第250回目のゲストは日本赤十字社で人道支援に取り組む藤井理緒さんです。初めて国際協力に興味を持ったのは小学6年生だったという藤井さん。国際協力に興味を持ったきっかけや、ファーストキャリアとして日本赤十字社を選ばれた理由などお聞きしました!
ファーストキャリアで国際協力・人道支援を選択
ーまずは簡単に自己紹介をお願いいたします。
今年の4月より日本赤十字社で人道支援の仕事をしています、藤井理緒です。外資のIT企業にも内定をいただいていましたが、昔から国際協力に興味があったのでそのキャリアに進むべく、赤十字社への入社を決めました。
ー具体的にはどのようなお仕事をされているのでしょうか。
日本では赤十字社というと献血や病院のイメージを持っている方が多いかと思いますが、実は様々な事業に取り組んでいるグローバルな機関です。紛争や地震などがあった地域に人道支援を届ける団体と思っていただくのがいいかと思います。
私は青少年ボランティア課に所属しており、日本国内の青少年に対して教育面での活動を行う部署にいます。その中で私は日本国内の教育機関と連携し、ネパールの青少年と日本の青少年の交流を目指す共同プロジェクトを担当しています。
ー4月に入社されたところとのことですが、働いてみていかがですか。
国際協力に関わる方法はいろいろあるかと思いますが、日本赤十字社で国際協力に関わる良さは、地元に密着したプロジェクトが多いことだと思います。必要としている支援はその国ごとに違うので赤十字社ではその国の赤十字社に独自性が求められているんです。国によって柔軟に対応し、現地の人と一緒に取り組むことができているので日々気づきも多く、充実しています。
国際協力への興味のきっかけはマイケルジャクソン
ー国際協力には昔から興味があったとのことですが、過去を振り返って、その経緯やきっかけについて教えていただけますか。
海外への憧れは幼少期からありました。好奇心旺盛な子供で、家の近くに図書館があったことや家にパソコンがあったこともあり、情報に囲まれて育ったことが影響していると思います。国際協力に関心を持ち始めたのは小学校6年の時です。マイケルジャクソンの大ファンだったのですが、当時好きだった曲はWe Are The Worldがエチオピア大飢饉の救済が目的で作られたことを知ったのがきっかけです。
ー小学生の頃から国際協力に関心が向いていたのですね!
はい。We Are The Worldは国際協力への関心だけではなく多様性についても考える良いきっかけをくれました。私はみんなで仲良くしたいと考えるタイプだったのですが、やぱり小学校にはいろいろな子がいて、全員で仲良くするのって難しいのかなと思うようになっていたのですが、この曲を聞いて「みんな違うからこそ一緒にできることがあって、違っても仲良くなることができるんだ」と思えるようになりました。
ーその後の進路選択、中高生活は国際協力や海外に重きを置かれたのでしょうか。
中学ではオーストラリアに短期留学を経験しましたが、高校の志望校は海外と特に関係なく、ただ当時憧れていた夏目漱石が通っていたと言われる日比谷高校を目指して勉強していました。模試では合格判定をもらっていたので合格できると思っていたのですが結果はまさかの不合格…これまでコツコツと努力することで何事も乗り越えてきていたので、この時が初めての大きな挫折経験となりました。
それでも第二志望だった高校に進学したことで、たまたま赤十字が主催している韓国と中国との国際交流プログラムに参加する機会に恵まれ、楽しい高校生活を過ごすことができました。当時は私も「赤十字=献血」のイメージが強かったので、まさか将来自分が日本赤十字社で働くことになるとは思っていませんでしたが…(笑)
ー高校で赤十字社との出会いがあったんですね!高校卒業後はお茶の水女子大学に進学されたとのことですが、どのような基準で志望校は選ばれたのですか。
両親からは国公立の家から通える大学に行って欲しいと言われていたのでその条件を満たしつつ、国際協力に関連した勉強ができる大学を調べた結果、お茶の水女子大学を第一志望に決めました。高校受験の失敗経験を活かして、大学受験ではしっかりと過去問対策をした他、得意な科目が活かせる傾斜配分の制度を利用して受験した結果、無事お茶の水女子大学に合格することができました。
大学院進学・一般企業就職ではなく国際支援を選んだ
ーそうだったんですね!大学生活はいかがでしたか。
女子大に進学したからこそのチャンスに恵まれた大学生活だったなと振り返って思います。また、友人が教えてくれた平澤奨学生に応募したところ選ばれ、念願だったアメリカ留学も実現しました。留学するならマイケルジャクソンの祖国、アメリカと決めていたんです(笑)アメリカのベイツ大学に留学し、国際関係学を勉強したのですが、多様性を肌で感じられた留学生活でした。
ー留学経験を経て、国際協力に関連したキャリアを考えるようになったのですか。
大学院に進学してもっと勉強したいという思いも、国際機関で働きたいという思いもありました。同時に、ITの力で様々な課題を解決できることも知ったので留学後は情報技術の社会応用に興味を持ち、エンジニアの勉強を始めたりもしました。就職活動においてもIT系企業を受けていたのには、ITスキルが普及することで途上国の課題が解決できるのでないかという思いがあったからです。
ーなるほど。それでも日本赤十字社に就職を決めた理由は何だったのですか。
脳内お花畑で夢みがちな私に教授が「現実を見ろ」と言ってくれたことが大きかったと思います。あとはいつ死ぬか分からないのでとにかく今国際協力に携わりたいと思っているならやるべきだと思ったからです。
振り返って良い経験だったなと思えるかどうかを基準に何事も選択することを心掛けているのですが、日本赤十字社での経験はたとえ将来的に国際協力の仕事から離れることを選んだとしても良い経験だったと思えると考えたからこそ入社を決めました。
自分の可能性を狭めず、やりたいことを今、やる
ー小さい頃からの興味がキャリアへとつながったのはすごいですね。好きなことややりたいことがなくて悩んでいる人もいるかと思いますが、そんなU-29世代に何かメッセージをいただけますか。
好きなことがない人はいないんじゃないかなと個人的には思っています。きっと好きが隠れているだけか、なぜか好きでいたらダメだと思い込んでしまっているか。好きなものはあるけどお金にならないとか、やりたい仕事はあるけど家業を継がないといけないなどの制限がもちろんあると思いますが、今は何が仕事になるか分からない時代で、働き方も様々で自由です。
過去の体験を振り返って好きなものを今一度探してみて欲しいなと思います。それでも見つからなければ、とりあえず何かやってみて、続いたものがきっと好きなものなんではないでしょうか。また、何が勉強したいか分からなくても、学問は究極全てつながっていると思うのでとりあえず何かを勉強してみたらきっと自分の興味関心にどこかでぶちあたると思います。
私自身も、国際協力だけに今後もフォーカスしようと思っているわけではありません。今はそれが一番の関心事で、やりたいことでもありますが、常に視野を広く、自分の可能性を狭めないようにしようと心掛けています。
ーその通りかもしれませんね…!最後になりますが、今後の藤井さんの目標を教えてください。
今の目標は国際赤十字・赤新月社連盟に出向し、海外の赤十字社で働くことです。日本の赤十字社での経験や知見をいかして、より大きな機関、多様性のある環境に自分を置きたいなと思っています。まだ社会人生活をスタートさせたところですが、日々楽しみながら仕事に取り組んでいきたいです。
取材:あおきくみこ(Twitter/note)
執筆者:松本佳恋(ブログ/Twitter)
デザイン:五十嵐有沙(Twitter)