ゴルフメディア『ゴルフフォーカス』編集長・原野有加里さんの「やりたい」を叶える圧倒的行動力

色々なキャリアの人たちが集まって、これまでのキャリアや将来への展望などを語り合うユニークキャリアラウンジ。第204回のゲストとして、 IT企業OLでありながらゴルフメディア『ゴルフフォーカス』の編集長でもある原野有加里さんをお呼びしました。

やるとなったらとことんそれに向き合い、行動し成果を出す。そのマインドで学生時代から自分の「やりたい」を実現してきた彼女ですが、その類稀なる行動力はどこから生まれるものなのか。今回は彼女の人生を幼少期まで遡り、一つひとつ紐解いていきました。

ーまずは原野さんのお仕事について教えてください。

現在は、創業6期目のベンチャー企業に勤める傍、複業でゴルフメディア「ゴルフフォーカス」の編集長を務めています。ゴルフメディアは自分で新卒の時に立ち上げたもので、現在では多くのゴルファーたちに読まれるサイトへと成長してきました。

元々、本業の方で新卒から2年間メディア事業部に在籍していたことから、ウェブサイトのSEOや戦略立てなどを得意としていたこと、またサイトのドメインやサーバーまわりの方は本業の会社の方が協力してくださったのもあり、スムーズに立ち上げ・運用をスタートさせることができました。サイト運営はコンテンツの企画、記事作成や取材も今は私1人で行っています。

 

ーすごい!本業の会社の方も原野さんの複業を応援してくださってるんですね。!なんと素敵な会社なんでしょう。

実は、このサイトを始める時も背中を押してくれたのは会社の方だったんです。

私は元々ゴルフが大好きで、個人でメディア運営にチャレンジしてみたいという気持ちがあることを打ち明けると「よし、今すぐ作ろう!」と言ってくれて。その方がドメインやサーバーなども作ってくださり、気づいたらサイトができてました(笑)とはいえ作ってみたものの、閲覧回数が増えるまで時間がかかるため、同僚と仕事終わりにカフェで作業するなど、毎日メディア運営に触れるよう習慣化して熱量を維持していました。そんなこんなで地道に続けているうちに、始めて4〜6ヶ月くらい立った頃から、狙ったキーワードで検索すると記事が出てくるようになりました。

また、1記事あたり17分間読まれている記事もあるなど、平均して滞在時間が長いのが『ゴルフフォーカス』の特徴です。メディア運営で結果を出している同僚とサイトの分析を行った際、”この滞在時間はすごいことだ!”と驚かれました。

滞在時間は”ユーザーの満足度”と比例するため、記事の順位が上がる大切な要素の一つなのです。そのため、話の構成を工夫したり、デザイナーに独自の画像を作ってもらい挿入するなど、読者を第一に考えてコンテンツ作りをするように意識してきました。記事を作成する上で、ゴルフ初心者のニーズを汲み取り、知りたい情報をわかりやすく表現していたことが、読者を増やせた結果に繋がっていると思います。

 

プロテニスプレイヤーを目指す10歳の少女が味わった大きな挫折とは

ーここで一度原野さんの幼少期についてお話を伺っていきたいと思います。

小学生の頃はテニスを習っていて、伊達公子さんや杉山愛さんのようなプロを目指していました。週7日テニスに打ち込む生活で、日焼けして真っ黒な少女でしたよ(笑)テニスを始めたきっかけは、元々体を動かすことが好きだったことと、当時住んでいた駅前に、コナミスポーツがあってそこにテニスと水泳のスクールがあるのを母が見つけてきたんです。そして、テニスと水泳のスクールに家族全員で加入してみんなで始めることになりました(笑)

そのテニススクールで出会ったコーチが物凄く面倒を見てくださったことと、「一つのことをやりとげる」というわが家の方針もあり、テニスで結果を残してみよう!と幼いながらに心に決めてどんどんのめり込んでいきました。

 

ー家族一緒に挑戦するそのスタイルとっても素敵ですね。プロを目指してテニスに打ち込んでいたというお話ですが、結果的にそうではない道を選んだのには何か理由があったんでしょうか?

大きく2つあって、1つが足首の重度の捻挫です。2年間整骨院で電気を流す治療を行っていたのですが、そこで先生にテニスは控えてほしいと言われてしまいました。もう1つが、その怪我から復帰した後、やはり練習量が圧倒的に足らず、試合で思う結果を出せなくなってしまい、自信をなくしてしまったことです。その時、「このまま趣味に変えた方が、テニスを嫌いにならなくて済む」と思い、テニスの道は諦めることにしました。当時はまだ12歳くらいだったので、大きな挫折でしたね。

 

ー10歳でのそのアクシデントはとても大きなショックだったことと思います…。テニスを小学生で辞められたということで、中高はどんな青春時代を送っていたんですか?

もともと都内に住んでいたのですが、父が島で生まれたこともあり、自然の多い環境で生活させたい!と思っていたことや色々なタイミングが重なり、中学の時に湘南へ引っ越しました。そしてこの湘南ライフは、自分にとってかけがえのない時間となりました。

湘南でできた友人たちは本当に心が優しく、都会から来た私でも初日から受け入れてくれ、本当に優しい友人たちや先生に恵まれました。海のそばに住んだことで、都会では経験できなかった穏やかな時間を過ごせたことは、新しい人生のスタートのような気持ちになりましたね。湘南に住んだのは中学の3年間だけでしたが、大学時代には毎週湘南に通いたい思いから、ご縁がきっかけでavexの海の家でスタッフとして働かせて頂いたり、今でもたまに湘南に足を運ぶほど自分にとっては大切な場所になっています。

高校と大学はまた東京に戻り、高校生の時にゴルフと出会いました。というのも、とても珍しいと思うのですが、高校の必修科目にゴルフがありまして(笑)それまでは無縁だったゴルフに出会い、なんだかテニスと似ている部分も感じて、すぐに自分の中でコツを掴んでプレーすることができました。それを横で見ていたコーチが「ゴルフ部に入った方がいいよ!」と言ってくれまして、入部することに決めました。ゴルフが必須な学校でなければ確実に始めていなかったですし、今の環境があるのもゴルフのおかげなので、高い学費に部費まで許してくれた両親には、本当に感謝しています。

 

未経験大学生が個人事業を立ち上げ!その裏にあった圧倒的行動力

ーなるほど!ここでゴルフと出会われたということなんですね。大学生活では何か印象に残っている出来事はありますか?

大学生時代、春休みを使ってバンクーバーに1ヶ月ほど短期留学に行ったんです。その留学で出会った友人の影響でIT業界について知ったことが、確実に今に繋がっています。

あとは、ゴルフにハマったのも大学時代です。ゴルフはスコアを縮めることも楽しいスポーツですが、学生時代の自分には有難い出会いや経験ができるスポーツだったので、”社会人経験のお勉強の場”として捉えるようになり、どんどんハマっていきました。昔から環境や周りの人に感化されていることが多いなぁと感じるのですが、インタビューで話をして行く中で、得た経験を必ず何かに繋げている自分に気付かされます。笑

 

ーゴルフをただのスポーツではなく、一つのコミュニュケーションツールとして使うというのも新たな発見になったのですね。

そうですね。その中で、「新商品を作ったけど、レビューして欲しい」「商品を広めたい」「イベントの手が足りない」などのご相談をいただく機会が増えたんです。

当時はボランティア感覚で、いろんな企業のお手伝いを始めたのですが、自然とお仕事として依頼していただく形になり、個人事業で様々なキャスティング(SNSでの商品PR、モデルやイベントコンパニオン、インフルエンサーのご紹介)をお手伝いするようになりました。PR案件は今でも複業でお受けしていますが、この時に”こういうボランティアもビジネスになりうるのか!”と自分の中で新たな発見になったんですよね。

それを契機に、同世代の子を巻き込んでもっと何か新しいことを始めてみたくなり、渋谷にいる若い子達に「何か一緒に面白いことやろうよー!」と話しかけたりしていました(笑)中には、キャスティングの手が回らなくなった時に手伝ってくれた子達もいて、本当に助かりました。

 

ー全くの未経験で個人事業を立ち上げられたのは本当にすごいです!実際初めてやってみてその事業はどうでしたか?

一言でいうと、かなり大変すぎて疲弊した時期もありました(笑)1日数百人とのやり取りに終われ、スマホとの睨めっこでLINEが鳴り止まなかった日もあります。

活動的には、モデルの子と朝から晩まで様々な展示会に出向き、名前と連絡先くらいの名刺を配る。という泥臭い営業活動も行っていました。幸いにも、こんな若い子がここに何しにきたんだ?という感じで興味を持ってもらえたので、名刺は受け取ってはもらえましたね(笑)また、当時あった人材紹介とは違うマネタイズ方法を取り入れていたことも、お会いした企業の方に興味を持ってもらえた理由だったそうです。例えばコンパニオンの相場は1日1〜3万円程度なのですが、私の事業では多く貰える子で1日6万円以上の収入を渡せる仕組みにできました。

舞台女優を目指していて稼げない中、毎日稽古を頑張っている友人もいたので、仕事を受けてくれた子達に感謝された瞬間は、自分にとって原点でもありましたね。同世代の女の子たちの何か助けになることがやりたい、という気持ちが自分の中では大きかったんですよね。ただお金を稼げていることよりも、周りの人たちの笑顔が励みと活力になっていました。

ただ、当時は自分が動かないと回らず本当に大変だったので、法人化して本格的にやっていくことは断念しました。そんな時、留学中にIT業界のことを色々教えてくれた友人を思い出し、ITに興味を持つようになりました。

 

本業と複業。両立をしているからこそ生まれるシナジーがある

ー今本業と複業を両立されていると思いますが、そこは大変じゃないですか?また、両立するメリットについても聞きたいです!

両立は大変ですしかなり忙しいです。ただ、勤めている会社がフルフレックス・フルリモートなので、自分次第で時間を有効活用できるのは有難いです。例えば、出勤の準備をして電車で通勤していた朝の時間や、仕事終わり、休日なども活用することで時間を作っています。

本業では昨年から担当業務が変わり、メディア運営からは離れたのですが、複業のメディア運営はこれまで本業で得たことを活かしていたので、良い循環ができていましたね。今もC向けの新規事業サービスを担当しているので、ユーザーを第一に考えるという点では変わらずに活かせています。

両立するメリットは2つかなと思っています。1つは自分の知識や経験を本業でも活かせること。もう1つは自分の魅力や強みを増やせることですかね。複業を始めたい方は、まずは本業に関係したことでやってみるのがおすすめですね。本業にも活かせますし、自分ができることから始めるのはハードルが下がります。

また完全に一個人の考えなのですが、本業以外でも色々なことに取り組んでいる方と出会うと、私自身すごくワクワクするんです!『複業をする』って簡単じゃないので、熱量がないと両立を続けられないと思うんですよね。なのでそういう何かに熱中している方のお話を聞くのは面白くて刺激になりますし、”また会いたい”と思わせられる魅力に繋がるものだとも感じますね。

 

ーノウハウをさらに発展させていく土壌があることはスキルアップにも繋がりますよね。最後に、原野さんの持ち前の行動力でやると決めたものはなんでもできそうですが、そもそもやる・やらないの判断軸ってどうやって見分けてるんですか?

基本的に、とりあえずは『なんでもやってみる』ようにしています。なぜなら、やってみないと自分が好きなことなのか、向いているのかなどを判断できないまま、視野が狭くなってしまうと思うからです。

ただ、”ワクワクするか”、つまり心が踊るかどうかも結構大事にしています。お金稼ぎだけで飛びつくと大変な思いをして、結局やり続けられなかったりすると思うタイプなので、”熱量高くできるのか”も重要だと感じています。

あとは、自分の人生でやりたいことリストや、やりたくないことリストを作ることですね。この軸にそって判断していくと、自然と優先順位も決まりますし、あらゆる物事への選択に迷いがなくなり、結果として毎日が充実していくと思うんですよね。やって後悔は経験につながりますが、やらない後悔はどうしようもないので、チャンスが来た際に悔いのない選択ができるよう、私自身、まずは目の前のことを一つずつ頑張りたいと思います。

 

ー明確に自分自身の価値観を可視化していてそれに則り行動されているということなんですね。素敵なお話をたくさん聞かせていただきありがとうございました!

取材:中原瑞彩(Twitter
執筆:後藤田眞季
デザイン:五十嵐有沙(Twitter