「誰もが可能性や才能に溢れている」田村友宏が学びとアートから一人ひとりの未来を描く想いとは


様々なキャリアの人たちが集まって、これまでのステップや将来への展望などを語り合うユニークキャリアラウンジ。第418回目は、株式会社ベネッセコーポレーション 大学・社会人事業開発部、一般社団法人KOREWOKINI(コレヲキニ) 内省×アート思考オンラインプログラム「Korecolor(コアカラー)」プロダクトマネージャーの田村友宏(たむらともひろ)さんです。

本業ではベネッセにて行政DXの支援などの社会人教育分野での事業開発をおこないながら、社外では「内省×アート思考」を活かして一人ひとりの未来を描くプログラムオーナーとしてご活躍されている田村さん。「人は誰もが可能性と才能に満ち溢れている」と語ります。人の可能性にまっすぐ向き合う田村さんの源を伺いました。

「社会貢献×ビジネス」の両立に挑戦

ーまず最初に、自己紹介をお願いいたします。

株式会社ベネッセコーポレーション(以下、ベネッセ)大学・社会人事業開発部の田村友宏と申します。社外では一般社団法人KOREWOKINI(コレヲキニ)で「内省×アート思考」のオンラインプログラム「Korecolor(コアカラー)」のプロダクトマネージャーとして活動しております。

ベネッセには2015年に新卒で入社し、自治体向けの教育コンサルタントとして、自治体と一緒に「地方創生×教育」を推進していました。2021年4月に、大学・社会人事業開発部に異動し、新規事業開発として行政や自治体のDX推進や、リカレント教育におけるR&Dを担当しています。

ーベネッセに入ったきっかけを教えてください。

大学3年次に、米国フロリダにあるウォルト・ディズニー・ワールド・リゾートに留学をし、キャストとして働いた経験が大きなきっかけになっています。当時は英語が本当に下手で、ミスコミュニケーションが多く、ゲストの方から「もっと英語ができるキャストに代わって欲しい」などお叱りのお言葉を頂いたりと、苦労しました。その後、寝言で英語を喋るくらい猛練習しましたが、同じアジア人でも英語が上手な韓国人の同僚を目の当たりにする度に、自分の実力不足を痛感するとともに「こんな悔しい想いを将来の子どもたちにはさせたくない。日本の英語教育をより良いものにしたい」という想いが芽生えました。

そんな気持ちで日本に帰国し、就活を始めました。数多ある選択肢からベネッセが幅広く教育分野に取り組んでいたこと、そして恩師のベネッセの先輩にOB訪問させていただいた際に頂いた「社会貢献とビジネスを両立できるのがベネッセの良さだ」という一言に感銘を受け、ベネッセに入社。公教育を支援する教育コンサルタントになりました。

「選んだ道を自分の力で正解にすればいい」救われた母の一言

ーここからは、子ども時代について伺います。田村さんのご両親は、幼い頃からどのように接してくださったのでしょうか?

両親は「私がやりたいことなら挑戦してみなさい」と、常に背中を押してくれました。母は、聖母マリアのような優しさで応援をしてくれましたし、父は厳しい一面もありますが、最後はいつも私の選択を応援してくれました。本当に感謝ですね。

ー田村さんが一番最初にやりたいことを実現させた経験はなんでしょうか?

小学2年生のときに野球に興味を持ち、親の了解なしにひとりで野球クラブの監督に入部を直訴した経験ですね。

この行動が最初の成功体験にもつながるのですが、所属チームに左利きが私しかいなかったことから、貴重な左利きとして重宝してもらい、レギュラーとして多くの試合に出場することができました。振り返るとこの経験から「組織の中で人と違うことは価値になる」ことを教えてもらいました。

私の指針として「とりあえずやってみよう」と行動するタイプなので、もちろん様々な怪我や大きな失敗もしました。あまり両親に相談せずに物事を決めていくタイプで多く心配もかけましたが、それでも「あなたが決めたことだから」と応援してくれた両親がいてくれたからこそ、今の自分がいると思います。私も親になったら、我が子の背中を押して上げる、挑戦を見守る存在になりたいです。

ー素敵なご両親ですね。中学、高校生活はいかがでしたか?

どうしても行きたい高校があったので、中学時代はそこに向かうための道の途中という気持ちが強かったです。生徒会や部活もやっていましたが、振り返るとどこか”通過点”のような気持ちでした。

その後、無事に第一志望の高校に入学でき、入部したハンドボール部では一生の友人たちに恵まれました。中でも高校時代での思い出深いのは、体育祭の応援団ですね。副団長として約60人ほどの団員と部長とともにチームを作っていく、人をまとめていく面白さを経験できました。

ー人をまとめるのは大変なイメージがあるのですが、どういった点がおもしろいと感じましたか?

60人もいれば、各々好きなことを考えますよね。ひとつ一人の想いをすべて叶えることはできないけど、ひとつのチームとしてまとめるために”良き塩梅”を探していくのがおもしろかったです。
私は「観察すること」をとても大切にしていて、その人の声の調子や表情から「どんなことを考えていているのか」を読み取り、チーム作りに反映していくことを学びました。

ー素晴らしいですね。高校から大学へ進学する際に、お母様から大切な言葉をかけていただいたと伺いました。

現役、浪人どちらも早稲田大学を受験しましたが合格できず、大学1年生のときは不甲斐ない自分にもやもやした生活を送っていました。できない自分がコンプレックスになっていたときに、母から、「最初から正解なんてないの。選んだ道を自分の力で正解にしていくんだよ」と言ってもらったんです。その一言で吹っ切れましたね。どのような状況でも頑張れば、自分の選択は正解になるんだと自信を持つことができました。

やりたいことを実現するために、自分の仕事は自分でつくる

ー入社してまもない頃は、仕事に対して苦戦されたと伺いました。

優秀な同期に恵まれたため、自分も「早く成果を出さなければ」と焦ってしまい、もっとも大切にしなければならない「お客様が何を求めているのか」という視点が弱くなってしまいました。結果が出ず、苦しい時期を過ごしていましたね。

ー周りと比べてしまい、自分にベクトルが向いていたのですね。そこから、どのように変化されたのでしょうか?

群馬県のとある村に訪れた際、教育長さんから「この山奥の村を教育で盛り上げたいんだ」とお話をいただきました。先方の熱い想いが私にも伝播し、自分が持てる知見を生かし、どうにかこの村のためになるものを提供したいと本気で考えた結果、自分が米国ディズニーで経験した英語教育への想いから最先端の英語教育を提供することと村のブラディングを結びつけた提案をしたところ、お客様から多くの共感を頂き、一気に物事が動きました。

具体的には、当時珍しかったオンライン英会話を群馬県内の義務教育で初めて活用し、「山奥の村でも最先端の英語教育を受けられる」というブランディングをおこなったところ、大きな注目を集め、NHKでの取材や地方新聞の一面を飾るような大きな村の施策となりました。

自分の想いが、先生の、村の想いになっていき、子どもたちの笑顔につながっていく経験を通して、顧客と価値をともに創っていく面白さを肌で実感し、考え方や行動が変わっていきましたね。

ーそれは素敵な瞬間ですね。成功体験を実感されたあとは、どのようなことに挑戦されましたか?

海外での事業展開を考えるプロジェクトに自ら手を挙げて参画したり、営業組織の改革プロジェクトを立ち上げ、新しい営業手法の開拓から、挑戦を歓迎する組織カルチャーへの変革を推進するなどを、多くの先輩方の力をお借りしながら、新しい価値を創り出すチャレンジに邁進していました。

慣れないことや大変なこともありましたが、挑戦し続けられたのは、新卒時の上長からいただいた「会社や人生という濁流の中で、自らのオールで目的地に向かっていくことが大切だ」という言葉でした。多忙な生活の中でも、どこに向かっているのかを考える大切さを学びました。

またもう一つ大きなきっかけは父親のガン宣告でした。父から宣告のことを聞いたとき、頭がガツーンと打たれたような気持ちと「命は有限である」という当たり前のことに改めて気付きました。この出来事から「自分も明日死ぬかもしれないし、自分がやりたいことや想いを実現することに命を注いでみよう」と考えるようになりましたね。

ー様々なご経験をされてきたのですね…。今振り返ってみて、入社したときの自分に何か一言をかけてあげるとしたら、どのようなことを伝えたいですか?

ベネッセの入社式で「先輩社員代表」としてスピーチさせていただいた際にもお伝えしたことなのですが、「仕事は自分でつくるととても面白いよ」ということを伝えたいですね。もちろん1、2年目は仕事を覚えることで精一杯だと思うのですが、少しずつでも、自分で仕事を創り出す面白さを感じることができれば、今の仕事の面白さに気づけると思います。

「内省×アート思考」で、誰もが在りたい自分を描ける場を

ー実際に田村さんは、どのように自分が携わりたい仕事を描けたのでしょうか?

いや実は、教育のICTを推進するプロジェクトがひと段落したときに、心の燃料がなくなってしまった状態というか、自分がやりたいことや実現したい世界が上手く描けなくなってしまったんです。だからこそもう一度、自己内省を始め、いろんな人と語る場を求めました。

最初は「やりたいことやありたい姿」をノートに書きなぐっていたのですが、どうしても自分の思考の枠から出ることができなくて、同じところをぐるぐる回ってしまう状態でした。
そんなときに、一般社団法人KOREWOKINIのメンバーと話すことで「対話を通じて相互に深め合い、未来を描く場」の可能性を感じ、オンラインプログラム「Korecolor」が誕生しました。

ーまさに自分がほしいものや仕事は自分でつくっているんですね。「Korecolor」について、どのようなプログラムなのか詳しく教えてください。

「内省とアート思考」を使い、自分を知り、未来を描くオンラインプログラムです。全6回のワークショップと、3ヵ月間伴走するメンター、そして参加者と運営メンバーが創り出す心理的安全性の高いコミュニティを提供しています。

ワークショップの中身としては自分のライフチャートを書いたり、50問ほどの良質な問いを通して自分の価値観を洗い出し、可視化していきます。大切にしている自らの価値観が言語化できたら、「やりたいことがあるのに、どうしてもできない」という思考のストッパーである「心のブレーキ」に向き合い、人生の先をゆくロールモデルとの対話を通して、未来を描くきっかけを掴みます。最後に、無意識下にある自らのありたい姿や未来をアートの力で描いていくプログラムです。

ー素敵なプログラムですね。他には「Korecolor」のどのような部分が特徴的でしょうか。

全6回のプログラムに「アート思考」が取り入れられているのことも特徴の一つですが、一番の強みは、一緒に運営しているメンバーの多様性と彼らのマインドですね。運営メンバーはスタートアップのセールスマネージャーや社会起業家支援プログラムの創設者、コーチングのプロコーチや、海外駐在員など多種多様なキャリアを歩んできたメンバーです。だからこそ、さまざまな人の境遇や想いに共感できますし、メンバー全員が参加者の「これを機に」挑戦することを応援できるマインドを持っていることが組織としての強みですね。

昨年度からスタートしたプログラムですが、学生さんから大手飲料メーカーや国家公務員、ITベンチャーの方など20〜30代の方を中心にご参加いただき、今年から大手企業での法人プログラムも開始するなど、活動範囲が大きくなっています。

ー田村さんはKorecolorに参加された方々の想いや価値観を引き出す活動をされていますが、田村さんご自身の価値観を教えてください。

私は、「誰もが可能性や才能に溢れている」と信じています。みなさんいいところがあるのに、その人自身が自らの輝く瞬間を気づいていない人に出会うと、もどかしいんです。だからこそ、自分の良さに気づいてもらえるような対話や場づくりを通して、「誰もが自分自身に可能性を感じられる瞬間」を創り出したいと思っています。自らの強みや自分が発揮できる力をわかっていれば素晴らしいですし、さらに「学び」を通して新しい才能に気付き、新たな強みという自らの手札として増やせるようになれば、素晴らしい社会になると信じています。

ー自分の中にある手札は、どうすれば把握できるようになると思いますか?

私の場合は、浪人期間に書き始めたA3のノートですね。自分が日々思っていることをノートに書き出し、グルーピングすると、繋がりや気づきを発見するうえで大切な羅針盤になります。でもそれだけだと足りないんです。やはり想いを共有して深め合う仲間や家族、自分の良さを認めてくれる心理的安全性のある組織が大切なんです。

人生は、自分でつくるものだと思えると楽しい

ー田村さんは日々積極的に、相手のいいところを見つけて伝えていますよね。その結果、いい関係性が生まれ、相手のポテンシャルも発揮できるように感じます。

その瞬間はとても美しいですよ。相手の素敵なところを伝えたときに、その人自身も自らの魅力に気づいた目の輝きと少しばかりの興奮が見える瞬間は本当に美しいと感じます。

ーどのタイミングで相手に伝えるのでしょうか?

私は、気づいたらすぐに伝えるようにします。なぜなら言葉は生物(ナマモノ)だから。その瞬間に思っていることを伝えないと腐ってしまうと思うんです。この考えになったのは米国ディズニーに留学した経験が大きいですね。自分が感覚や考えを言葉にして伝えることはとても価値があるんだとディズニーで教わりました。だからこそ今でも、その場で相手にGiftとして伝えることを重視しています。

ー今後、田村さんが目指していることを教えてください。

人の可能性を、次はアートやデザインの力で描いてみたいです。これから個の想いがますます大切になる時代だからこそ、アートやデザインの力で人の想いを引き出せるようになりたいですね。また、「学びは楽しいものだ」ということを伝えていきたいです。学びを通じて自らの新しい力に気づいたり、目の前のひとの美しさに気づくことができたりする、そんな瞬間を創っていきたいです。

ー最後に、U-29世代にアドバイスをお願いします。

「人生は、自分でつくるものだと思えば楽しい」ということを伝えたいです。10代の頃はどうしても、親の制限や学校環境などの外部要因で構成されるかもしれません。けれども、自らの力で自由を勝ち取るんだという意思と、行きたい場所に行くための行動力そしてその場所に行かせてくれる周りの人への感謝。この3つが掛け合わされば、面白い人生が待っていると思います!

ー本日は素敵なお話を聞かせていただき、ありがとうございました!

<参考リンク>
Facebook (共感やプログラムも含めてご興味ある方はメッセンジャーにてご連絡くださいませ)
https://www.facebook.com/tomohiro.tamura.3956
株式会社ベネッセコーポレーション 大学・社会人事業開発部

Udemyを活用した自治体のDX推進や求職者支援などの事業開発
https://www.benesse.co.jp/udemy/government/

内閣府国際交流プログラム出身メンバーで立ち上げた「一般社団法人KOREWOKINI」
https://korewokini.com/

内省×アート思考で未来を描くオンラインプログラムKorecolor
https://note.com/korewokini/n/ncc7f09288563

大企業挑戦者支援プログラム CHANGE by ONE JAPAN第1期生。
https://onejapan.jp/change/

ベネッセ社内有志組織「One Benesse」
「従業員の能力向上にもつながる社内起業を、企業はどう支援していくべきか」https://www.hrpro.co.jp/series_detail.php?t_no=2307&fbclid=IwAR0wNH8kVU9I6uSXhr-itOipVeFLjxpp6q4O5KTmBn2JKEGexf_BDSwgLDU

取材:武 海夢(Facebook
執筆:スナミ アキナ(Twitter/note
デザイン:高橋 りえ(Twitter