やりたいことがなくても大丈夫?やってみたいことを積み重ねてきた大門史果のこれまで

様々なキャリアの人たちが集まって、これまでのステップや将来への展望などを語り合うユニークキャリアラウンジ。第225回はZaPASS株式会社でインターン生としてご活躍中の大門史果(だいもん・ふみか)さんです。

今年アメリカのDePauw Universityを卒業された大門さん。教育やコーチングへの興味からZaPASS JAPAN株式会社でインターンをスタートされ、2021年4月からは新卒入社も決まっているそうです。ZaPASS Netherlandsの立ち上げに向け、今年の秋よりオランダにも移住をされた大門さんのこれまでについてお伺いしました!

オランダからのリモートインターン中

ーまずは簡単な自己紹介をお願いいたします。

2020年にアメリカのインディアナ州にあるDePauw Universityを卒業しました、大門史果です。現在は2021年4月に入社することが決まっているZaPASS JAPAN株式会社でインターンとして働いています。また、先月から拠点をオランダに移し、現在はオランダでリモートで働いています。

ーこのコロナ禍ではありますが、オランダに移住されたのですね!

はい。もともとZaPASS JAPANのメンバーの2人がオランダ在住でリモートで仕事されており、私も行ってみたいと相談したところ実現しました。ZaPASS JAPANではコーチング事業を行っているのですが、オランダではコーチングが様々な場面で取り入れられているんです。ちょうどZaPASS Netherlandsを立ち上げようとしているタイミングだったこともあり、オランダ移住が実現しました。

ーオランダでの生活はいかがですか。

日本との時差が8時間あり、常に時差でミーティングがあったりするのが日本での生活との大きな違いですかね。日本からメールが返ってこない時間が生まれるので逆に仕事に集中して取り組むことができ、心に余裕が確保できている気がします。

とはいっても、オランダもコロナで街がロックダウンしているので、まだまだオランダは体感できていないことに歯痒さも感じています。オランダの教育やコーチングの文化などをはやく外に出て自分の目で見たいです!

 

決断する時の判断軸は周りからどう見られるかだった

ー少し過去に遡って大門さんについてもお聞かせください。どのような幼少期を過ごされていましたか。

千葉県で生まれ、高校卒業までは千葉県で育ちました。外では優等生キャラ、家族や仲の良い一部の友人には感情をすぐに出してしまうわがままな小学生でしたね。小学1年生の頃、仲の良かった友人によくわがままを言っていたので「そんなにわがままなことばっかり言ってたら友達いなくなるよ」と言われたのを覚えています。また、中学1年生の頃にも、仲の良かった友人に八つ当たりしてしまったことがあり、その後すごく反省したこともありました。いずれの出来事も、感情を自分できちんとコントロールできるようになろうと思ったきっかけになっています。

ー今の大門さんの落ち着きさからは想定できないですね…!そんな大門さんが海外大学に進学を決められたのは何がきっかけだったのでしょうか。

中学受験をして千葉県の中高一貫の私立に進学したのですが、身近な働く女性がほとんどいなかったので働くことに対するイメージが持てず、当時の夢は、大学を卒業したら丸の内OLになり、結婚を機に寿退社することでした(笑)

そんな感じだったので高校2年の夏に進路について考える必要が出てきたときにどの学部にいきたいのか全く分からず…将来の夢が決まれば、行きたい学部も決まるかなと思い、自主的に「将来の夢を決めようキャンペーン」を開催して、様々な説明会に足を運んでみることにしました。

その中で留学や英語に興味があったので参加したのが海外進学説明会でした。本当は日本の大学での交換留学をイメージして説明会に参加したのですが、話を聞いてみると正規留学の説明会でした(笑)でもその説明会で話されている人たちがみんなかっこよくて。リベラルアーツという教育システムを採用している大学がアメリカにはあることや、入試のプロセスも全てオンラインで、自分でもできるんじゃないかと思い始め、海外進学を目指すようになりました。

ー思い切った決断をされたのですね。

正直なところ、日本の大学受験勉強が辛くて、勉強に対するモチベーションが保てず海外進学に逃げたという面もありました。アメリカの大学を受験するのであれば英語だけを勉強しておけばいいという気持ちがあり…アメリカの大学の入試プロセスでは高校の成績やエッセイ、推薦書などが中心なので日本の大学よりも受験勉強に対する気持ち的負担がすごく少なく済んだんです。

高校時代も私はずっと優等生であることを目指しており、周りからどう思われるか、どう見られるをまだまだ重視していました。アメリカの大学へ進学をするということは単純に周りから「すごいね」と言ってもらえるという期待もあったんだと思います。

 

アメリカとデンマークで過ごした大学時代

ーとはいえ、渡米することに対して不安はありませんでしたか。

今振り返ると、「何かを変えたい」という無意識的な感情が、拠点を変える原動力になっていたのだと思います。日本からアメリカに行った時も、自分で選んだ優等生というラベルに、窮屈さを感じて、優等生でいなくてもいい場所を求めていたのかな、と。一度大きく踏み切ったことで、移動することへの抵抗も少なくなって、デンマークに留学したり、オランダに移住を決めたりと、楽しめるようになりました。

周りからは大きな決断と思われることが多いですが、私の中では住む国を変えることはあまり大きな決断という感覚がなくなってきていていて。それは自分の強みだな、と最近気づくことができました。

ーアメリカの大学での生活はいかがでしたか。

大学で今まで出会ったことのないタイプの友人ができたことが今の自分に大きな影響を与えてくれました。その友人は音楽が好きな子だったのですが、自分で作曲し、ピアノを弾き、歌い、iTunesに曲を載せてしまうような子でした。私からしたら周りからどう思われるか分からないリスキーなことを、人の目を気にすることなく自分が面白いと思ったら行動できる力を持っていたんです。そんな友人を見て、自分は何がやりたいのだろう、やりたいことをやっていきたいと思うようになりました。

ーそんな中、デンマーク留学はなぜ決められたのでしょうか。

大学がすごい田舎で飽きた、というのが正直な理由です(笑)大学の周りにはトウモロコシ畑しかなく、車もなかったのでどこにも遊びに行けなかったんです。たまたま私の大学は留学制度が充実していたということもあり、デンマークに半年間留学することにしました。

デンマークではホームステイ先に恵まれ、勉強詰めで忙しいアメリカでの日々と違い、ゆとりのある生活を送ることができました。デンマークでは家族の時間を大切にする文化があり、ホームステイ先も家族全員でご飯を食べるなど家族団欒の時間を大切にしていました。デンマークでの日々は、もっと家族の時間を大切にしよう、もっと気持ち的にも時間的にもゆとりを持つようにしようと思うきっかけになりました。

ーその後、卒業後の進路について考える時期に入ったかと思いますが、進路についてはどのように考えられていましたか。

高校時代と違い、働くことに対してのイメージは持てるようになっていたのですが、大変なことをやるのが仕事だと思っていました。というのもパンが好きだったので高校卒業後にパン屋さんでバイトしたことがあったのですが、憧れの仕事だったものの、とても大変で仕事が楽しいとは思えなかったんです。

そういった経緯もあり、楽しい仕事はないと思っていたのですが、大学2年の時に滋賀県で行われた中高生向けの3泊4日のサマーキャンプにメンターとして参加したことで仕事に対するイメージが変わりました。「地域を知る・自分を知る」をテーマとしたキャンプだったのですが地元で働かれている方のお話を聞いたり、一緒にお仕事をさせていただく中で仕事に誇りを持っている方、地域や周囲の人たちのことを考えて行動されている方に出会うことができました。また、メンターとしてサマーキャンプの運営に夢中になっている自分に気づき、楽しいと思えることが仕事にもなるのだとわかったことが私の仕事観を変えてくれました。

 

コーチングの世界へ。ZaPaSS JAPANで描くこれから

ーZaPaSS JAPANにはどのように出会われたのでしょうか。

大学の夏季休暇の間、日本に一時帰国しインターンをしていたのですが、そのインターン先の上司がたまたまZaPASS JAPANの創業者でした。大学で教育学を勉強したり、サマーキャンプでメンターをしたりする中でコーチングについて興味を持っていることをその方に話したところZaPASS JAPANのコーチ養成講座を勧めてもらいました。

ーコーチ養成講座はいかがでしたか。

コーチ養成講座を通して、私はそれまで聞き上手だと思っていたのですが、ただ聞き上手に見せるのがうまかったということに気づきました。というのも、本当に聞き上手な方は、ただ相槌をうったりするのではなく、相手に100%自分の意識を向けられるんです。私は周りに良い人と思われたかったから話を聞くのが上手に見せていただけだったんですよね…

外に向けていた良い顔の自分に気づき、その自分の中にはもっと違う自分がいるのかもと初めて考えるようになる良い経験となりました。

ーそこからZaPASS JAPANに入社を決めた理由は何だったのでしょうか。

「ZaPASS JAPANらしさとは」について社員の方と話す機会があったのですが、その時に「未来が楽しみな子どもたちのために」というビジョン達成に向けて、将来的には教育事業をやりたいよねという話がありました。大学で教育学を学ぶ中で、様々な教育システムが世界にはあるものの、いろんな人がいる中で全員にとってぴったりな教育というものはないなと感じることが多くありました。じゃあ自分はどんな教育を実現させたいのかと考えるようになったのですが、理想の教育を探すためにも、少し教育から離れたところで経験を積みたいと思っていたんです。私はコーチングの「答えは自分の中にある」という考えに惹かれ、ZaPASS JAPANに関わっていましたが、今後ZaPASS JAPANで教育事業にも取り組めたら理想だなとその時思いました。

実は他の会社さんに内定もいただいていたのですが、ZaPASS JAPANであればやりたいことができると思い、ZaPASS JAPANに入社したいとお伝えしました。

ーそういった経緯があったのですね。来年4月に正式に入社されるとのことでまだまだこれからかと思いますが、最後に今後の目標などがあれば教えてください!

自分のやりたいことを諦めない強さを持ちたいなと思っています。ZaPaSS JAPANの社員の皆さんは「AかBどっち?」と聞かれても、「Cはないの?」や「AとB両方!」と答えるような方が多いんです。やりたいと思ったことに妥協せず、自分のやりたいことを実現しようとする強い思いをみなさん持たれているんですよね。

高校時代は周りからの目を気にして自分という軸で何かを決めたことがなく、やりたいことが何か分からず苦労しました。大学に進学してから少しずつやりたいことではなくやってみたいことを探すことで自分のハードルを下げることができ、やってみたいことを挑戦して経験を積み重ねていくようになりました。そうやって積み重ねてきた小さな決断のおかげで自分らしい決断をできるようになってきたと思います。自分らしさを大切に、やってみたいことに貪欲に、そしてやりたいと思ったことは諦めないということを自分の軸に、4月からも頑張っていきたいです。

取材者:あおきくみこ(note/Twitter
執筆者:松本佳恋(ブログ/Twitter
デザイナー:五十嵐有沙 (Twitter