様々なキャリアの人たちが集まって、これまでのステップや将来への展望などを語り合うユニークキャリアラウンジ。第161回目のゲストは、青山学院大学教育人間科学部3年生の今村柚巴(いまむらゆずは)さんです。
「オンライン宿泊」というゲストとオーナーのつながりをオンラインでつくる活動をする今村さん。日本一周の旅を企画するほど外交的な印象を受ける今村さんですが、小中高ではKYで配慮が足りず、自分から新しい友達を作らなかったという意外な過去もあるそう。天真爛漫な笑顔と人並み外れた行動力とトーク力で、47都道府県を走り抜けた今村さんの「人生の歩み方」を取材しました。
おうちで47都道府県を感じよう。「オンライン宿泊」とは
ー自己紹介をお願いします。
青山学院大学3年生の今村柚巴です。海外でゲストハウスの方々に助けられた経験があり、日本全国のゲストハウスを周遊する予定でしたが、コロナウイルス感染拡大の影響で中止しました。代わりにゲストハウスを紹介しようと思い立ち、2020年5月からインスタグラムのライブ配信機能「インスタライブ」を使い、全国47都道府県のゲストハウスを紹介しています。10月から全国のゲストハウスを訪れるためにクラウドファンディングで資金調達をし、1週間で達成。現在、ネクストゴールとして120万円を目指しています。
ー「オンライン宿泊」とは一体なんでしょうか。
写真やビデオで、ゲストハウスやまちを体験できる時間です。参加者は、オーナーさんの人柄やまちの様子を現地の視点で知ることができ、宿泊しているかのように参加者同士がゆるくコミュニケーションをとることも可能で、新しい旅の魅力になっています。
ー人力車でまちを歩く様子を拝見しましたが、あれはどのように実現したんですか。
人力車でまちを歩く様子をライブ配信したことも。こちらから企画書を提出したとき、オーナーさんから「宿泊すると人力車にも乗れるプランなので、オンラインでも同じようにやってみたらどう?」と積極的にご提案いただいたんです。オーナーさんがパソコンを持って、人力車に乗車し、ライブ配信の視聴者さんにまるで人力車に乗っているような体験を提供できました。
「ゆずはは、ここが魅力」焦る青春期に恩師の支え
ー積極的に人との交流を行っていらっしゃるようですが、子どもの頃から人との出会いが好きだったのでしょうか。
小学校から大学まで一貫校で育ち、学外で知らない人と接点を持つことはありませんでした。学校では特定の仲の良いクラスメイトと過ごすのが普通で、新しい人脈をつくろうとは考えていなかったです。
ただ、話し好きで、先生にいっつも話しかけて、聞いてもらえないことがあったぐらい。周囲の反応や状況を先読みしたり、相手の思考を考えながら対話できなかったり…KYだったかなと思います。
ーそのような言動は、その後も生活に影響があったのでしょうか。
高校時代に、相手の立場への配慮が足りずに傷つけるような言動をしてしまい、ある友人と対立したことがありました。相手から仕返しを受ける事態につながってしまって…。その経験から、相手の気持ちを考えてからの言動を心がけようと学びました。
ー現在、青山学院大学に在学中ですが、進学先はどのように選ばれたのでしょうか。
真剣に話を聞いてくれない先生が多く、あまりいい評価をされていなかったのですが、ある先生が私のことを見守ってくれていました。「ゆずはここが魅力だから、伸ばしていこう」と背中を押してくれたんです。その先生は、場や相手に配慮が足りない発言をしていれば、ちゃんと教えてくれることもありました。相談も受け止めてくれて、親の前では褒めてくれて…。私にとっては、恩師です。そんな先生のようになりたいと思い、青山学院大学教育人間科学部に進学しました。
インスタライブを開けば、全国47種類のオーナーに出会える
ー大学ではどんな活動をされていたんでしょうか。
貧困地域に住宅を建設を手伝うボランティアサークルに入り、タイへ渡航しました。帰国前の観光目的で立ち寄ったバンコクで、ある事件が起こったんです。
一日の市内観光を終え、観光ガイドの日本人の方と夕食することに。その人は、全員に飲酒を押し付けてきた上に、自ら泥酔し、私たちの日中の行動を揶揄し始めました。食事が終わると、今度は男子メンバーを連れ出して車でどこかへ行ってしまったんです。残ったメンバーで慌てふためきましたね。
ーそれは大変なことになりましたね。その後はどうされたんですか。
ボランティアでお世話になったサブコーディネーターさんに助けを求め、友人は無事に帰還。ホテルに戻りました。しかし、翌日以降の宿泊はキャンセル。ボランティア目的で渡航したので所持金に余裕があるはずもなく、困り果てました。すると、サブコーディネーターさんが、友人であるゲストハウスのオーナーに相談してくれて、宿泊料金を破格の価格で提供してくれたんです。3日間を異なるゲストハウスでお世話になりました。印象的だったのは、共同スペースでの交流ですね。日本語を話す北朝鮮の人や世界一周中の19才と話し、お互いの国籍や文化を越えて、新しい価値観を知るきっかけになりました。
ー帰国してから行動に変化はありましたか。
知らない人は「別世界で暮らす人」と決めつけてしまうのではなく、積極的に関わるようになりました。その考えから、興味がなかった日本の地方へも、訪れてみればなにか協力したいと思うかもしれない、と。そこで、島の活性化を目的とする団体を立ち上げた友人と一緒に島を訪れました。
また、世界各国の若者が約1ヶ月半の期間を船上で暮らす「世界青年の船」事業にも参加。より多くの人と出会って、大事にしたいと思える人が増えればと思ったんです。船上では、病気の友人のためにダンス動画を作成してプレゼントするなど、自主的な企画も行っていました。
ー「オンライン宿泊」はどのように思いついたのでしょうか。
大学3年生になって大学に行く時間も減り、前から考えていたゲストハウスめぐりを行動に移そうと計画していました。しかし、コロナウイルス感染拡大の影響で中止に。ヒマな時間にインスタグラムでゲストハウスを眺めているときに、オンライン宿泊での日本一周を企画しました。
ー今回のクラウドファンディングの目的はなんでしょうか。
全国47都道府県のゲストハウスを訪れ、オーナーの魅力を発信するためです。インスタグラムの配信機能「インスタライブ」で、宿からライブ配信を行い、現地から宿とオーナーを紹介します。さらに、紹介内容を一冊の本にまとめ、より深く支援者に紹介しようと考えています。面白いのは、オーナーの魅力が違うことなんです。世界青年の船事業の過去参加者や、チャリで日本一周した人など異色の経験を持つ人の発信を通じて、ゲストハウスの素晴らしさが広まれば嬉しいです。
ークラウドファンディング前の不安やわからないことはありましたか。
インフルエンサーではないですし、不安しかありません。やるしかないと気持ちを切り替えて、まず活動を知ってもらおうと、友人100人に電話をしました。いきなり「クラウドファンディングをはじめましたー」とDMしたりSNSで告知をしたりしても、時にマイナスな印象を与えることもあると思うんです。自分がされても嫌ですしね…。正直辛かったです。
そんなある日、ゲストハウスのオーナーに相談しました。すると、「ゆずちゃんは、自分のやりたいことに自信を持っているの?だったら、それを誠心誠意伝えればいいんじゃないかな」と背中を押してくれたんです。友人やゲストハウスのオーナーに、自分の活動をまず話し、電話で相手の近況を聞いた上で自分の想いを話しました。「真摯に人に向き合えば、きっと分かってくれる」。そう信じていました。
ー改めて、日本一周でゲストハウスを訪れる理由はなんだと思いますか。
月並みかもしれませんが、オーナーから頂いた優しさを返したいと思います。ライブ配信では出演料を1,000円しかお支払いしていないんです。引き受けて下さった人たちの想いを受け取り、ゲストハウスの魅力をいろいろな人に知ってもらいたいです。
ー今後の展望を教えてください。
現在、目標金額を120万円に増やしました。支援者に贈る本をよりよくしたいし、お世話になったオーナーさんに無料で配布することを計画しています。今後、私を知るなかでゲストハウスにたどり着いてくれればいいなって思うので、ゲストハウスに興味のある人に私のことを広めてもらえると嬉しいです。インスタグラムでは、引き続きオーナーさんの魅力をライブ配信で紹介するので、もしよろしければご覧ください!
ーありがとうございました!
▼今村さんのクラウドファンディング紹介ページはこちら
https://readyfor.jp/projects/44171
▼今村さんのインスタグラムはこちら
https://instagram.com/yuzu_milk_ice?igshid=fe3g4yxdkhsj
▼日本一周の様子はこちら
https://note.com/yuzu_milk_ice
取材者:山崎貴大(Twitter)
執筆者:津島菜摘(note/Twitter)
編集者:野里のどか(ブログ/Twitter)
デザイナー:五十嵐有沙(Twitter)