様々なキャリアの人たちが集まって、これまでのステップや将来への展望などを語り合うユニークキャリアラウンジ。第363回目となる今回は、株式会社LOGを経営する矢嶋拓弥さんをゲストにお迎えし、現在のキャリアに至るまでの経緯を伺いました。
株式会社LOGは、個人の幸福度を高めることを目標に、働き手が自分らしい仕事するために必要な、成長・繋がりの場を提供する事業を展開しています。事業構想を得たきっかけとは、矢嶋さん自信の幸福や自分らしさとは何なのか深堀りしていきます。
田舎で育った少年時代
ーはじめに自己紹介といま取り組まれていることを教えていただけますか?
2020年の8月に、3人の仲間とLOGという会社を立ち上げました。
僕を含めた創業メンバーは、皆オンラインサロンやウェブスクールなど、何かを学べるようなコミュニティを立ち上げたり支援したりしてきた人ばかりです。フリーランス人材とのつながりも多く、彼らを支援するようなサービスをつくりたいという想いが一致して起業するに至りました。
現在の主な事業は、100名ほどのフリーランスのエンジニアを組織化してサイト制作やシステム開発を請け負う受託開発です。
一方で、仕事を持っているが人手が足りない!という人と、一定のスキルを持っていて実地経験を積める仕事を求めている人をマッチングさせるプラットフォームを新しく立ち上げ、グロースに力を注いでいるところでもあります。
ーあとても意義深いマッチングサービスですね。そうしたサービスを立ち上げようとする思考をどのようにして持つようになったのか、まずは幼少期のご経験から伺っていってもよいでしょうか?
僕が生まれ育ったのは長野県の田舎で、最寄り駅まで歩くと4~5時間もかかるような場所でした。クマと遭遇してリアル鬼ごっこなんて経験もあります。一方で、信号機と出会ったのは中学校になってからですね(笑)
当然周りには自然ぐらしかなく、遊び場と言えば滝つぼのある川でした。初めて近所の年上の子に連れて行ってもらった時に溺れかけたのを覚えています。慣れてしまうと町の子が市営プールに行くような感覚で泳ぎに行っていましたね。
ーどんなお子さんだったんでしょう?
親などの話を聞くと、ひとりになることを極端に嫌がる子どもだったようです。それでいて少し落ち着きがない。入学式を映したホームビデオでは、僕だけ着席できずに机を持ち上げたりしていました(笑)
また、周りに気を遣うような一面もあったかと思います。小学校の時にちょっとしたいじめにあった経験があり、人の目を気にするようになったんですね。親も厳しかったので、怒らせないように良い子にしていた記憶もあります。周りに順応するような性格というかスキルを身に着けたように思います。
―中学・高校時代はいかがですか?
中学から高校までは勉強もせず、ひたすらバレーボールに熱中しましたね。プロを目指していたほどです。高校ではキャプテンも務めました。
始めたきっかけは親がバレーボールをやっていた関係で、高名なコーチの師事を受ける機会があり、面白さに気付いたことですね。
特に実際にプレーするようになってからは、チームで何かを成し遂げるということが楽しくて仕方なかったです。
ーキャプテンになったのは推薦ですか?
はい。小学校の時からの性格で周囲の人を気にかけられる性格だっというのも一因かもしれませんね。他のメンバーは我が道を行くようなタイプ。選手としては一流でも、フラットな目線で全体を見る能力には欠けていたかもですね。
僕自身もキャプテンとなったことで多くのことを学べました。メンバーそれぞれが違う個性を持っていましたから、ひとり一人に合った声のかけ方を意識していましたね。
バレーボールでは、チームをまとめ上げるという達成感を得ることも出来ましたが、残念ながらプロになる道は経たれてしまい、その後進学を選ぶことになりました。
自分らしい働き方を探して
ー大学ではどういったことを学ばれたのでしょうか?
情報系の大学へ行ったのですが、勉学というよりも他のことに集中していましたね。大学を卒業したら地元に帰るつもりでいたので、在学中は学生でしかできないこと、新しいことになんでも挑戦しようと思っていたんです。
オーロラを見に行ったり、カンボジアのボランティアへ行ったりと、やりたいことをリストアップして一つずつ実現していきました。
カンボジアのボランティアではとある映像クリエイターの方と知合いました。フリーランスとして世界中を飛び回っていて、外国映画の制作にも名を連ねるような方でした。
自分がワクワクするものを仕事にできる人っていいなって素直に思いましたね。今思えばこの時の経験が今のキャリアを歩むきっかけになっているかもしれません。
僕自身もワクワクするものを仕事にしたいと思い映像の勉強をはじめ、個人制作をするようになりました。映画「アイアンマン」が好きだったこともあり、特にCG動画に凝っていましたね。社会人の方なんかとも共同してMVやオリジナルドラマなんかを作っていました。
ー就職先はどのように考えていたのですか?
そのまま、CG制作会社に入るつもりでいたのですが、当時、日本のCG制作会社が請け負っている案件のほとんどはパチンコ用の映像やアニメのCGがほとんどでした。映画制作に携われないと知ってがっかりしてしまい、他の業界でこのスキルを生かせないか考えた先に見つけたのがWEB制作だったんです。
大学ではプログラミングも学んでいたのでフロントエンジニアとして広告プロダクションに入りました。大手広告代理店からたくさんの面白い案件を受注している会社です。割とベンチャー寄りの気風だったので、ディレクター業務も担えたことは良い経験になりましたね。入社間もなくしてからほぼOJTで、ひとつひとつ案件をこなしばがら経験を積んでいきました。
どんどんと自分ができることが増えていくことが楽しかったですね。
ー独立や起業はその頃から考えていたのですか?
独立に関しては、実は全く別文脈で思考するようになったんです。
入社して2年が過ぎたこと、とあるNPO法人が開催する3日で起業を疑似体験するというワークショップに参加しました。
参加者全員がものすごい熱量をもってビジネスを考えるという環境に衝撃を受けましたね。この環境に身を置けるなら自分はもっと成長するだろう。起業するのもありだなと初めて思ったんです。
イベントに参加したあと、自らコミュニティを立ち上げることにしました。「スタートアップナイト」というイベントを開いて、起業や独立を志す人たちの情報交換の場を作ったんです。
そういった人たちを応援したいという想いでつくったのですが、間もなく僕が持つエンジニアのスキルだけでは支援できることが少ないということに気づかされました。
事業開発や集客で悩む人も多く、そこを支援するには何かしらの仕組み、つまりは事業を起こす必要があると考えたんです。ただ、事業開発の経験も無かったので、まずは経験を得ようとマーケティングを得意とする企業へ転職し、サービス開発を担当しました。
成長し続ける人を応援するための仕組みを
―ともに起業するメンバーの方にはいつ出会われたのですか?
会社に勤めながら、様々な外部のプロジェクトに参加していたのですが、その中で意気投合したメンバーですね。
ともにコミュニティ活動を支援するようなサービスを作りたいと思っていて、具体を検討していくうちに手段の一つとして法人の設立が必要になった感じですね。
ーコアメンバーとはどのような想いを共有していたのでしょうか?
成長し続ける人やチャレンジする人を応援できる場所を作りたいということですね。
その根幹には、自分らしく生きられる人を一人でも多く増やしたいという願いもあります。
そもそも、私個人の考えとして、自分の価値観で行動し頑張っている人が好きなんです。カンボジアで出会った映像ディレクターの方のように。
自分の価値観に従って仕事をすることが、自分らしい生き方や幸福に通じるのだと信じています。
―豊かさや幸福が、そうしたところにひもづいていると感じたのはいつの頃ですか?
エンジニアが集まるギークハウスというシェアハウスで生活していたことがあります。今も初台のシェアハウスに住んでいますが、そういった場所には自分の価値観を大切にする人が大勢集まっているんです。
僕自身、自分がどういう人間なのか、どういうときに幸せを感じるのか見つめなおすきっかけになりましたね。
僕の場合は、常に成長している状態でいられることに幸せを感じるんです。そして好きな人に感謝されること。そんな価値観を大切にして自分らしく生きていくことは、ある意味他人の目を恐れていた子ども時代のトラウマを払拭することでもあるかもしれません。
ー今後はどのような挑戦をしていくのでしょう?
一つは自分の価値観ベースで仕事を継続すること。そして、自分以外にもそんな生き方ができる人を増やして生きたいと思っています。
例えば現在新しく取り組んでいるマッチングプラットフォームがきっかけになると思っています。
自分らしく生きる上で個人で仕事をするという選択があり得ますが、フリーランスになろうとする方の多くが、実務経験を得られる機会が乏しいと感じているようなんです。
スキルを学ぶチャンスはあっても、クライアントから求められる実務経験を得る方法がない。そこをなんとかしたいとLOGでは考えています。
仕事を持っているが人手が足りない!という人と、一定のスキルを持っていて実地経験を積める仕事を求めている人をマッチングさせることができれば、個人がもっと成長する機会、独立する力をあたえられるのではないかと思うんです。
個人で稼ぐ力がさらに重要となるこれからの時代に、必要とされるサービスに育てていきたいですね。
ー本日はありがとうございました!矢嶋さんのさらなる挑戦を応援しています!
▽矢嶋さんさんの活動の詳細はこちらからご確認いただけます。
取材者:山崎貴大(Twitter)
執筆者:海崎泰宏
デザイン:高橋りえ(Twitter)