様々なキャリアの人たちが集まって、これまでのステップや将来への展望などを語り合うユニークキャリアラウンジ、第142回はDLI North America Inc. (第一生命グループ米国子会社)勤務の野崎真嗣さんです。アメリカ同時多発テロ事件をきっかけに海外動向に興味を持ち、もっと広い世界を知りたいと思うようになったという野崎さん。イギリスの大学に進学し、アフリカでのインターンをきっかけに日本での就職を決意。現在はアメリカ駐在として働かれている野崎さんに、生命保険業界への就職を選ばれた理由や入社4年目で海外駐在の切符を手に入れるために意識して行っていたことなどをお話いたただきました。
入社4年目で海外駐在に抜擢
ーまずは簡単な自己紹介をお願いいたします!
18歳まで香川県で育ち、高校を卒業後イギリスのヨーク大学に進学しました。大学卒業後は日本に帰国し、新卒で第一生命保険に入社。支店で3年勤務した後、アメリカのシリコンバレーオフィスに異動となり現在駐在生活3年目です。
ー大手日系企業だと3年で海外駐在に抜擢されるのはすごいことですよね。
学生の時から海外で働きたいと思っていたので、社内制度で海外駐在の希望を出していました。英語が話せることと海外経験から様々なルーツを持った人たちとコミュニケーションをとることが得意だということを会社側にアピールしたところ駐在が叶いました。
ー海外駐在に選ばれるために意識してやっていたことはありますか。
できる限りたくさんの社内の人と話すことは意識していました。配属された部署の人以外とも話すことで、どのようなキャリアパスが考えられるのか・どういった仕事が他にあるのか・海外駐在にどんな人が選ばれやすいのかなどの情報収集ができました。サッカーが学生時代から好きだったので会社のサッカー部に所属したことがきっかけで、他部署の方達との繋がりが自然と増えました。
ー実際にアメリカで働いてみていかがですか。
大学時代はイギリスにいましたが、イギリスも日本同様で島国なので、アメリカの規模の大きさにはやはり驚かされました。カリフォルニアだけでも日本と同じだけの面積があるのでびっくりですよね。アメリカは資源も自然も豊富な国だなと日々感じています。また、イギリスと同じ英語圏ですがやはりカルチャーは違うので新しい発見や学びは多いです。
9.11事件をきっかけに広い世界を目指す
ーそもそもグローバルに関心を持つことになったきっかけは何だったのですか。
9歳の時で家族でニューヨークに行ったのですが、その翌年にアメリカ同時多発テロ事件(9.11)が起きました。旅行で訪れた時に見たワールドトレードセンターが崩壊していく様子をテレビで見て、衝撃を受けたんです。「なぜあんなことをする人がいるんだろう?何が人をそうさせるのだろう?」と考えるきっかけとなり、その答えを見つけるには香川県から出ないと分からないかもしれないと思ったのです。
大学の教員をしていた父が日頃から「日本の大学はだめだ」と嘆いたのを聞いていたこともあり、高校に入ってからは海外の大学に行きたいと思うようになりました。両親にもそのことは伝えたところ「自分で調べてみて行けそうだったらいいのでは?」という反応だったので海外大学について調べたり英語の勉強をしたりして準備を進めていました。
ーそれではご両親は海外大学への進学に肯定的だったのですね。
それが、いざ高校3年になると「日本の大学でもいいんじゃない?」と言われたんです(笑)また高校の先生も前例がないためよく分からないという理由から肯定的ではありませんでした。
ーそれでもご両親や先生を説得してまで行きたいと思った理由が何かあったのですか。
香川県には留学の支援機関があまりなかったため毎回、大阪まで行っていたのですが、その移動だけでもワクワクしていたんです。そして大阪に行くと自分の住んでいる香川県が小さく感じました。「もっと広い世界を見たい!」という気持ちがやっぱり海外進学したいと思う1番の理由だったように思います。
渡英し、勉強漬けの日を送る
ー海外進学の中でも、イギリスを留学先に選んだ理由は何だったのでしょうか。
イギリスの大学は3年で修了なのですが、大学入学前にファウンデーションコースという1年の準備期間があります。私は帰国子女でもなかったので、すぐに授業についていけるか不安があったということもあり、この期間があるのは魅力的でした。
ーイギリスでの学生生活はいかがでしたか。
英語面ではやはり苦労しました。政治学と国際関係学を勉強していたのですが、授業の半分がディスカッションだったため意見があっても言えなくて悔しい思いをすることが多かったです。毎回毎回、念入りに授業準備をしてのぞむ勉強漬けの日々でしたね。授業についていけるようになったのは2年目からでした!
また、もともと途上国支援に興味を持っていたので大学の夏休みにはスイスで国連機関の訪問ができるプログラムに参加しました。国連で働く方々のお話を聞く中で、衝撃だったのが一部機関の職員は8割が離婚を経験しているというお話。家庭よりも難民のことを常に考え、プライベートよりもミッションを優先するプロフェッショナル集団の凄みを垣間見た気がしました。
ー「8割が離婚」は確かに衝撃的ですね…!
この国連機関への訪問をきっかけに、発展途上国での仕事を自分自身も体験したいと思い、アフリカへ6週間インターンをしに行きました。タンザニアで農機具を農村に安くでリースする事業を行っている日本人のスタートアップ企業でのインターンだったのですが、場所によってはWi-Fiがつながらず国外の家族や彼女・友人とは連絡がなかなか取れない日々を過ごしました。
貴重な経験ができ、とても充実した6週間でしたが、このインターンで発展途上国で働きつつプライベートを充実させる難しさを改めて実感しました。そして発展途上国関連の仕事に本当に就きたいのか分からなくなってしまいました。
まずは身近な人から幸せにすることを優先したい
ーアフリカでの経験がその後の進路決定に大きく影響することとなったんですね。
はい。いろいろ考えた結果、自分がその時に1番優先したいことは結婚と子供でした。であれば、まずは身近な人を幸せにできる選択をと考え、就職活動をすることに決めました。イギリスでの現地就職はビザの面などから現実的ではないと考え、日本企業を受ける中で受けたのが第一生命でした。
「大学時代に頑張ったことは?」の質問に対して「勉強」と答えたところ真面目に大学時代の勉強したことやそこから考えたことについて聞いてくださり、自分の大学生活で頑張ったことを1番評価してくれたことが入社の決め手となりました。
ー実際に日本で就職してみていかがでしたか。
入社後は東京の町田支社に配属となり、営業管理・企画業務を経験させていただきました。時々「何の仕事をしているんだっけ?」となってしまうような地味で泥臭い仕事も多かったのですが、将来は「生命保険を保険という概念のない国に持っていきたい」ということが目標としてあったので頑張ることができました。また直属の上司が、年次に関係なく様々な仕事を経験させてくださり、幅広く経験を積ませていただくことができたのもよかったです。
ーそして念願の海外駐在となり現在に至るとのことですが、今後の目標や展望があればぜひ教えてください!
今の業務では最先端の技術が生命保険業に与える影響を調査したり、業務のデジタル化をサポートしたりしていますが日々感じるのはまだまだ自分は保険のことを知らないなということです。特にデジタル化を進めるにあたってはスタートアップの方と話すことが多いですが、営業の経験しかないため質問されても答えられないことが多くあります。
将来的には発展途上国で保険のプロフェッショナルとして事業をできたらと考えているので、今はとにかく保険業での経験を積みたいと思っています。
ー本日はありがとうございました!今後のご活躍を応援しています。
取材:西村創一朗(Twitter)
執筆者:松本佳恋(ブログ/Twitter)
デザイナー:五十嵐有沙 (Twitter)