やりたいことなら、自分で道を切り拓く。SmartHR たった一人の新卒・加藤桃子は、好きなものに真っ直ぐな広報家

様々なキャリアの人たちが集まって、これまでのステップや将来への展望などを語り合うユニークキャリアラウンジ。第108回目のゲストは、株式会社SmartHRで広報を務められている加藤桃子さんです。

高校時代に熱心に取り組んだチアダンスでは、全国2位に。その一方で、苦手だった勉強でつまずき、大学受験で志望と違った進路になりました。思い通りにいかず、やきもきした経験を重ねます。だからこそ、アルバイトや就職先の決定などでは、自分のやりたい道を、たとえそこに道がなくても切り拓いてきた加藤さん。その推進力の根底にあった、自分と向き合うことの大事さと、着実な歩みの重ね方に迫りました。

 

「フラットな会社。大好きな会社を広めたい」

ー本日はよろしくお願いします。まずは加藤さんの現在のお仕事について教えてください。

加藤桃子です。株式会社SmartHRで、広報をしています。SmartHRは、HR業界のなかでも、HRテクノロジーに力を入れている会社で、煩雑で時間のかかる労務手続き・労務管理をペーパーレス化するサービスの提供をしています。

会社のことが大好きで、もともとはセールスだったのですが、より多くの潜在層にSmartHRを知ってもらい、SmartHRを使って本来やるべきことに注力できる人を増やしたいと思い、広報に異動しました。主な仕事は取材対応など、コミュニケーションの調整役が多いですね。

 

ー会社のことが大好き、というのは広報にとって欠かせない要素ですよね。どのような点が会社の魅力だと感じていますか? 

対人関係も、コミュニケーションも、とてもフラットなんです。会社によっては、人間関係で悩まれる方もいらっしゃるかと思いますが、良好な関係をお互いに構築できているので、余計な部分を考えずに仕事にだけ集中できます。また、Slackのスタンプひとつで会話が進むため、スピーディさもあります。コミュニケーションによるストレスがほとんどありません。

わたしは現在社会人3年目で、SmartHRが一社目ですので、この環境を当たり前に享受していたのですが、友人などの話を聞くとより自社のフラットさを感じます。

 

ー風通しの良い職場であることが伝わります。そのような環境が築かれた要因はなんだと思いますか?

情報がオープンなため、社員であれば誰でも、欲しい情報を取りにいけるんです。そうすると、結論から渡されたとしても、自分でそこに至るまでの過程や要素を確認できるので、納得感が生まれます。人が動く上で、納得感ってとても大事だと思うんです。なんとなく疑問や不満を持った状態だと、動きにもそれが出てしまいますよね。

 

SNSを通じて、好きなものの魅力を発信

ー素晴らしい環境で、充実した社会人生活を送っているんですね。プライベートで取り組んでいることはありますか?

大学生の終りから始めたトレイルランニングですね。斑尾高原トレイルランニングレース2019にて、女子総合優勝という成績を修めました。トレイルランニングは、登山道や砂利道、林道などトレイルと呼ばれるコースを走る競技です。

 

ーマイナーなスポーツかと思いますが、どういったきっかけで始められたのでしょうか?

大学の終りが近づくと、卒業旅行などに行く機会が増えて、健康面を気にするようになり…。そんなときに友人に誘われてハーフマラソンに参加したんです。河川敷がコースだったのですが、それが辛くて堪らなくて…。走るのがもともとあまり好きじゃなかった上に、河川敷という平坦なコースを走ることに面白味を感じられませんでした。そうしたら、「山道を走る、トレイルランニングなら楽しめるんじゃない?」と教えてもらいました。

それから、初めてトレイルランニングレースの応援に行きました。参加者はわたしより年上の方が多かったのですが、みんな、驚くほど顔をきらきらさせていました。そして「あそこでつまずかなかったら、もっと早いタイムだった!」なんて、悔しそうに笑い合いながら言い合っていたんです。それを見て、「この人たち、なんて楽しそうなんだろう…」と心が動かされ、自分でも挑戦してみました。

特に、下りの山道を走ったとき、全身でその楽しさを知ることができました。油断すると危険なスポーツでもあるので、とにかく集中力が研ぎ澄まされて、「ここを進むこと」だけをひたすらに考えるんです。その感覚が新鮮で、見事にハマりました。

 

ー加藤さんは、ご自身が体感した魅力をSNSでも発信しているそうですね。

「トレイルランニングってどんな競技?」と周りから聞かれることが多くなってきたので、Instagramに投稿している他の方にはない方法で、もっとこのスポーツの魅力が伝わるように、と意識して発信をしていたんです。

そのInstagramから、雑誌やPRムービーへの出演、取材など、活動の場が広がることとなりました。

 

ひとつのことに打ち込んだ経験が、今に活きている

ー着実にトレイルランニングの魅力を広めているんですね!さすが広報家です。ハードなスポーツだと思うのですが、もともと運動は得意だったのでしょうか?

高校生の時に、チアダンスをしていました。小学生時代、勉強も習い事も盛りだくさんで、その上中学受験までして…燃え尽きてしまったというか、あまりに忙しく過ごしていた反動で、中学はあまり活動的ではなかったんです。それが、もったいない3年間だったな、と振り返り、高校ではチアダンス部に入部しました。 

最初は部活ではなく、チアダンス同好会からのスタートでした。チームメイトにも恵まれて、熱中するという体験をしました。朝、昼、部活、帰宅してからと週6.5日くらいは練習していましたね(笑)ひとつのことをとことん考え、打ち込んだ経験はいまでも活きていると感じます。2年生のときには、夢のようだった全国大会出場、そこに留まらず、なんと準優勝という快挙を成し遂げることまでできました。

 

ー同好会から全国2位なんて、まるでドラマのようです。相当な時間を練習に注力されたかと思いますが、大学受験は問題なかったのでしょうか?

勉強は苦手でした…。なので、夏を待たずに3年の春に引退をし、そこからは受験勉強に集中します。ある大学のキャンパスに憧れていたのと、いきたい学部があったことから、第一志望校を決めていたのですが、そこは残念ながら合格することができませんでした。

結局、別の大学に進学します。大学受験を失敗した、というのは大きなコンプレックスで、その後の就職活動にも影響します。

 

「憧れのあの人と働きたい」飛び込んだアルバイト

ー受験は辛いことも多いですよね…。どのように過ごされていましたか?

よく行くカフェがあって、そこの店員さんにいつも励まされていました。とっても可愛い絵を、注文した飲み物のカップに書いてくださっていたんです。

でも、特段、それ以外に目立った言動があったわけではありません。今、こうやって振り返っても、具体的に「こんなエピソードがあって…」とはお話できないんです。なのに、その人に会うだけで元気をもらえていました。注文ひとつとるのも、商品を渡すのも、特別なことではないのに、その人がするだけで、気持ちがこもって受取れたというか…。

 

ー素敵な出会いがあったんですね。加藤さんにとっては憧れの方になったのではないでしょうか?

「大学生になったら、絶対にそこでアルバイトがしたい!」と思いました。実際に、進学して、アルバイト募集をしていなかったにもかかわらず、電話で志願し、面接をした後に採用していただきました。憧れていた店員さんとも働くことが叶い、嬉しかったです。

お店側の人間になり、その人はお客様に対してだけではなく、一緒に働く仲間に対しても自然と楽しんで仕事をできる雰囲気を提供していると気付きました。

 

ーその方の接客を受けてみたかったです。他に、アルバイト経験で印象的だったことはありますか?

新店舗の立ち上げメンバーとして仕事をしたことですね。全国展開するカフェのチェーン店だったのですが、わたしの家の近くで、新しくドライブスルー形態の店舗オープンが決まったんです。これはきっと貴重な経験を積めるに違いない、と思って、その店舗への異動を志願しました。

時間はかかりましたが、自分でプレゼンなどして、オープン1か月前に新店舗に配属されました。店員の中にもいくつかポジションがあり、わたしは他のメンバーを指導する「トレーナー」だったため、育成にも携わることができました。

 

とことん自分と向き合った就活

ー店舗立ち上げに関われるというのは特別な経験でしたね。大学受験が就活に影響を与えたそうですが、いつ頃から始められたんですか?

大学2年生のときには就活をスタートさせました。大学受験を失敗したという意識から、早めに着手したんです。就活では、大学名は当然重視されますよね。それ以外の部分で、自分のことを見てもらうための関係性づくりができればと考えていました。「絶対に成功させるぞ」と意気込んでいたと思います。

就活は、総じて楽しかったです。もう一度やりたいくらいです(笑)就活生、というだけで、ちゃんとお願いすれば、みんな会ってくれるんですよね。それって、ものすごく有難いことだったと思います。今であれば、「会う価値のある人間だ」と相手に自分のことを思ってもらえないといけません。就活生であれば、社会人側は「採用活動がしたい」、就活生は「会社の話が聞きたい」とwin-winな関係で会うことができます。

ー就活が楽しい、と言えるのは素敵ですね。意識したポイントなどはありますか?

自己分析は徹底的にしましたね。自分とそれまで向き合うことはなかったので、その過程ではしんどいこともありました。でも、それを乗り越えて気が楽になった部分もあるんです。

自己分析をする中で、恩師に壁打ち相手をお願いしたことがありました。その方に、「現状維持でもいいんじゃない?」と言われて…。聞いた瞬間は、「どういうこと?それだと停滞しちゃうじゃん」と思ったのですが、さらに考えると、「人と比べなくてもいいんだ」ということに気付けました。そこに行き着いた瞬間に、気持ちがびっくりするくらい楽になったんです…。

それまでのわたしは八方美人で、全員から好かれようと振舞っていました。そこに無理もあったと思います。人と比べなくてもいい、と分かったときに、そういう「みんなから好かれなきゃ」という思い込みもなくなり、本当の意味で自分の人生を生きようと思いました。

 

ー加藤さんを後押しする存在が大きなキーになったのですね。壁打ちも大事かと思いますが、ひとりでもできる自己分析はありますか?

モチベーションシートを用いることが多かったですね。自分の調子の浮き沈みをグラフで表わして、それらの共通点を探るんです。共通点が洗い出されたら、今度はそこに伴っていた感情まで深掘りします。自分の過去の感情に向き合うのはきつい気持ちになることもありますが、しっかりと自分と向き合えるいい方法です。わたしは今でも実践することもありますね。

 

「楽しんで働く人と一緒がいい」二度目の就活に

ー参考にさせてもらいます。自己分析も徹底し、人にも会い、時間もかけて…そうやって就活は成功しましたか?

大学3年の秋には、人材業界の大手企業から内定をいただいていました。「よし、これで終りだー!」と安心しましたね。ただ、それから時間ができて…そうすると、改めて「自分の選択はこれでいいのかな?」と思うようになったんです。大手企業に決めたのは、「両親が安心してくれるだろう」というところが大きかったことに気付きます。もともと両親は、ベンチャー企業よりも大手企業を選んでほしい、という気持ちが強かったんです。

大手企業には、有名な大学出身の先輩や同期もたくさんいました。でも、知れば知るほどみんなそんなに楽しそうに働いていなかったんです。仕事に対しての向き合い方が、どうしても引っ掛かりました。きっとみんながそういう訳ではなく、その時期にわたしが出会った人たちが、そうだっただけだと今は思えます。

その一方で、いろんな人の話を聞いていたときに出会った、ベンチャー企業で働かれている方々は、みんなきらきらと目を輝かして、未来について語っていました。「仕事を心から楽しんでいる人と一緒に働きたい」そう思って、二度目の就活として、ベンチャー企業の求人を見直すことにしたんです。

 

ー大手企業からせっかく内定をもらっているなかで、スタートアップ企業を志望するとなると、親御様は心配したのではないでしょうか?

そうですね。反対されました。そこはとことん話し合って、不安材料を聞き出し、ひとつひとつ納得してもらえるように説明を重ねました。そのうち、わたしの熱意が伝わったのか、親も就活を応援してくれるようになったんです。

 

ーご自身だけではなく、親御様ともしっかり向き合われたんですね。そこから、SmartHRへの入社を決めたのはどうしてですか?

そもそもSmartHRは新卒採用をしていませんでした。人材業界だと、1対1での仕事が基本なのが、HRテクノロジーは、1対nのインパクトを生み出せると思い、魅力を感じたんです。そこで、いくつかのHRテクノロジー企業サイトを見た中で直感的にどうしても働きたいと思ったSmartHRの、お問い合わせフォームから思いの丈をぶつけました(笑)

そうして選考を受けることができ、採用していただきました。

 

ーカフェのときと同じく、自ら道を切り拓いて…!新卒採用をしていない会社ということで、困難なことはありませんでしたか?

みんな、中途採用で会社に入ってきているので、すでに様々な経験があり、なにかしらのプロフェッショナルです。「わたしには何もないな…」と悩んだこともありました。でも、それはしょうがないことです。悩んで考えて、わたしは開き直りました(笑)いまは、セールスの経験を活かした、広報のプロフェッショナルになろうと前を向いて頑張っています!

 

ー加藤さんの、壁を壊して前に進んでいく力強さに元気をもらいました。本日はありがとうございました!

加藤桃子さん(Instagram / Twitter

 

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取材:西村創一朗(Twitter
執筆・編集:野里のどか(ブログ/Twitter