心地善く生きるススメ。UNO KIDO代表・藤田裕次郎の人生哲学とは

人それぞれの人生哲学。ヒッチハイクで様々なことを学び、塾では教育について議論する

ーなぜ被災地でのボランティアやヒッチハイクをしようと思ったのでしょうか。

高校生という多感な時期に東日本大震災をテレビで見て衝撃を受けたからです。都内にいながらも、いつかはボランティアに行きたいと思っていました。そのため、大学生でボランティアに行けたときは「やっと行けた」という感覚でした。

ヒッチハイクに関しては、大学2年生のときに下級生の親御さんに挨拶まわりに行きたいと思ったことがきっかけです。大学は1年生は全員寮に入り、2年生は監督生をしたい人のみが寮に残ります。

2年生の僕は監督生として、全国から来る下級生とその親御さんが来る入寮式に参加する予定でしたが、心療内科の最終日と重なってしまって。どうしても行けませんでした。ご挨拶したいという想いがありつつ、それができる最後のチャンスは退寮した3年生の夏休みと考え、予算の都合でヒッチハイクという方法に思い至りました。

ーヒッチハイクではどのようなことを学びましたか。

ヒッチハイクで被災地に訪れたときに、プロアーティストのゴスペラーズさんがライブをしていました。盛り上げたり、MCで笑わせたり、ときにはバラードで泣かせたり。人の感情を揺らせるプロフェッショナルは人を救う力があるのだと体感しました。

他にも、ドライバーさんひとりひとりに人生哲学がありつつも、人として大事な部分はみんな似通ってくるのだと学びました。

ーヒッチハイクから帰ってきた後はどんなことをしましたか。

ヒッチハイクから帰ってきた後は就活に励みました。元々は、父親だけでなく兄も教員であったため、自分も教員を目指していました。しかし、実際に教員の体験をしてみると「自分は教員をサポートしたい」「教員では手の届かないことをしたい」と思うようになりました。

さらに、新卒で入る学校の上司がどんな人かわからないことに「心許ないなぁ」と感じたことも教員ではないかなと思った理由です。

ー教員の道を諦めてからはどんな道を選択されたのでしょうか?

知っている人のもとで働きたいと思ったため、中学受験のときに通った塾の塾長に頼み込み、アルバイトとして働きました。その後、大学4年生のときに「来年雇ってください」の一言に対し塾長の「いいよ〜」で就活が終了。

塾では「教育とは一体なんぞや?」という議論を塾長と毎日のように交わしました。当時から塾の理念にあった「10年先を見据えた教育」という考え方が、現在の僕の教育の理念でもあります。

心地善く生きるススメ。バランスのとれた人生で豊かに生きる

ーここまでたくさんの経験をされてこられた藤田さんの人生哲学にはどんなものがありますか。

「心地善く生きる」という考え方を大切にしています。プロフェッショナルのパフォーマンスで人の心が救われるのを目の当たりにする一方、自身のストイックさに病んでしまいました。

また、父親からの愛情で救われた一方、被災地ボランティアではどんな言葉も力をなくしてしまう現実に直面しました。ヒッチハイクを通して、多くの人生観や人の心に触れ、人として善く生きることが大切なのだと学んだのです。優劣ではなく、自分にも他人にも心地が善い、バランスのとれた生き方をしていきたいと考えています。

ー藤田さんの今後の展望を教えてください。

定年までにやりたいことのひとつとして「まちづくり」があります。塾やアカデミーで多くの上昇志向を持っている子どもたちを見てきましたが、何か強烈に好きなものがある子はかんたんにはへこたれません。また好きを入口とした教育は成長速度がはやいのではないかと感じています。

そのため好きを支援する教育に取り組んでいきたいと考えています。その第一歩として2022年からUNO KIDOという運動スクールをはじめました。

UNO KIDOでは1年間に7種目のスポーツを経験してもらいます。そこから好きなスポーツを見つけたり、運動そのものを好きになったりしてほしいと考えています。ただ、運動にこだわる必要もないと考えていて。ITでも音楽でも演劇でも本当になんでもよいと思っています。

好きを原点とした子どもの教育を広めていくことで「あの街に行けば子どもの好きが見つかるかもしれない」「子どもの好きが伸ばせるかもしれない」そんな、子どもの可能性を感じることから始まるまちづくりを考えています。

ー最後にU-29世代のみなさんにアドバイスやコメントをお願いします。

先ほども話しましたが自分にも他人にも「心地善く生きる」ことをオススメします。就活やキャリアを考えるとき、とかく自分と向き合います。のめり込むほど、苦しさを感じるのではないでしょうか。そんなときは「どうか1人にならないでほしい」と思います。周りを頼りながらバランスをとって、一日一日をなんとか生き抜いてほしいと願っております。

ーありがとうございました!藤田さんの今後のご活躍を応援しております!

藤田さんが運営されている運動スクール「UNO KIDO

取材:戸田光(Twitter
執筆:松村彪吾(Twitter
デザイン:高橋りえ(Twitter