ビジップCOO・平野賢正が考える、王道キャリアへの違和感との向き合い方

様々なキャリアの人たちが集まって、これまでのステップや将来への展望などを語り合うユニークキャリアラウンジ。第920回目となる今回は、ビジップ株式会社COO平野 賢正(ひらの・けんせい)さんをゲストにお迎えし、現在のキャリアに至るまでの経緯を伺いました。

ビジップ株式会社COOに加え、NPO法人学生ネットワークWANの事務局長やドローンスクールの運営をされている平野さん。学生時代の平野さんは、大きな会社に行くために大学院に進む、理系大学生の王道キャリアに違和感を持っていたそう。

大学を休学してベンチャー企業のインターン生となり、現在では自分の力を最大限に発揮しながら働かれている平野さんに、王道キャリアへの違和感との向き合い方をお話ししていただきました。

普通の大学生が、王道キャリアに違和感を持った理由

ー早速ですが、自己紹介をお願いいたします。

平野賢正です。ビジップ株式会社のCOOや、NPO法人学生ネットワークWAN(以下、WAN)の事務局長、ドローンスクールの運営をしています。

ビジップ株式会社では、オンライン配信やオンラインイベントの企画・運営のサポートを行っています。WANでは、地方創生やビジネスに関心のある学生向けにイベントを開催したり、情報発信をしたり……。

いろいろと手を出していて、複雑ですよね(笑)。とにかく、テクノロジーで新しい働き方を創造したい!と思っています。

ーありがとうございます!工学部出身ですよね。学生時代から、テクノロジーで社会課題を解決したいと思っていましたか?

そんなことはないですね。アルバイトとゲームに明け暮れる普通の学生でした(笑)。大学院に進学して卒業後、研究職としてメーカーに勤めるキャリアを、漠然と想像していました。理系の大学生にとって生活基盤が安定するキャリアといえば、メーカー研究職だと思っていて。

大学3年生のときに、授業の一環で2週間のインターンシップに参加しました。そこで、決められたルールの中で働くことが自分には合っていないと感じました。会社の規模が大きければ大きいほど、ルールが決まってそうですよね。「安定した大きな会社で働くために大学院に行く」、そのような王道キャリアに違和感を持ち始めました。

大学3年生の終わりごろ、実業家の孫泰蔵さんが大学に講演に来られて。「未来の創造」や「イノベーション」がテーマの講演を聴いて、わくわくしました!講演後、早速就職活動を始めました。

「自ら何かを創りたい」大学を休学してベンチャー企業へ

ー王道キャリアに違和感を持つ平野さんにとって、孫さんの講演がキャリアの道標になったのですね。

そうです。孫さんの講演を聴いて、自ら何かを創りたい!と思うようになりました。主体的に働けそうなベンチャー企業を調べつつ、起業も視野に入ってきて。

住んでいる福岡でベンチャー企業を探して、インターン生になりました。オウンドメディアの記事の執筆をしたり、イベント運営のサポートをしたり……。実際にベンチャー企業に身をおいて、自ら企画・提案を行い人を巻き込む仕事が楽しい!と感じましたね。

元々積極的な性格なのかもしれません。中学校・高校時代に、部活動のキャプテンや生徒会、体育祭の応援団長をやっていましたから。

ーベンチャー企業の働き方が、平野さんの性格に合っていたのですね。初めてのインターン先で、ベンチャー企業に就職することを決めたのですか?

きっかけのひとつになりました。ベンチャー企業のお仕事をして「どう働きたいか」が具体的になったのです。

正解がない状況で、仲間やお客さんと一緒に何かを創り上げるプロセスに、わくわくしました!ベンチャー企業で働いている方々の価値観にも共感し、自分に合っていると感じましたね。

自分に合った働き方は明確になりましたが、「どういった仕事がしたいか」は定められなくて。やりたい仕事を考えるために、大学を1年休学することにしました。

ー自分のキャリアに向き合う時間を作ったのですね。休学して卒業が遅れることに、不安はなかったのですか?

もちろん休学するかどうかは悩みましたが、卒業が遅れることは問題ないと思っていました。自分の中では、休学してインターンシップに参加することと、卒業して就職することは同じ意味を持っていたので。

昔から、運動も勉強も苦手意識があまりなく、成功体験を積んできました。おかげで、根拠のない自信がありまして(笑)。自分にも何かできそう!と勢いづいていたのです。

インターン先で地方創生に関わり見つけた、やりたい仕事

ー運動も勉強も苦手意識がないなんて、言ってみたいです(笑)。その後はどういった活動をされたのですか?

大学の友人と起業する計画を練ったのですが、頓挫してしまって。

「何をしようか」とフラフラしていたタイミングで、WANとビジップの代表を務める森戸 裕一(もりと・ゆういち)の講演を聴きました。森戸の話を聴いて、自分の知識量の少なさとそれまでの行動範囲の狭さに気づき、打ちのめされました……。純粋に「この人すごい」と思いましたね。

講演をきっかけに、ビジップとWANで活動を始めたのです。

ービジップとWANには、休学後に出会ったのですね!活動する中で、やりたい仕事が見つかったのでしょうか?

そうです。

WANが地方創生に関するプロジェクトを始め、地域の経営者と仕事について話す機会がありました。そこで地域の働き方を知り、テクノロジーを使えばもっと楽しく働けるのに!と驚きました。ベンチャー企業では、業務効率化を目的にITツールを使用します。業務の効率化が進むと、余白で新しい仕事ができたり、余暇を楽しめたりします。

WANを通して地域の働き方を知り、テクノロジーで新しい働き方を創りたいと思うようになりました。多くの方が仕事をする時代ですので、楽しく働けるようになったら社会の幸福度が上がるのではないかと。

「どういった仕事がしたいか」が明確になったので、復学して大学を卒業し、森戸が代表を務めるナレッジネットワーク株式会社に就職しました。そのまま、ビジップCOOとWAN事務局長を兼務するようになったのです。

ー地方創生に関わり、やりたい仕事も就職先も決まったのですね。起業は頓挫してしまったと言っていましたが、意欲はまだありますか?

起業は……しません(笑)。

インターン中に経営者の方々のリアルな苦悩を聞くこともあり、自分はそこまではできないと思いました。0から1ではなく、1から100を創る仕事をやっていきたいです。

休学したことで、いろいろな方の話を参考に、「どういった仕事がしたいか」を考えられました。なんとなく大学院に進学するよりは、休学して良かったです。