自分らしく活躍できる場所は、自分で探す。キャラクター作家あまがみねこの生き方

ぬいぐるみのクリエイターになることを決意

ー次の転機が、コロナ禍でのリモートワークや多くのクリエイターとの出会いということということですが、詳しく教えてください。

コロナ禍で完全リモートワークに移行していた「GMOペパボ」が気になり、入社をしました。

クリエイターを支援することが主な事業で、ハンドメイドマーケットの『minne』やオリジナルグッズやアイテムの作成・販売を行う『SUZURI』といった会社のサービスがありました。

そこで、こんなにも多くのクリエイターがいるのだと知り、自分も作り手側になりたいと思うようになりました。GMOペパボは複業OKの会社で、行動指針に「みんなと仲良くすること」「ファンを増やすこと」「アウトプットすること」の3つがあります。

また、自分でものをつくったり発信をしたりすることに寛容な会社だったので、クリエーターになることを決めました。

ー今までは小説やカメラでクリエイティブな部分を発揮していましたが、ぬいぐるみ作りに至った理由を教えてください。

小さい頃にぬいぐるみが好きだったこともありますが、「くまきち」というぬいぐるみがあり、それをみた時に可愛いと思い、くまきちのファンになりました。そして、自分が何を作ろうかと考える中で、minneを見て競合が少ないジャンルがぬいぐるみだったので、ぬいぐるみにしました。

ーぬいぐるみのフォルムは、何かを参考にして作り上げたのでしょうか。

世の中にあるキャラクターの中で、どんなものが売れているかを調べました。例えば、ハローキティは口がないから想像の余白があるとか、カービィやくまもんは丸いから可愛いといったように、様々なキャラクターの特徴を分析した結果、白くて丸いものがいいのでは、と結論づけました。

ーぬいぐるみ製作を始めて2ヶ月で、SNSでバズったそうですね。

本業でもSNS運用をしていたので、ぬいぐるみをやるなら発信をしっかりしようと思っていました。Twitter上で、ハンドメイド作家さんが定期的に使うハッシュタグがあるのですが、そこに便乗してハッシュタグを使わせてもらい、いろいろな人に作品を見てもらいました。

すると、ぬいぐるみのジャンルで影響力のある方が、わたしの作品を紹介してくれて、作品を販売していたminneの注文数が200個くらい入り、休日返上で商品を発送しました。

会社でSNS運用をする場合は、会社のブランドや炎上しないか、投稿時間などいろいろなポイントを気にしながらやる必要がありますが、自分のブランドでのSNS運用は、会社でのSNS運用時に気をつけることを気にすることなく、自由にやってます。

ー13歳の頃から発信をされたりしていますが、気をつけていることや意識していることはありますか。

言葉を見た時に、分かりやすいかどうか、理解できるかどうかを意識しています。わたしのぬいぐるみの「けさぱさふれんず」も、けさぱさを知っている人はそれでイメージできたりしますし、けさぱさは知らなくても、ふれんずという言葉でいっぱいいるんだろうなと想像しやすいように意識しています。あとは、人を傷つけたり非難したりしていないかですね。

フリーランスのクリエイターとして、新たなスタート

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ーぬいぐるみ製作を始めて1年後に、大きな転機があったそうですね。

妊娠・出産を経験し、育休を取得しました。育休明けに職場復帰したのですが、コロナ渦を明け、リモートワークから週3出社に変更となっており、引越したばかりの千葉からオフィスのある渋谷まで通うことになりました。

ただ、通勤時間や子どもの迎えを考えると、このまま働き続けるのは難しいと感じ、子どもが大きくなるまでのしばらくの間は柔軟な働き方にしたほうが良いのではと考え、退職を決めました。

ー退職の決め手になったのは、ぬいぐるみの製作の軌道が乗ったのも大きかったのではないでしょうか。

そうですね、妊娠前にぬいぐるみを作っていたこともあり、1回に入る注文で1ヶ月は生活していけるくらいの収入だったので、本業にすればもっと出来るのではと思いました。

ー育児との両立も気になるのですが、どのようにバランスをとっていますか。

子どもを保育園に通わせているのですが、子どもが保育園に行っている日中に作業をして、お迎え・寝かしつけをしたあと、再び作業する形をとっています。また、発送作業や宛名書きを夫に手伝ってもらったりしながらやっているのも大きいです。

販売方法を月に1回の抽選販売形式にしているので、その日までに自分で決めた個数のぬいぐるみを作り、販売の時に袋詰めと発送作業をしています。以前までは注文が入るたびに製作・発送をしていましたが、ソワソワしながら作業していたので、今のスタイルの方が効率良くできていますね。

ー対面販売も年に数回行っているとお聞きしましたが、オンラインだけで販売を完結できる今の時代に、なぜ対面販売も行っているのでしょうか。

リアルイベントは、新しいお客さんに出会うことが一番メリットとして大きいです。リアルとオンラインは混在していて、オンラインで見たけど実際にぬいぐるみを見たいという方は、対面販売の時に来ていただけますし、リアルで知ったお客さんがSNSでもファンになってくれたりする。

なので、お客さんと接触できる方法を両方つくることで、それぞれのメリットを活かしあっていると思います。

ー対面で接客する際に、意識していることはありますか。

けさぱさふれんずを見に来た人もいれば、わたしと話をしたい方もいるので、実際にお話をして、今までお迎えしてくれた子(ぬいぐるみ)の話を聞くことを大事にしています。

ーいろいろな選択をしてきたと思いますが、選択においてのマイルールがあればお聞きしたいです。

自分が精神的にきついことは選択せず、常にもうひとつ別の選択肢をとれるようにしています。

また、ひとつのことだけではなく、常にふたつやるようにしていて。ひとつがダメになっても、もうひとつでカバーできるように心がけています。お金の軸になるものが複数あるほうが、精神的安定につながる気がするので。

ー好きなことをやっている中での苦手なことは、どのように心がけていますか

好きなことの中で発生した苦手なことは、自分でトライするようにしたり、うまく人を頼ったり外注したりしています。発送作業は自分でやらないといけないので、時間をかけて丁寧にやるように心がけています。

ーこれから目指していること、成し遂げたいことがあれば教えてください。

以前、けさぱさふれんずをカプセルトイとして発売したことがあるのですが、けさぱさふれんずをキャラクターライセンス化して、企業さんと様々な形で展開できるようにしたいです。

個人でやるには、作れる数に限度があるので、より多くの人に手に取ってもらうためには、企業さんとタッグを組んでやるのがいいなと思っています。

ー最後に、この記事を読まれている方やU29世代にむけて、メッセージをお願いします。

「入社したら3年は働く」という風潮があるかもしれませんが、今は無理だな……と思えば転職したり、退職すればいいと思います。ただ、そこで働いて得た経験や学んだことを携えて、次の場所に行ってほしいです。

自分がいいなと思える環境に行くことは簡単ではないので、どんどん転職したり自分で移動していくことによって、自分の好き・心地よい場所を見つけられるのではないでしょうか。

ーあまがみねこさんの今後のご活躍を応援しております!この度はありがとうございました!

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取材:八巻美穂(Twitter / note
執筆:大庭周(Facebook / note / Twitter
デザイン:安田遥(Twitter