ハタチの挫折が気づかせてくれた”自分の感情に従う大切さ”とは Wooow代表・新井翔太

やるしかない挑戦をする中で見えた、自分自身の本当の気持ち

ーその後フリーランスとして活動を始められたわけですが、そのきっかけは何でしょうか?

チケット代の借金返済のために毎月15万払い続けたとしても、残りは利息になる。そこで1度計算したときに「60歳になっても返しきれないんじゃないか?」と思ったんです。

普通のお仕事で月給が20~30万だと、今後も借金を払い続けなければいけなくなる。それでは先が見えませんよね。そのため、何とかしようという気持ちでした。

きっかけというよりも、選択肢がとにかくゴーサインしかなかったんです。そのため、基本的にいいなと思ったら全部チャレンジしていました。やらないといけない状況でしたし、逃げようとして後ろを振り返ると大きな岩が迫ってくるような感じでした。

その後、営業代行の仕事を始めました。チケット1000枚を売ったという実績があったので、直感的に出来そうだと思ったんです。

最初はいろいろな人に紹介してもらって会いました。例えば不動産の引っ越しや賃貸の仲介手数料の半分を頂いたり、不動産の投資物件を年上の人に売ったりなど、いろんなものを売っていました。いざやってみると意外と簡単で、すぐにお金を稼げました。

ただ、がむしゃらに働きました。睡眠時間は3〜4時間だったのですが、怖くて寝れなかったですね。出来ることは全部やって、わからないことは遠慮なく教えてもらいました。

始めてみたら「意外とうまくいくぞ!」という感じで、しんどさはありませんでした。ただ、今振り返るとよくあそこまでやっていたなと思います。「こんだけやって結果出ないほうがおかしい」と思うくらいやっていたので。

22歳で年収1000万を達成し、MAXで2400万ほど稼ぐことができたので、無事借金もすべて返すことができました。

ーただそれだけの金額を稼がれていたのに、辞めるという決断をされたそうですね。

正直自分のやりたいことじゃなかったんです。売ってるものはあくまで人のものを売ってるだけでお金を稼ぐことだけが目的だったので、自信を持って売っているというわけではありませんでした。自分の気持ちを隠していたというか、これが正しいんだって憑依させ続けていたんです。

借金を返し終えたくらいの時期に「これををずっとやるのはしんどい。精神衛生上よくない」と思って当時の仕事を辞めることにしました。途中、商談があっても家から出れないくらい病んでましたから。それを機に今まで身に付けていたブランド品や高級時計なども全部手放しました。ありのままの自分に戻れた気がして、とてもすっきりしたのを覚えています。

当時は日焼けサロンに行ったり、承認欲求を満たすためにいい時計やアクセサリーを付けたり、キャバクラにもよく行ってギラギラした生活をしていました。当時の写真を見つけたんですが、今の僕からすると絶対友達になれないです。笑

ただ経営者をされている友達の父親から「本物の経営者はお前みたいにギラギラしてない」と言われたことがありました。それがなぜか胸にグサッときた経験や、さらに当時付き合っていた彼女の親に「何の仕事してるの?」と聞かれたときに、自信を持って答えられなかったんです。この時に「もう辞めよう」って思いましたね。

ー25歳で正社員デビューされたとのことですが、当時のモチベーションはどのようなものでしたか?

実は正社員になる前に会社を1回作っていました。1年間やってみましたが、売り上げが170万だったんです。そこで実力がないことと、今まではノリと勢いで稼いでいたけど、スキルがあるわけではないことを痛感したんです。

そのため、きちんとビジネスを学んだほうがいいのではないかと思い、知り合いのコネで正社員という形で入社しました。ただ最初は怒られてばかりでしたし、やらなくてはいけないことが多かったですね。睡眠時間も4時間前後で、プライベートの時間は全くありませんでした。

ただ私が入った会社はとある会社の子会社だったのですが、立ち上げメンバーが私を含めて3人だったので、とても愛着がありました。自分たちの会社っていう認識が強く、会社を大きくすることに全てを注いでました。

ー愛着やモチベーションを持って働かれていたのに、なぜ辞めることになったのでしょうか?

ただ途中から子会社ではなく、本部の事業としてやることになり、何のためにやってるかが分からなくなったんです。

この状態で会社にいても中途半端になってしまうし、会社としても迷惑だと思いはじめました。めちゃくちゃ悩みすぎて、毎日がブルーでネガティブな雰囲気が出てたと思います。

ただ正直やりたいことはなかったんです。しかし、独立を考えたときに久しぶりにわくわくしたんです。今の状態から抜け出したい気持ちが強く、とりあえず独立してしまえば、このもやもやは解決するだろうという逃げの独立でした。

ロジカルでは測れない可能性と現在地を知ることで見える未来への道

ー過去に様々な浮き沈みがあった中で、今も大切にしている価値観はありますか?

自分の直感や感情の変化は素直に聞いたほうがいいと思います。

よく思考は現実化する。って言いますが、正直そんなことないと思うんです。ただ思考や言動の裏側に感じていることはしっかり現実化するなと感じています。

例えば「できるできる」と口に出して言っていても、心の奥で「正直これは無理だろうな・・・」と思っていると結果はその通りになりますし、心の底から「できる」と感じている事は誰に何を言われても現実化されているなと、振り返ってみて、改めて感じます。

無意識的に出てくる直感や感情には、ロジカル思考では測れない可能性があると思いますし、ブレずに大切にしたいなと今も思っています。

今の世の中は情報が多いからこそ「自分の心で感じていることがどこに向いているのか」ということに目を向けてあげると、答えが出てることは多いですし、その選択はきっとうまくいきます。

ーでは最後にこの記事を見ている読者に向けてメッセージをお願いします。

自分の直感や感情を信じてあげて欲しいなと思います。

それだけではなく、自分の現在地を知ることは忘れてはいけないですね。例えば道案内。その人の現在地がわからないと絶対に目的地まで案内できませんから。

今の自分の現在地を把握することで進むべき道、やるべきことが見えてくると思います。意思決定は直感や感情に従い、どう進めていくかはロジカルに。

まずは「わくわくした!」や「こういうのやりたいな」などの無意識的な感情に目を向けて下さい。そして一歩を踏み出してみましょう。

試しにやってみて失敗したとしても、どうせ経験という言葉で解釈するのが人間です。

直感を信じてチャレンジする事、現在地を把握しやるべきことをちゃんと進める事を意識してもらえたら、今より楽しい人生が待っていると思います。

ーありがとうございました!新井さんの今後のご活躍を応援しております!

取材:黒澤朝海(Twitter
執筆:窪田瞭(Twitter / Instagram
編集者:松村彪吾(Twitter
デザイン:高橋りえ(Twitter