マイク1本で全米を魅了。日本人コメディアンSaku Yanagawaの想いとは

人生は「逃げと挽回」。日本人ならではの感性を武器に、脱自虐の笑いで立ち向かう

ーコメディアンとしてのやりがいを感じる瞬間はどんなときでしょう?

納得する作品が書けて、満員のお客さんの前で披露したジョークが大爆笑をとったときですね。コメディは1回1回の舞台が勝負なので、面白いです。

最近は社会的に不適切な発言を糾弾する風潮がありますが、ネタにできるギリギリのラインを攻めて笑いを生み出すことに、パフォーマーとしてのやりがいを感じます。

コメディクラブは、多様な価値観を持つ人が同じ会場に集まり、日常では表に出しづらいテーマを笑ってもいい場所です。正反対の意見を持つ人同士が、僕のジョークで一緒に笑ってくれたら、その瞬間に分断はなくなっているのではないかと感じます。

ー今後チャレンジしたいことを教えてください。

外見も中身も日本人の感性を持つ僕から放つジョークで、アメリカの人々に刺激を与えるような笑いを届けたいです。

これまで僕のようなアジア系のコメディアンは、マイノリティの立場からステレオタイプや身体的特徴を自虐して笑いを取ってきました。

でも、多様性が叫ばれる今の時代では、自虐ではなく、自分の出自に誇りをもったジョークに挑戦してもいい<と思っています。

ー海外でマイノリティが戦っていくことに苦労は感じますか?

言葉だけで勝負する世界でネイティブと戦う時点で、最初から不利なことが多いんですよね。でも、圧倒的に不利だとわかりきっているからこそ、自分の中にある「伝えよう」というエネルギーを強く持って、舞台に立っています。

ー最後に、U-29世代へメッセージをお願いします。

人生は「逃げと挽回」だと感じています。僕は肘の怪我で野球から逃げましたが、そこからスタンダップコメディに出会い、大好きなコメディで絶対に1番を取ろうと決めました。

理不尽なことが起きて本当に辛いときは、逃げてもいい。その代わりに、逃げた先で好きなことを見つけて好きなだけやり込み、挽回して1番になればいいんです。

後は『Saku’s Radio from Chicago』というアメリカのニュースやポップカルチャーを笑いを交えながら紹介する番組をやっているので、聞いていただけたらうれしいです。

ーありがとうございました!Sakuさんの今後のご活躍を応援しております!

取材:武海夢(Facebook
執筆:石崎リカ(Twitter
編集:仲奈々(Twitter
デザイン:高橋りえ(Twitter