人生に正解はないが最適解はあるのではないか?ESGアナリスト三上諒子

様々なキャリアの人たちが集まって、これまでのステップや将来への展望などを語り合うユニークキャリアラウンジ。第678回目となる今回は、アナリスト兼ファイナンシャルプランナー三上諒子(みかみりょうこ)さんをゲストにお迎えし、現在のキャリアに至るまでの経緯を伺いました。

コーポレート・ガバナンスのコンサル会社でアナリストとして働きながら、FPサテライトにてライターの仕事もしている三上さん。三上さんがESGとサステナビリティに興味を持ったきっかけと、インタビューテーマ「人生に正解はないが、最適解はあるのではないか」についてお伺いしました。

初めての海外。自分の視野の狭さを知る

ーまずは自己紹介をお願いいたします。

三上諒子と申します。大阪市立大学商学部を卒業後に、ESGやサステナビリティのコンサル会社でアナリストとして企業の分析を行っています。また、FPサテライトにてライターとしても活動しています。

ー三上さんの現在のお仕事はESGやサステナビリティを推進したり、調査したりしているのでしょうか?

そうですね。前提として、ESGは持続可能な世界の実現のために、企業の長期的成長に重要な環境(E)・社会(S)・カバナンス(G)の3つの観点から企業を評価する指標です。一方、サステナビリティは、持続可能な世界の実現のための企業の取り組みや具体的な活動のことです。

私がいるESGや、サステナビリティの業界は情報量が非常に多いので、適切な情報を調査して、現場の方に伝える必要があります。

ーここからは、三上さんの過去を振り返ってお伺いしていきます。最初の転機が16歳の高校生のときとお伺いしました。どんなことがあったのでしょうか?

高校2年生のときに、オーストラリアとマレーシアに語学留学で2週間ほど行きました。高校生のころの私は、義務感を感じながら勉強に取り組んでいましたが、現地のみなさんは自由に自分の好きなことに没頭していました。その姿を見て「あぁ、私ってものすごく視野が狭かったんだな」と思ったんです。

そのときから、自分の知らないことをもっと知りたいと思うようになって、社交的な性格になりましたね。

ー語学留学に行ったことで三上さんの考え方が変わったんですね!

考え方はとても変わりました。社会問題には当時から興味がありましたが、世界の出来事を自分ごととして捉えられるようになったのは、海外に行ったことが大きく関係していると思っています。

だからこそ、世界で叫ばれている持続可能な社会に目を向けて、現在の仕事に取り組んでいるのです。

ーそこから高校を卒業して、大学に進学されたわけですが、何を基準にして大学を選ばれたのですか?

高校では英語学科に入っていたので、英語を専攻することを考えました。しかし、英語だけを学んでも世界は広がらないと思い、昔から興味のあったお金の流れを学ぶために、商学部のある大阪市立大学を選んだのです。

AIESECのボランティアプログラムに参加してベトナムに。帰国後にESGとサステナビリティに出会う

ー大学1年生の夏休みにベトナムのホーチミンに行ったとお伺いしました。どのような考えでベトナムに行かれたのでしょうか?

大学時代に世界最大の学生団体であるAIESECに入っていました。AIESECは、海外ボランティアや 海外ボランティアプログラムなどの主観事業を通して、世界中の若者のリーダーシップを育むことを目指しているグローバルプラットフォームです。

AIESECのボランティアプログラムにベトナムがありました。当時の私は貧しい暮らしをしている人たちに対して、何か貢献したいと思っていました。その手段として英語の教育をベトナムの人たちにしたいと思い、ひとりでベトナムに行ったんです。

ーベトナムでの生活はいかがでしたか?

日本の環境に慣れていたので、ベトナムでの生活は非常に大変でした。蒸し暑い中で、薄い敷布団の上で寝たり、虫が至る所にいたりしました(笑)。生活以外にも、いろいろな国から来るボランティアの人たちとのコミュニケーションに苦労しましたね。

想像以上に身体的にも精神的にも追い詰められました。

ー途中で帰国することは考えなかったのでしょうか?

途中で帰国することを一度は考えました(笑)。しかし、当初の目的がベトナムの方々に英語教育で貢献することだったので「このままではダメだ!」と思い、途中で吹っ切れたんです。そこからは、きちんと教育に専念することができました。

ーベトナムから帰ってきて、AIESECに関わるなかでESGとサステナビリティに出会われたとお伺いしました。どんなきっかけでESGとサステナビリティに出会ったのでしょうか?

AIESECでは、財務管理とアルムナイ(卒業生)の統括をしていました。業務の関係で、アルムナイの方とお会いしてお話することが多く、その中のひとりに会社のCSR室長で国際弁護士の方がいました。その方から、はじめてESGについての説明を受けたんです。

その方いわく、ESGは財務を作り出す元になるため、投資家や外部に開示していくことで、中長期的な目線で企業が持続可能な経営をすることができるとおっしゃっていました。

その話を聞いてからは、大学3年生のゼミのみんなを巻き込んでESG投資について研究しました。2018年に登場した新しい概念だったため、教授ですらESG投資について知りませんでした。

ーゼミのみんなを巻き込むほど、のめり込んだESGとサステナビリティのどこに面白みを感じましたか?

「企業がどのように社会課題に貢献して、かつ企業価値も高めていくのか?」という部分に面白みを感じています。ESGやサステナビリティは、最終的には私が最初に興味のあった社会課題にアプローチしているんです。