「面白いからやり続ける」松池恭佑がCityCampを起業するまで

様々なキャリアの人たちが集まって、これまでのステップや将来への展望などを語り合うユニークキャリアラウンジ。第451回目となる今回のゲストは、CityCampの松池恭佑さんです。

学生時代は部活動に打ち込み、就職後は仕事に没頭していた松池さん。そんな松池さんが「なんもしない、をする」がコンセプトのCityCampを立ち上げるまでの経緯を振り返りました。

CityCampという新しい概念を作りたい

ー現在の取り組みや、お仕事内容を教えていただけますか。

現在はCityCampの代表で「なんでもできる街で、何もしないをしませんか」をコンセプトに都市とキャンプのカルチャーを融合させた空間・音楽・飲み物・ファッションを作るライフスタイルスタジオの運営をしています。

メインは屋上のキャンプ空間で、10月くらいにリリース予定です。今までは自然の中でのキャンプが普通でしたが、都会にキャンプ場をつくるとどうなるのか、を実験的にしています。

ー従来のキャンプとは、また違ったイメージになるんでしょうか

屋上にテントやカンテラをただ置くのでは、おしゃれさが足りないと思っていました。もともとファッションの会社をやっていたからこそだと思います。キャンプからグランピングと変わってきたように、CityCampという新しい概念を作りたいです。

洋服のブランドも順次リリースしていきますが、従来のキャンプブランドとは違うものを目指しています。自分たちが都会でキャンプをするとこうだ!っていう答えを出していきたいです。シアー素材のインナーやスラックスなどの商品で、「シティ8割キャンプ2割」というイメージです。

部活に打ち込んだ学生生活だったが結果は残せず

ーここからは生い立ちから色々とお話しを聞いていきたいのですが、幼少期はどんな子どもでしたか?

小学校時代、習い事は毎日違うものをやっていました。月曜日は水泳で火曜日は公文で、土日は野球という感じでした。

野球は小3から小6までやってました。家族みんな野球やアメフトをやっていましたが、自分はあんまり野球が得意ではありませんでした(笑)。

ー中学校で印象に残っていることはありますか?

中学時代は、テニスにずっと没頭していました。1年生のころはすごく頑張って、大会で上位にも入ったんですが、学年が上がるにつれて、どんどん弱くなっていきました(笑)。

性格はあんまり変わらないですね。いい意味でも悪い意味でもマイペースで、流されないです。

ー高校はどのように選んだんですか?

高校は市内1番くらいの賢い高校に受かりました。テニスが強い高校だったので、そこでやるからにはテニスを頑張ろうと思いました。テニスばっかりの高校時代でしたね。

入部して2,3か月で、先輩から「目つけられてるぞ、ボール拾わないし、適当にやってる」と結構怒られました。すごく良い先輩で、「組織のために貢献できることを、まずはやってみろ」と言われました。それがきっかけで、朝誰よりも早く来て朝練したり、夜も一番最後まで残ってボールに空気入れたりしてました。

ーそれは大きな変化だと思いますが、なんで頑張れたんですか?

負けたくないという気持ちが強かったですね。成功体験が中学時代できなかったので、高校では絶対に成功したいという気持ちがありました。

ー高校テニス部での頑張りは、自分にとっての成功体験になったと思われますか?

正直、僕自身が納得できるまでの成果は出なかったんです。その後、社会人1年目までは、自分が成功体験と思えるほどの結果は出せていないと思っています。

部活で自分たちが一番上になったときに、チームの雰囲気が悪くなったのですが、一番強くないし、キャプテンでもないので、自分からは何も言い出せませんでした。

最終試合の2、3週間前に先輩が練習を見に来てくれて、組織が回っていないことを相談しました。先輩からアドバイスを受け、練習終わりのミーティングで泣きながら「今の組織は違うと思う」とみんなの前で話をしました。言いにくいことだったんですが、部員も「たしかにそうだよね」「一緒にやっていこう」という雰囲気になりました。意外と言えば伝わるんだなっていうのを感じました

ー部活に明け暮れた高校生活から、大学はどこを選びましたか?

大学は神戸大学に行きたかったのですが、行けなくて、兵庫県立大学へ進学しました。

大学ではアメフト部に入部して、4年間アメフトに没頭しました。高校の最後で、2年半付き合っていた彼女に振られて「男らしくなりたい」と思ったのがきっかけです。

ーアメフトは体格がいい人がやるイメージですが、実際やってみてどうでしたか?

高校の時と同じようなことがありました。2年生の時に先輩に激励されて、めちゃくちゃ頑張りました。3年生になってうまくなってきたな、という実感はあったのですが、靭帯を切ってしまってプレーできなくなってしまいました。

ーそれでも最後までは続けたんですね。

そうですね、治療して半年くらいで治ったので。ただアメフトはコンタクトスポーツで、足がぐらぐらしてしまって、活動できる状態ではなくなってしまいました。その時は後輩からも「ちゃんとしろよ」と言われることもあってけっこう辛かったです。最後はもう、踏ん張るって感じでした。

しんどい道ではなく「おもしろそう」を大切にする

ー部活以外の領域では、どんなことをされていたのですか?

一番印象的だったのは、靭帯を切ってから始めたTABIPPOのインターンです。イベントに誘われたのがTABIPPOを知ったきっかけでしたが、価値観の多様性が印象的で、本能的に「おもしろそうだな」と感じて。大学生活はとても忙しかった記憶があります。就活では100社ほど受けましたね(笑)。

ーたくさんの企業を見た中でいい会社は見つかりましたか?

1番を目指したい、高みを目指したいという思いがありました。最終的にベンチャー企業のサイバーエージェント子会社のシーエー・モバイル(現CAM)に入社を決めました。

社内の雰囲気も自分に合っていると感じましたし、楽しそうだと思って。大企業に就職することも考えましたが、「人生は楽しまないと意味がない」と思って、楽しそうな方を選ぶようにしたんです。

今までの野球やテニス、アメフトをやっていた時の自分は、しんどい道を通ろうとする癖があって。それまでは、しんどいのを超えて強くなるのがカッコいいと思っていました。でも「おもしろいもの」「没頭できるもの」をオタク的に突き詰めていって、「おもしろいからやり続けて、結果として強くなる」ほうが、幸せだと思うようになりました。

ー大きな価値観の変化だと思いますが、なぜ考え方が変わったのですか?

TABIPPOのインターンを通じて出会った方々の影響が大きいですね。旅人は「幸せであれば何でもいいよね」という感覚の人が多いので、その価値観が素敵だなと思いました。

ー入社後はどのような生活を送られたのですか?就職をきっかけに上京されてますよね。

入社してからまた頑張ろうと思って、自主的に朝7時に出社して夜12時に帰る生活をしていました。本も年間で100冊ほど読んでいましたね。

「仕事のことしか考えない姿勢」でやっていたら、入社半年で新人賞を受賞することができました。それが僕の成功体験になったんです。

ーそれが仕事に没頭するという経験に繋がっていったのですね。

自分が一生愛せるブランドを作りたい

ー異動後も以前の働き方を踏襲してたのでしょうか?

その頃は情報収集にハマっていて、本を読んだりオンラインサロンに入会したりしました。コミュニティが好きで、社内に収まっているのが嫌だったので。社外の他の人の意見も聞きたいと思ったので、オンラインサロンに入会しました。

コルクというオンラインサロンに入会したのがきっかけで、1社目のpickiを一緒に起業することになる方と出会いました。初めて会ったときに「一緒に起業しないか」と言われ、すぐに「やります!」といったのが始まりでした。タイミングとしては本社に異動したのと同じ位の時期です。

それをきっかけに、今まで朝から晩まで働いていたのを、仕事を夜7時で帰るようになりました。退社後に、起業の事業を詰めていくというような生活に変わりました。

ー起業してみて今までの働き方と変わる部分もあったと思いますが、起業してみてどんなことが変わりましたか?

生活スタイルとしては変わったところはなかったですね。でもお金面はすごく考えるようになりました。キャッシュアウトしたらすべてが潰れてしまうので。

仕事の仕方という観点では、最初は何でもやるという感じでした。サービスが軌道に乗るまで1年位かかったのですが、それまでがすごく大変でした。アパレルブランドを5ブランド立ち上げたのですが、なかなかうまくいかなくて。どういうロジックを組めばうまくいくかというのを分析して、1年後にやっと1つのブランドが成功したという感じです.

ーそこからCityCampを立ち上げることになった経緯はなんですか?

今までは他の人のブランドを作っていたのですが、自分が一生愛せるようなブランドを作りたいなと思いました。目標としては1000億の会社を30歳までに作りたいというのがあるので、自分一人でやりたいと思って起業しました。

ーそこから0からやっていくのってすごく大変だと思いますが、どういうところから始めていかれたのですか?

まずは組織作りから始めました。Twitterとかで気になる人にDMして、会ってみませんか?というところからですね。若者だけでやりたいという思いがあったので、20代で活躍している人を中心に声をかけていきました。

ー松池さんの今のコンセプトは「なんもしない、をする」ですが、これはどのように決めていったのですか?

僕自身、文章を書くのがとても苦手なので「なんもしない、をする」はコピーライターの方にどういう気持でやりたいのか?というのを整理してもらって書いてもらいました。

SNSの流行はつい最近のことで、今までの人類史上で、ここまでデジタル過多になるのは初めてだと思います。こういう時代だからこそ、人間本来の自然への回帰が必要なのではないか。何もしない時間をあえて取る必要があると感じるのです。デジタルデトックスできるようなエンタメが増えたら面白いと思いました。

ー今まさに色々な取り組みをされてていると思いますが、今後チャレンジしたいことを教えてください。

OFF COLAというクラフトコーラを皮切りに、アパレルやキャンプ場など年内にリリースしていきます。奇抜なプロモーションを仕掛けていくので、ただのプロダクトとしてだけではなく、エンタメとしてみなさんに楽しんでほしいです。

組織の規模を大きくしていきたいというのもありますが、メンバーが心地よく生きていくことにもフォーカスしていきたいです。本当にいい仲間なので、みんなが幸せに生きてほしいという思いが本当に強いです。解決策を模索中なので、そこを探していきたいと思っています。

ー最後にU-29世代へのメッセージをお願いします。

やりたいことがあるのであれば、それを絶対にやっていくべきです。見つからない時は、とにかく行動すること。やってみたいことを全部やってみて、それから決めるのもありだと思います。

ーありがとうございました!松池さんの今後のご活躍を応援しております!

取材 高尾有沙(Facebook/Twitter/note
執筆 川鍋由紀
編集 杉山大樹(Facebook / note
デザイン 安田遥(Twitter