コーチングが作る「愛ある社会」とは。ZaPASS認定プロフェッショナルコーチ・菊池宗也

様々なキャリアの人たちが集まって、これまでのステップや将来への展望などを語り合うユニークキャリアラウンジ。第455回目となる今回は、株式会社ZaPASSで認定プロフェッショナルコーチを務める菊池宗也さんをゲストにお迎えし、現在のキャリアに至るまでの経緯を伺いました。

学生時代から、自分の存在価値について一貫した考えを持っている菊池さん。コーチングが自身に与えた気づきや、コーチングを用いてどのような社会づくりを目指しているのかなどを語っていただきました。

勉強の中に見つけた自分の「存在価値」と、3.11での常識の崩壊

ーまずは簡単に自己紹介をお願いいたします。

新しいモノや体験の応援購入サービスを展開している企業・株式会社マクアケにて採用人事を行っています、菊池宗也(きくちそうや)と申します。

またコーチング事業を展開する企業・株式会社ZaPASSの認定プロフェッショナルコーチとして、主に20~30代のビジネスパーソンの皆様にコーチングも行っています。

よりよいキャリアを描くにはどうすればいいか、自分らしく生きるにはどうすればいいか。「人生の目標決め」をテーマに、コーチングをご一緒させていただいています。

ーそんな菊池さんはどんな学生時代を過ごされましたか?

僕は4歳の頃から母子家庭で、母親が仕事で家を空けることが多くて。「自分を見てほしい、認めてほしい」という気持ちが強い学生時代でした。自分の存在価値ってなんだろう?と考える中で、高校に入ってすぐの模試で校内2位の結果が出たんです。

初めて、自分の中の才能らしいものに巡り合えた感覚でした。「この才能を伸ばしたら、人の役に立てるんじゃないか」と高揚を感じたのを覚えています。勉強なら、人から注目してもらえる、褒めてもらえる。何より「自分の価値を感じてもらえる」と思いました。

勉強を第一に優先する生活でしたが、16歳の頃、東日本大震災で地元の岩手県大船渡市が津波の被害を受けました。幸い家族や家は無事でしたが、街が一変したり友人が亡くなったりして。

被災をきっかけに家庭環境が変化したのもあり「自分がちゃんとしなきゃいけないな」と鬼気迫る気持ちになりました。楽しい・楽しくないで生きるのではなく、家を支えなくてはいけないな、と。

そして、同時に「昨日の当たり前が今日の当たり前ではない」ということも強烈に感じました。後悔ないように自分自身の心が動くことに従って生きたいという価値観は、被災のタイミングで固まったと感じています。

人生の可能性の広がりを感じた大学生活

ー大学時代での経験を教えてください。

高校生活を勉強に打ちこんだ結果、高校3年生の時点で失速してしまって。行きたかった大学に行けずに悔しさと挫折を感じながらも、上京をしてさまざまな価値観と出会い視野が広がりました。

見るもの全てが新鮮で、3年間勉強ばかりだったからこそのワクワクを感じました。「自分の人生の選択肢はまだまだあるんじゃないか」と思えるようになったんです。勉強で努力をした結果、東京に来て、新しい選択ができるフィールドに立てたんだという実感が沸きました。

大学では海外インターンや学生運動など幅広く打ち込みましたが、最も時間を費やしたのは英語でディスカッションを行うESSサークルです。受験期間に力を入れていた英語を活かすことで「自分の価値や才能が見えてくるのでは」と考えました。

高校時代から養われた「価値のある人間になりたい」という気持ちは、大学でも一貫していたと思います。

仕事での自己不信。そして、コーチングとの出会い

ー菊池さんがコーチングに出会ったきっかけを教えてください。

大学でさまざまな挑戦をしたので、自信を持った状態でリクルートキャリアに入社をしました。人材紹介や中途採用の支援などを行っていたのですが、思うように仕事の結果が出ず、また挫折を味わうことになります。

今になって振りかえると、根拠のない自信にすがって周りからのアドバイスを受けきれずにいたと思います。「自分の価値を感じられない」という現実を、目に見えて突き付けられる日々でした。

その結果、自己不信に陥り、自信を喪失していました。自分の価値も仕事の面白さも感じられない日々が続く中で出会ったのが、コーチングです。25歳の頃でした。

当時、やっと仕事の成果が上向いてきたタイミングですが、自分の価値をより発揮できる場所があるのではとも感じていて。もっと「人の役に立っている」と直接的に感じる仕事をしてみたい、と思っていました。

元々、大学でコーチングを受けた経験はあって。当時は、就活という決まったゴールに向かうのではなく「自分は何をやりたいのか」と人生単位で考えることで、制限なく自分の理想に向き合えた時間が忘れられなくて。

たまたまとあるコミュニティでコーチングをやっている友人に出会い、ZaPASSに入り、副業としてコーチングを始めたんです。「人の役に立ちたい」と思い続けていた僕の選んだ手段が、コーチングでした。

「ありのままに生きてもいいんだ」コーチングが気付かせてくれた自分の内面

ーコーチングを学び始めて、すぐにいい変化を感じましたか?

早くから感じました。まず実感した変化は、それまでの自分は「答え」を外側に求めていたと気づけた点です。

コーチングでは、「願いや答えは本人の中にある」という大切な考え方があります。自分自身をセルフコーチングしていく中で、自分の幸せの定義は「どれだけ人に影響を与えられるか」や「感謝の言葉をもらえるか」という要素で構成されていたと気づきました。

高校での勉強も大学での活動も、裏返すと「結果」がなくなった時に「自分が人から認められなくなるんじゃないか」という恐れが背景にあったんです。結果前提で培う関係性になっているんじゃないか、と。それって、とても恐ろしいなと感じて。

幸せの基準が他人からの評価に依存している状態は「自分の外側に答えを求めている考え方」です。結局、自分は何をしたいのか?と深掘りした結果、「ありのままの自分、そして周りの人をそのまま受け入れられるようになりたい」という願いが出てきたのです。

飾らずに、何もない「菊池宗也」を、自分自身が「これでいいんだ」と受け止めたい。そのままでいいよと言ってくれる人たちと一緒にいたい。

それが自分の核の部分にある気持ちだな、と気づけました。コーチングに出会って、初めて自分の本心に出会えたという感覚です。

ー菊池さんが行うコーチングの目的は何ですか?

コーチングは、カウンセリングやコンサルティングなどと違い、こちらからアドバイスをする形では関わりません。相手の心の声に耳を傾け、本心を引きだしていく考え方をします。

実際に、今までのクライアントさんがコーチングを受ける際には「自分の中に答えがあるような気がするが、ハッキリと分からない」「この感情の揺れの正体を知りたい」などの依頼が多いです。

つまり、もっと自分の内側に戻っていきたいという願いから、コーチングを依頼してくださっています。ヒアリングをする中で、その人の中に眠っている答えを引き出すのがコーチングの目的です。

ーコーチングを経て自分の願いに気づいた結果、仕事や人生のペースを落とすという結果になることもあると思います。このことについてはどう思いますか?

コーチングは、ありのままの自分を認めるものです。もしコーチングの結果でスローダウンをするなら、それがその人の願いだと思います。

現代のような資本主義社会だと、結果が全てだと思い、自分を殺してでも頑張っている人も多くいると思います。しかしコーチングをすると、本当はそこまで頑張らなくても幸せになれる方法がある、と気づけるケースも少なくありません。

自分の心の声に気付かず、世間一般で「正解」とされている出世や成功という価値観にただ従っているというケースもあるかと思います。自分の内面に向き合ってみたら、今とは違う場所に幸せがあるのではないか。

スローダウンが自分の本心だと気づけたら、僕はそれでいいと思うんです。その上で自分のやりたいことをやりたいと望むなら、行動促進型のコーチングをするという関わり方もあります。

コーチングによって、普段ふたをしていた「自分の本心に気づくことができる」点がメリットだと感じています。

「自分に向きあう」って、繊細なことで。とても大事なアクションなんです。外からの情報を受けとっている時は、たくさん選択肢があります。その分、視点が外側に行きがちです。一旦自分に視点を向けることが大切です。

そもそも、今受信している情報や求めている成果は、本当に必要なことなのか。コーチングの結果として必要だと感じられたら、より納得感を持って人生を歩めると思います。

まずは「自分自身と向き合うこと」が大事。コーチングはそのための1つの手段です。正解がない時代なので。

自分らしく生きたい人たちに「愛」が溢れる社会を目指して

ー今後菊池さんがどのような活動をしていくのか、菊池さん自身がどうありたいのかを教えてください。

自分のように「ありのままで生きたい」「挑戦したい」と思っている人たちに、愛が溢れるような社会を作りたいと思っています。

自分も、自分らしく生きることを挑戦し続けたいです。コーチングは僕の表現方法の1つなので、コーチングを活用して「願いを持っている人の役に立ちたい」と思っています。

また、Makuakeの世界観である“生まれるべきものが生まれて 広がるべきものが広がって 残るべきものが残る”というビジョンを、実現したいです。

Makuakeが大きくなることで、様々な個人や企業が持っている「力・技術」や「その人・会社らしさ」が世の中に広まり、挑戦そのもののムーブメントが広がると思っていて。そのため、Makuakeの事業や組織を大きくすることが、僕個人の自己実現と重なっています。

Makuakeを世の中に広めていくことと、コーチング活動の2つを取りくみながら、ありのままに生きたい人が誇らしく人生を歩めるための支援をしたいと思っています。

ー最後に、U-29世代へメッセージをお願いします!

「答えは自分の中にしかない」ということを、強調して伝えたいです。

今やっていることに少しでも違和感があったり「これはやりたいことじゃないな」って思ったりした時に、行動を起こすことはもちろん大切です。

しかし、一歩立ち止まることも同じくらい大切。「今、自分は何を考えているのか」「何にワクワクするのか」と、自分の内側に戻る習慣を身につけてください。

瞑想やジャーナリング、コーチングを受けるなど方法はさまざまです。一人ひとりが幸せな人生を送るために、心の声と向きあうための時間を設けてほしいと思います。

ーありがとうございました!菊池さんの今後のご活躍を応援しております!

今回のゲスト・菊池さんが採用人事を務める「株式会社マクアケ」の詳細はこちら。
認定プロフェッショナルコーチとしてコーチングを務める「株式会社ZapASS」の詳細はこちら。

取材:増田稜(Twitter
執筆:METLOZAPP(Twitter/BLOG
デザイン:高橋りえ(Twitter
撮影者:伊藤圭