好奇心を原動力に仕掛けてきた福田慎也が語る「好き」の見つけ方

様々なキャリアの人たちが集まって、これまでのステップや将来への展望などを語り合うユニークキャリアラウンジ。第485回はCreativePocket株式会社代表、福田慎也さんです。柔道一家に生まれながらも、クリエイティブの道に進んだ福田さんのこれまでと、そこに共通するキーワード「好奇心」についてお話しいただきました。

ベビパシャの販売化に向けて奮闘中の日々

ーまずは簡単な自己紹介をお願いいたします。

CreativePocket株式会社の代表を務めています、福田慎也です。東京工芸大学を卒業後は新卒で博報堂アイ・スタジオに入社。その後フリーランスになり、サイバーエージェントでの広告運用案件でクリエイティブの高速PDCAサイクルを回すなどクリエイティブディレクター業務を経験。そして2020年5月にCreativePocketを起業しました。現在は会社経営に加えて次世代への教育をテーマに活動を行うNPO法人維新隊ユネスコクラブの広報兼理事も務めています。

ーCreativePocket株式会社が行っている事業について教えていただけますか。

CreativePocket株式会社では現在、子育て世代を応援する自社メディア「memorico」を運営しています。また、赤ちゃんの成長を記録するスマートフォン用撮影ガジェット「ベビパシャ」を独自に開発し、ベイビーテックアワードにエントリーした結果、「記念と記録」部門で優秀賞をいただきました。今はさらなる開発と販売に向けて動き出しているところです。

ーベビパシャについて、もう少し教えていただけますか。

ベビパシャはずりばい期やハイハイ期の赤ちゃんの動き合わせて自動で移動するカメラガジェットです。赤ちゃんの写真や動画を撮って成長を記録する親御さんが増えている中、ハイハイをしている赤ちゃんの顔を記録に残せたらいいのではないかと思い、開発しました。自動で赤ちゃんと並走するので、その時短い期間にしか撮れない写真や動画の撮影を行うことができます。

 

柔道一家で育ったものの、デザインの道へ

ー現在に至るまでの過去のお話を少し聞かせてください。大学では芸術学部だったとのことですが、もともとは芸術に興味をお持ちだったのですか。

もともと図工の授業は大好きでした。が、実家が道場を経営していたため、小さい頃からずっと柔道をやっていました。体を動かすのも嫌いではなかったので高校までは柔道を続けていたのですが、上には上がいることを知り、限界を感じで高校1年生で柔道は辞めました。

ただ、部活推薦で高校に進学していたため、何らかの部活に所属する必要があったため、図工が好きだったことから美術部に入部したんです。

ーそれをきっかけにデザインの方へ進みたいと思うようになられたんですね。

高校時代は美術部で油絵を描いていました。そして群馬県にある高校の美術部が集まるコンテストで優秀賞をもらったことをきっかけに大学でも絵の勉強をしたいと思い、東京工芸大学に芸術学部 デザイン学科に進学しました。

ー大学時代に今行われている事業のアイディアなどを見つけられたのですか。

東京工芸大学は「写大」と呼ばれることもあり、周りには写真好きな友達が多くいました。自分も記録に残すことにフォーカスした製品を作りたいなという思いは大学時代を通して得たのではないかと思います。

ーその中で、まずは新卒で会社に就職することを決めた経緯を教えてください。

大学時代は短期間のものから長期間のものも含めて、8社程のインターンに参加しました。その中に新卒で入社した博報堂アイ・スタジオもあり、インターンをきっかけに大学2年の頃から2年間アルバイトをさせていただいていました。そこには優秀な人が集まっており、一流の制作物を目の前で見れること、クリエイティブを作る最前線で仕事ができることから、そのまま新卒で入社を決めました。

 

独立後、ビジネスアイディアをビジコンで磨き続けた

ー恵まれた環境であったかとは思いますが、独立を決めた理由は何だったのですか。

大学時代にアルバイトから働き始め、気付いたら5年間同じ環境で過ごしていたことから、新しい環境で挑戦してみたいと思ったのが退職を決意した理由です。自分の力を試したいと思ったことから、この5年間での学びや得たスキルをリストアップした結果、ウェブディレクターとして独立することに決めました。これまでの実績をまとめてポートフォリオを作成し、伝え方を工夫することで、フリーランスとしてお仕事をいただけるようになりました。

ーそこから起業に至るお話もお聞かせください。

たまたま電車の広告で「400文字から世界を変える」というスタートアップコンテストTOKYO STARTUP GATEWAYのかっこいいフレーズに出会いました。その言葉に感化されて実際にビジネスアイディアを400文字に書き起こし、エントリーしてみたところ、一次審査を通過することができました。当時は赤ちゃんではなく料理を写真に残すことを目的にしたビジネスアイディだったのですが、一次審査を通過したことで起業してみたいと思ったんです。

ー起業が新たな目標になったんですね。

その後、D2Cアクセラレータープログラムというビジネスアイディアを発信していくビジネスコンテストにもエントリーし、私のビジネスアイディアに対して40人程の方からフィードバックをいただいたりと様々な環境に飛び込んで行きました。その際にターゲットや対象物をもっと狭めたほうがいいというアドバイスをいただき、アイディアをブラッシュアップして、今のベビパシャが生まれました。

 

好きの抽象度を上げて、新たな好きを見つける

ー現在はご自身の会社の経営と、NPOでの活動を行われているとのことですが、共通して大事にされていることなどはありますか。

心がけていることは好奇心を持って楽しく活動することです。これまで多くのことを小さな好奇心がきっかけで始めることになりましたが、そこからどんどん興味や関心が増えてやりたいことが増えてきました。やることが多くて大変なこともありますが、好奇心があるからこそ続けることができています。

ー福田さんのように好奇心を原動力にするにはどうしたらいいのでしょうか。

好きなものや好きなことをもっと深ぼってみるのがいいのかもしれません。例えば、イベントが好きな人でも、その理由が「人が集まるところが好きだから」という人もいれば「新しいものが好きだから」という人もいます。一言でイベントが好きと言ってもその理由は様々なので、それを明確にすることができれば、そこから新たな「好き」に気づくことができるはずです。

「これ好きかも!」と思った瞬間や、好きなことに没頭している時に、「なんで好きなのか?」をぜひ自分に問いかけてみてください。その上で、好きなものを横展開してみるとさらに好きなものが増えていきます。例えば「新しいものが好き」と気づいたのなら様々な業界の新商品に触れてみてください。そこからまた新しい好きが見つかるかもしれません。

ー最後に福田さんからU-29世代へメッセージをお願いします。

会社員時代は仕事を選ぶことが難しく、与えられた仕事の中に楽しみを探してきていましたが、今は好きなことを仕事にさせていただいています。だからこそ、全力で楽しく取り組むこと、そして一緒に頑張ってくれている仲間を大切にしていきたいと思っています。

これからCreativepocketではメディア運営とガジェット開発の両軸でどんどん事業を拡大していきます。クリエイティブの力を活かした事業を行っていきたいと思っているので、もしCreativepocketのビジョンや事業内容に共感していただける方がいればお気軽にご連絡いただければと思います。新たな仲間にとっての1つの通過点にCreativepocketがなれるのを楽しみにしています!

長期的かつ個人的な目標としては、周囲の人が困っている時に助けられる人になりたいと思っています。あらゆる場面で助けられるようにスキルの幅を広げていきたいです。

インタビュー:松村ひかり( Facebook )
執筆者:松本佳恋(ブログ/Twitter
デザイン:高橋りえ(Twitter