フリーランスコーチ・上野稜太が語るコーチングのお仕事の苦労とこれから

様々なキャリアの人たちが集まって、これまでのステップや将来への展望などを語り合うユニークキャリアラウンジ。第281回目のゲストは「旅するフリーランスコーチ」として活動されている上野稜太さんです。大学在籍時にオンラインでテニスの指導を始めたことをきっかけに、アスリートへのメンタルコーチとしてキャリアをスタートさせた上野さん。新卒フリーランスになるまでの経緯や新卒フリーランスとして働く中で大変だったこと、フリーランスとして働く上で意識されていることをお聞きしました。

日本代表候補アスリート、20代フリーランスに向けてコーチングを使ってサポート

ーまずは簡単な自己紹介をお願いいたします。

フリーランスでコーチングとメンタルトレーニングを行っています、上野稜太です。コーチングは主に事業主や経営者の方を対象に、メンタルトレーニングはスポーツ愛好家やアスリートを中心に行っています。

ー肩書きはフリーランスコーチとのことですが、具体的にどのようなことをされているのですか。

アスリートの方向けの場合、試合に勝つというゴールのもと、試合でパフォーマンスを上げるためのメンタルサポートと将来的なアスリートとしてキャリアなど人生全体に関してのコーチングを行っています。対象年齢問わず、これまで小学生〜62歳の方までみてきました。また、競技レベルも愛好家レベルから日本代表候補のトップレベルで活動するアスリートまでサポートしています。

大学4年の時からメンタルトレーニングの事業を始め、卒業後そのままフリーランスとして働いているのでコーチ歴は2年程とまだまだ歴は短いですが、これまで300人近くの方にコーチングセッションをさせていただきました。2021年の9月からはスポーツ界ではないフィールドで活動をされてる経営者、個人事業主の方にもビジネスコーチングを提供するようになり、活動を広げていきました。

現在は働く場所や時間を選びながら、様々な業界で活躍される夢や目標に向かって挑戦を続けられてるクライアントさんにコーチング、タロットカード、メンタルトレーニングを一人一人の要望に合わせて提案しています。

―メンタルコーチとして、コロナの影響などはありましたか。

コロナの影響は大きかったですね。コロナ以前はスポーツ選手やアスリートを対象としたメンタルトレーニングを中心に行っていたのですが、インターハイなどの大会が中止になった影響からメンタルトレーニングの依頼も激減し、4か月程仕事がなかった時期がありました。その時は知り合いの方の会社で事務のお手伝いなどをしてなんとか凌ぎ、コロナが落ち着きだした8月頃から活動を再開しました。

スポーツ好き少年がフリーランスになるまで

―スポーツ選手のメンタルトレーニングを行っているとのことですが、上野さんご自身も昔からスポーツをされていたのでしょうか。

そうです、小中高とずっと運動していました。小学校の時はドッジボールのクラブチームに6年間所属し、北信越大会などにも出場していました。中学ではソフトテニス、高校では硬式テニスをやっていました。幼稚園の頃は他人と同じことができなかったりとどちらかというと社会不適合者のような感じだったのですが、スポーツを通して他人とコミュニケーションを取れるようになったり、少しずつ自己表現ができるようになりましたね。

―中高と進む中で将来の進路についてはどのように考えられていましたか。

商業学校に通っていたので周りは7割近くが就職するという環境にいたのですが、やりたい仕事が思いつかず、富山県から出たいという気持ちだけで横浜の大学へ進学を決めました。

―思い描いていた大学生活となりましたか。

高校が校則の厳しい学校だったこともあり、大学で急に自由度が上がったことで何をしたらいいのか分からなく、なんとなく大学生活を過ごしていたなと今振り返って思います。生活費等を稼ぐ必要があったので授業以外の時間は全てアルバイトにあて、年間2000時間働いていました。飲食、塾講、派遣、イベント設営、アパレル、テニス、コーチなどとにかく様々なバイトを経験しました。

しかし、年間2,000時間働く生活をこのまま続けるのは精神的にも体力的にもきついと思い、バイト以外での収入源を模索する中で思いついたのがブログを通して自分でサービスを提供することでした。初めは自身のテニス経験を活かしてオンラインでテニスを指導するサービスをスタートしたのですが、メンタル系の相談が多かったことから徐々にテニスの指導ではなく、メンタルコーチに内容をシフトしていくように。同時にテニスに特化することなく、スポーツに関わる方々まで対象も広げました。

―そのまま、その事業で独立されることになったのですね。

そうです。高校の時と同様、働きたいと思う会社がなかったのでフリーランスで頑張ってみようと思いました。今考えれば、ビジネスというものを知らなかったらこそできた選択ですね(笑)でも当時は0から1を生み出すことができていたのでもう少し頑張ればなんとかなるだろうと思ってたんです。

コロナでライスワークとライフワークのバランスを考えた

ー実際にフリーで働かれてみていかがでしたか。

収入源が多い方がいいかと思い、文章を書いてみたり、動画編集をしたりなどいろいろやってみましたが他の仕事ではあまり収入が伸びなかったことと、「自分の経験と立場だからこそ出来ることを仕事にしよう!そこに他の人から価値を感じてもらえるのではないか」と思ったことからメンタルコーチとして活動をして行くことに決めました。独立してからは、自分が動かないと何も始まらないので意識的に自分のために動くようになったと思います。

ーフリーランスの場合、食べていくための仕事(ライスワーク)と好きな仕事(ライフワーク)の2軸を持たれている方も多いと思いますが、そのあたりはいかがですか。

コロナで仕事がなくなった時に、それをまさに実感しましたね。アスリートを対象としたメンタルトレーニングがライスワークだったので、ビジネスとして今後どう進めていくか考える良い機会となりました。アスリート向けメンタルトレーニング事業と事業主向けのコーチング事業の2軸に方向転換したのもライスワークとライフワークについて考えた結果です。

対象は違いますが、どちらも相手の価値観に寄り添って相手が進みたい方向性を一緒に確認することは共通しています。日本代表候補アスリートをサポートしてきた経験から、自分の経験していない職業の方対象のコーチングもできると分かっていたのは大きかったと思います。

ーフリーランスとして働く中で意識されていることはありますか。

最初は能力的にも経験的にも誇れるものがなかったので、すぐに行動出来ることとして人と会って学ぶ、情報蒐集には力を入れてました。。仕事に繋がるかどうかに関係なく、自分のことを知ってもらうきっかけは多ければ多い方がいいと思いますし、人に出会う中で知った情報や得た価値観がいつかきっと役に立つと思うので…特にコーチングは人によって求めているタイミングが異なります。自分の身近な人がコーチングを必要としてる、受講することでことで夢、目標の実現に近づける時に自分が力になれたらいいなと思い、人と会うようにしてます。

その他にもコーチングへの導線を増やすために、そして少しでもコーチングを身近に感じていただけるように、セミナーを開催したり、タロットカードを用いたコーチング事業を始めたりしています。

 

クライアントと一緒に自分も前に進み続ける

ーいろいろと工夫しながら活動されているんですね!今後新たに挑戦したいことなどはありますか。

やりたいことは山のようにあります!20代で独立を考える方も増えてきていると思うので、そんな同世代の刺激になることができたらと思っています。なので同世代のコーチングをもっとやっていきたいですね。もちろん、引き続きスポーツ界とも関わりは持ち続けていきたいです。

自己分析という言葉も最近よく耳にするようになりましたが、自己分析ではどうしても自分の主観が入ってしまい意外に冷静な分析ができていなかったりします。過去の自分と現在の自分を比較することはできますが、やっぱりコーチングを受けていただき様々な視点を絡めながら分析していくのが大事だと思うのでそのお手伝いを引き続きできたらと思っています。

いずれにせよ、コーチングやメンタルトレーニングはクライアントとの信頼関係で成り立つものなので、クライアントと一緒に自分も前に進むスタンスを大事にすることを忘れないでいたいです。

ー最後にフリーランスコーチとして何かU-29世代にメッセージがあればお願いします!

人生一度きりで時間も有限なのでやりたいことを優先してやっていかないときっと後悔が生まれると思います。でも自分の進みたい方向性が分かっていないとやりたいことかどうかも判断ができなかったりします。未来のビジョンを明確にするためにもぜひ自分と向き合う時間を作っていただき、必要であればコーチングセッションなども活用していただければと思います!

また、コーチングを今後普及していくために、タロットカードを使ったコーチングセッション『タロットコーチング』のサービスを始めました。自分の思考と心の整理、目指す未来に対して足りないものを補っていくためのアクションを知ることが出来るので自分のビジョンを明確にしたい人、今までに経験してない挑戦を成し得たい人の力になれたらと思っていますのでよろしくお願いします。

インタビュー:えるも(Twitter/ブログ
執筆者:松本佳恋(ブログ/Twitter
デザイン:五十嵐有沙(Twitter