両親の病気がきっかけで家事の魅力を再確認。家事に恋する高校1年生・大山桃代

様々なキャリアの人たちが集まって、これまでのステップや将来への展望などを語り合うユニークキャリアラウンジ。第184回は家事に恋する高校1年生としてInstagramやnoteで発信をされている大山桃代さんです。小さい頃からお母さんのお手伝いを自ら進んでやっていたという大山さん。ご両親の病気がきっかけで家事の大切さに向き合うこととなり、現在は家事の魅力を広めるために情報発信を発信されています。何がきっかけで情報発信をされるようになったのか、これまでを振り返ってお話いただきました。

実はお姉さんの大山友理さんはWomen’s Innovationを高校3年で立ち上げ(U-29でもインタビューさせていただきました!)。姉妹揃って学業と活動を両立されているお話もお伺いしました。

ストレスフリーに楽しく家事ができるノウハウを発信中

―まずは簡単な自己紹介をお願いします

現在高校1年生の大山桃代です。家事に恋する高校1年生という名前で今年の4月から、Instagramnoteで家事の魅力を伝える活動をしています。具体的にはInstagramでは趣味であるお菓子作りで作ったお菓子の紹介や、低糖質レシピの紹介、noteでは家事の魅力や糖尿病についてなどの情報発信をしています。

―Instagramやnoteで家事について発信をしようと思われたきっかけは何だったのでしょうか。

もともとおおままごとが好きで、その延長線でよく母の家事を手伝っていました。父は家事をするタイプではなかったので母の力になりたいという一心で家事を手伝っていたのですが、家事が決して難しい事ではないものの、一般的に学ぶ機会が少ないなと思ったんです。

ちょうどコロナにより自宅で過ごすことが増え、時間に余裕がでたことが大きなきっかけになっています。家での時間が増えたことにより、これまで手の回っていなかった家のタイルの掃除をしたのですが、磨いたタイルが輝いているのをみて掃除っていいなと改めて思ったんです。

また、テレビ番組で外出自粛によりお母さんの家事の負担が増えたことが離婚につながっているといった内容が取り上げられていたこと、ちょうどドラマ「家政婦のなぎささん」でも家事にフォーカスがあたっていたこともあり、家事の大切さを再確認しました。少しでも家事の魅力を同世代に広め、みんながストレスフリーに楽しく家事ができるようになったらと思い発信を続けています。

 

両親の病気が家事と向き合うきっかけに

ー幼少期からおままごとが好きだったということですが、どういった経緯で家事をするようになったのですか。

幼稚園の頃から母の後ろに背後霊のような感じでついてまわり、母が家事をする様子を見て育ちました。毎朝エプロンをつけて家事をしている母の姿をみて「私もやりたい!」と思い少しずつ手伝わせてもらっていました。幼稚園の時に洗濯物を畳むことからスタートし、お米とぎや食器洗いを経験。その後小学校に入ってからは子供用の包丁を買ってもらい料理の手伝いをしたり、お金の計算ができるようになるとおつかいに行ったりするようになり少しずつできることを増やしていっていました。家事は好きでずっと続いていましたが、一方で習い事はあまり長くは続かなかったですね。

ー家事が好きでやっていたとのことですが、それはしばらく続いたのですか。

小学校3年になった頃、父が病気になり、母が毎日のように病院に通うようになったことでますます家事に時間を費やすようになりました。病院との行き来の生活で大変そうだった母のために何ができるかと考えたら家事しかなかったんですよね。それまではただ楽しくてお手伝いしていましたが、この頃からは母の負担を減らすためにも手伝うようになりました。

エプロンをつけてご飯の準備をし、ごはんが終われば片づけをしてゴミ出しをし、一通り掃除が終わればエプロンを外してホッと一息をつくということが当時の私にとってはとてもかっこよくうつっていました。それを実際にできるようになり、大人になった気分を味わえたので苦痛に思うことはなかったです 

―中学に入ると勉強や部活動などで忙しくなったかと思いますがそれでも家事は続けられていたのですか。

中学2年(14歳)の時に、病院の行き来や祖父母の世話が重なり身体がついていかなくなった母も病気になってしまいました。母の負担を少しでも減らすため、姉・兄とも協力して家事を分担するようになりました。正直、学校に通いながら、部活動をしながら、毎日帰宅後家事をするのは大変でした。この頃から、母も含め、働きながらあるいは子育てをしながら家事をしている人たちに尊敬の気持ちを持つようになりました。

また、母がかかった病気が1型糖尿病という病気だったため糖質に配慮した食事にシフトするようになりました。それまでは一食にどれくらいの糖質が入っているか気にしたことがなかったのですが、ネットで低糖質レシピを検索し、糖質量を計算して料理を作るようになりました。

実は糖尿病には1型と2型とあり、多くの人が思い浮かべる糖尿病は2型になります。2型糖尿病は生活習慣による病気ですが、1型はストレスや遺伝からなる自己免疫疾患です。いずれも砂糖を抜いたり炭水化物を減らしたりといった食事療法が中心になります。

―低糖質というとかなり食事が限られて大変なイメージがありますがどうでしたか。

糖質制限の場合、小麦粉が食べられないイメージが強く大変だと思う方が多いですが、実はおからパウダーやアーモンドプードル、ふすま粉などといった代替品があるのでパンだって楽しむことができます。また、今は豆腐麺などがスーパーで気軽に手に入ります。豆腐麺はそうめんと比べると糖質量が50g程少ないんです。これを担担麺などにアレンジすれば麺料理も低糖質で楽しむことができます。

他にも糖質0の砂糖「ラカント」を使用すれば甘い物や砂糖を使う煮物も糖質制限しながら楽しむことができるので、糖質制限でも食の選択肢は十分あるなということが分かりました。

 

家事に恋する高校生として学業と家事を両立

―そうなのですね!高校に進学してからは家事と学業との両立がいかがですか。

運動部に所属しており部活があった日などは特に疲れて家事をやりたくないなと思うときもあります。そういう時は兄や姉に変わってもらったりしながら家事を続けているという感じです。また、時にはゲーム感覚で家事を楽しむことも意識しています。

―ゲーム感覚とはどういうことでしょうか。

例えば、前回はお風呂掃除に10分かかったから今回は最短記録を目指してやってみよう!などと時間制限をつけて家事を楽しむやり方です。特に掃除などは完璧を求めたらきりがなかったりするので、目標時間を設定してやると限られた時間で効率よくきれいにすることに意識が向くようになります。また、はやく終わったときに味わう達成感が楽しさに繋がると思います。

 ―なるほど。それはいいかもしれませんね!4月からInstagramとnote情報発信をはじめてみていかがですか。

特に写真が好きだった訳でも、文章を書くのが得意だった訳でもなかったのでまだまだ試行錯誤の状況です。Instagramでは好きな韓国のインスタグラマーさんの写真などを参考にお皿の組み合わせなどを学んだりして姉に撮影協力してもらいながら自分で考えて更新を続けています。低糖質のお菓子を紹介した際には、糖尿病患者のご家族からメッセージをいただきました。誰かのためになる情報が発信できていることが分かったので、それを活力に定期的に更新をするように頑張っています。

―どの材料で何を作るか、どうやってアレンジするかなども全て自分で決められているんですか。

お菓子は自分が好きなものや食べたいものしか作っていません。Instagramでおいしそうなものを見つけたら作ってみたり、レシピ本を参考にしたりしています。母が料理の先生をしているので母に教えてもらうことも多いです。

 

生きることと家事はセット 

ー家事の魅力を広めることを目標に活動されているとのことですが、大山さんが思う家事の魅力は何でしょうか。

家事はお母さんを助ける一つの手段であるだけではなく、いい運動になったり、自分の自立につながったりするものだと思っています。生きていく中で家事はずっとついてくるものなので、できて困るということはないと思うんです。私は楽しくてやっていた家事が、父の病気によって使命感が生まれてより進んでやるようになり、家事は誰かを助けることができる・誰かに喜んでもらえるものということを知りました。

自分のためにも、誰かのためにもなると思うのでぜひ一度家事と向き合ってほしいなと思います。 

―最後に今後の目標や挑戦したいことがあれば教えてください。

進路についてはまだ考え中ですが、できれば料理など家事に繋がることをこれから万で行けたらなと漠然と考えています。

今後の活動としては、オフラインでの料理教室などを開きたいと思っています。活動をはじめて以来ずっと考えていることではありますが、コロナもありずっと自分の中でその思いを温めている状況です。その気持ちがどんどん大きくなっているので、まずはオンラインで開催してみようかなと思い、現在計画中です。近いうちにみなさんにもご報告できたらと思っています。

―そうなんですね!実現されるのを楽しみにしています。

取材者:中原瑞彩(Twitter
執筆者:松本佳恋(ブログ/Twitter
デザイナー:五十嵐有沙 (Twitter