様々なキャリアの人たちが集まって、これまでのステップや将来への展望などを語り合うユニークキャリアラウンジ。第153回目のゲストは、IT企業OLで週末YouTuberのぴろりさんです。
チャンネル開設から約5ヶ月で登録者10,000人を超える週末YouTuber「ぴろりちゃんねる」のぴろりさんは、実はIT企業で働く会社員。自宅での作業をより快適にするためのアイテムを紹介した「【デスク環境】IT企業OLの自宅リモートワーク環境」では、驚異の30万回の再生回数を記録しました。現在は好きなこと、得意なことを軸に活動されていますが、大学時代は両親が敷いたレールを歩み、社会人時代で仕事の結果が出せないこともあったそう。両親の反対を押し切ったことを契機に、社会人になっても好きなことを諦めなかったぴろりさんの「好きなことを主体的に選択する人生」に迫りました。
週末YouTuberの現在と、原点
ー自己紹介をお願いします。
ぴろりという名前で活動する週末YouTuberです。本業では、IT企業の中のSaaS分野において、自社で扱うツールの事業企画、収支管理、プロジェクト管理をしています。具体的には、マーケティングに必要なツールを扱っているのですが、ユーザーさんが有料化したいと思うようなプロダクト作りをしています。
2020年4月から、休日を利用してYouTubeチャンネルの運用を始めました。「ぴろりちゃんねる」では、ライフスタイルや自分の好きなガジェットやダンス動画などを発信しています。
ーYouTubeが生活に取り入れられるようになったのはいつですか。
中学2年生のときです。友人の家へ遊びに行った時にパソコンでYouTubeを観せてくれたことがはじまりでした。私は小学生から女性アイドルが好きで当時はモー娘。にどハマりしていました。テレビを介してのみ観ることができたモー娘。いつでも観ることができるYouTubeを知って、全身に衝撃が走りました。「大好きなアイドルをいつでも観れるんだ…」、と。これ以降もいろんなWebサービスを使って感動しましたが、YouTubeを初めて知った時の衝撃はいまだに忘れられません。
その影響もあって、アイドルの踊ってみた動画を、実は中学生の時からYouTubeに投稿していたんです。高校生になってもアイドル好きは変わらず、文化祭や卒業式でダンスを披露していました。当時はAKB48が流行っていたので同学年の女子を集めてダンスを覚え、私がポージングやフォーメーションを考えて仕切ってましたね(笑)。そして現在も、YouTubeでK-POPアイドルの「踊ってみた」動画を投稿していているので、昔から好きなことは今でも変わらないなーとつくづく思います。
敷かれたレールの人生を歩んでいた暗黒の大学生活
ー学生時代からダンスが好きだったんですね。大学時代はどのように過ごされていましたか。
大学への進路選択は、自分の意志というより両親の意向に沿ったものでした。両親が医療系の仕事をしていて、公務員や薬剤師への道を薦められていました。進学したのは、地方国立大学の化学系の学部。本当はWebサービスに興味がある自分にとっては、大学生活は全く楽しくなくて…。それもあって、敷かれたレールを進んだ先に待ち受ける社会人生活にそのまま突入していいのかと悩むことが多かったです。とはいえ、Webサービスが仕事になることを知らない私は何も行動に移さず、単位を取るために適当にやり過ごしているだけの毎日。友人にも「大学を辞めたい」と漏らしていました。
就活時期に入り、化学系企業や他業界の企業を検討しましたが、ピンとくる企業に全く出会えないまま。「このまま社会人になったらだめだな」と思い立ち、大学4年生になる前に、1年間の休学を決めます。「これからの社会人生活は、いままでの大学生活のように中途半端な思いのまま過ごしたくない」と気づいたんです。大学選択は両親の意向をそのまま反映していたけど、人生は自分で選択したいって。
「このまま就職したら80歳の自分は、きっと後悔するだろう」両親の反対を押し切り、留学へ
ーどうして留学という選択だったのでしょうか。
とにかく、今の状況から環境を大きく変えたいと思ったからです。また、小学生の頃から英語を勉強していたので、海外や英語に興味はありました。せっかく学ぶなら英語が公用語の国へ行き、そこでの生活も楽しみたいな、と。エージェントは使わずに、教授の伝手を頼り、自分で調べて留学計画を立てました。フィリピン・セブ島の語学学校と、アメリカ・シリコンバレーでのインターンを決めました。
語学留学だけではなく、インターンもすることにしたのは、Webサービスが好きな私にとって、シリコンバレーは外せない場所に思えたんです。「数多くの有名なサービスを生み出すシリコンバレーってどんな場所なんだろう?」という興味がありました。
ーそれまで両親の意見を尊重し、急に休学・留学を決定することに恐怖や不安はありませんでしたか。
ありました。両親には「フィリピンに1人で行くなんてありえない。そんなの危険だから許さない」と言われました。でもそこで、両親に説得させられたら、80歳になった時に「親に言われたから留学を諦めたけど、行けばよかった…」と後悔する自分がいるだろうと確信したんです。「どう転ぶかわからないけれども、やってみよう」と決断。両親の承諾を得るために資料をつくり、留学計画を話して、自分が本気なんだと理解してもらえるよう努力しました。
シリコンバレーで「やっぱり自分の好きなことはWebだ!」と確信
ー休学中はどんなことをされましたか。
「自分がやりたい!」と思ったことをひたすら行動していました。セブ島では1ヶ月で語学学校の基礎的な学習を習得したため、フィリピン人しかいないガイドボランティアに応募し、見事合格。現地の世界遺産で観光客と会話することで実践的な会話能力を身に付けようと頑張りましたね。
また、シリコンバレーでは、元々やりたかったシェアリングエコノミーのスタートアップを見つけて、「インターンしたいです!」と、直談判して仲間に入れてもらいました。家を決めずにアメリカに行ったのですが、Craigslistというサイトで見つけられたし、友達もいなかったのですがTinderというマッチングアプリで友達を作ることに成功。Webサービスの恩恵を受けて、Webがさらに大好きになりました。
ー帰国してからは、どのように過ごされていましたか。
ずっとやりたかったメディアの立ち上げをしました。シリコンバレーで働く社会人がキラキラしている様子を見て、自分も何かしたいという思いが芽生えていたんです。帰国前にインターン先のエンジニアに、Wordpressでサイトの立ち上げ方を教えてもらったので、帰国したら自分のサイトを立ち上げようと心に誓っていました。帰国後、同じ大学でエンジニアを2人見つけ、3人でWebメディアを立ち上げました。
そうやって立ち上げた鹿児島大学に特化したメディアは、月間20万PVを達成するまでの大きな成長を遂げ、その後は地元の企業から記事広告や協賛をいただけるようになりました。他の全国的な有名メディアと比較すれば大した数値ではありませんが、自分たちでゼロから実現させた達成感を噛み締めました。そこでの経験を経て「やっぱり自分が好きなのは、Webや情報発信だな」と感じたんです。
IT企業への就職。苦手を無理して克服しない働き方へ
ー留学を転機に充実した大学生活となったようですが、社会人生活はどうでしたか。
Web企業だけに絞って就活をし、今の会社に入社しました。1年目はセールス部配属で、全社での年間準MVPを獲得し、満足感でいっぱいに。結果を出せていたため2年目は、新設されたカスタマーサクセス部に立ち上げ時期に配属されました。 慣れない分野の業務に、クライアントからお叱りを受ける場面もあり、どんどん自信がなくなっていきました。
ー結果を出せない仕事を、どう乗り越えていったのでしょうか。
最初は自分に足りないスキルを補おうと必死に勉強をしていました。ただいくら頑張ってもその仕事を好きだと思えなかったので、努力していても辛かったです。1年間をがむしゃらに働き、その結果、自分にはむいていないと感じたので部署を変えました。現在の部署では、6〜8人のチームでスピードを重視してサービス改善に打ち込めているので楽しいです。プロジェクトをマネジメントするのは得意なので、得意分野を活かしながら働けていますね。
ー自分の得意な仕事や役割を選択するのは大切ですよね。
苦手なことを克服するために頑張っても、正直、得意な人には勝てないと思うんです。「自分が向いてない」と思ったら、見切りをつけて、自分の得意を活かした仕事を選択すべきだと考えるようになりました。自分の得意なことなら、仕事がやりやすいし、気持ちも楽ですね。
自分の好きなことに正直に生きたい。Youtuberとしての活動開始
ーYouTubeはどのようなきっかけではじめられたんですか。
コロナウイルス感染拡大の影響で自宅に居る時間が増えたためです。漠然とやりたいな〜と思っていたYouTubeを始める絶好のチャンスだと思いました。以前は、休日も勉強や読書などに時間を割いていましたが、正直それに疲れてしまって…(笑)。自分の好きなことや得意なことに時間を当てようと思うようになりました。
最初はリモートワーク中におすすめのサービスをnote用に書き出していたんですが、「この内容なら、noteよりもYouTubeの方が視覚的に伝えられるから面白そう!」とひらめき、iPhoneを使ってすぐ撮影しました。
ーYouTubeをはじめてから心境の変化はありますか?
Webでの情報発信は、自分の得意分野だと改めて実感できました。趣味の範囲で楽しくやっているだけなのですが、開始して1ヶ月でチャンネル登録者1,000人到達し、2ヶ月目には収益化を達成。結果がついてきたので自信にも繋がりましたね。
また、意識しなくてもネタをどんどん思いつくんです。それを動画にすると多くの人から反響があるので、情報発信が自分に向いているんだろうなと思います。
ー今後、YouTuberとして、IT企業OLとして、どんな挑戦や目標を見据えていらっしゃいますか。
YouTubeは、今後も趣味として好きなことを発信したいです。仕事では、自分が経験してきたように多くのユーザーに感動を与えられるサービスを提供する側になりたいと思っています。今までの人生で、iPhoneやWebサービスに出会い、驚きや発見の数々を経験したので、同じような体験をユーザーに提供できたら嬉しいです。
ーありがとうございました!
取材者:増田稜(Twitter)
執筆者:津島菜摘(note/Twitter)
編集者:野里のどか(ブログ/Twitter)
デザイナー:五十嵐有沙(Twitter)