地元にパフォーマンスで恩返ししたい。高野璃奈のコウノキカクが始動するまで。

「いつかは埼玉県東秩父村に拠点を作りたい」と地元への愛を語ってくださった「コウノキカク」代表の高野璃奈さん。

日本大学藝術学部演劇学科を卒業後、女優・ヨガインストラクターなどとして幅広く活躍。現在は『カラダを動かすことでココロを動かし自身を表現する』というコンセプトのもと立ち上げたコウノキカクでイベントの企画・開催を行われています。

今回は身体で表現するを仕事にされている高野さんに芸術学校ならではのエピソードやコウノキカクへの意気込み、そして目標達成のためにやっていることをお伺いしました。

ダンスを始めたのは実は中学生

ーまずは簡単な略歴を教えていただけますか?

埼玉県東秩父村出身で日本大学藝術学部演劇学科を卒業しました。卒業後は女優を軸にモデルやダンサー、MC、フィットネスインストラクターをしています。

ー何がきっかけで芸術や演劇に興味を持つようになったんですか?

家族で見に行った劇団四季のファミリーミュージカルがきっかけでダンスとお芝居をしたいと思うようになりました。高校もダンスやお芝居の勉強をするために公立の芸術総合高校の舞台芸術科を受験しました。

ーということは小さい頃からダンスをされていたんですか?

いえ、実はダンスをはじめたのは中学生です。中学の時にクラシックバレエを習いはじめたんですが、クラシックバレエは3歳とか小学生からはじめている人が圧倒的に多くて。私はスタートとしては遅かったと思います。でも、バレエを習い始めて音楽にあわせて体を動かすのが楽しいなと思いました。

ー芸術高校に進学されたということですが、やはり普通の高校受験とは違うんですか?

私が受験した時は、作文・身体表現の1分間(ダンス)・台本の音読・面接という内容でした。それに加えて中学の成績ですね。母が新体操の先生をしていたので、母と一緒に振り付けを考えて練習し受験に臨みました。

ー芸術高校はどのような高校でしたか?

公立なので普通の高校と同じように国語・数学などとありますが、芸術高校らしい所といえば演劇の授業がたくさんあること。日本舞踊やフラメンコ、民族舞踊などの授業が受けれたりしました。

ー部活動などもされていたんですか?

部活はダンス部に入っていました。モダンバレエやヒップポップ、ジャズ等いろんなダンスをやってきた人たちと一緒にやる創作ダンスでした。基礎から学ぶダンス部というよりは既にダンスをやったことのある人たちが揃っていたので毎年、全国大会を目指していました。実際私も全国大会に出場させてもらいました。

ー部活以外で何か思い出に残っているエピソードはありますか?

修学旅行はとても記憶に残っています。京都に行って授業で学んだ日本舞踊を皆で舞妓さんの格好をしてパフォーマンスしました。

ーとても芸術高校らしい修学旅行ですね。高校生の頃には将来芸術系の仕事に就きたいと考えていたんですか?

将来何がしたいか高校生の段階では正直分かっていなかったです。とにかくダンスが好きでお芝居をもっとやってみたいという気持ちはありました。でもどういう仕事につけばいいかわからなくて、自分に何ができるかわからなかったから、それを探すために芸術系の大学に進むことを決めました。

ミスコンに出て、地元に恩返ししたいと思った

ー日本大学藝術学部といえば演劇界のエリートコースかと思いますが、受験は大変でしたか?

受験は大変というより楽しかったです。試験内容としては朗読・即興ダンス・歌唱審査・面接でしたが、緊張したものの楽しんで受けれました。

ー芸術系に進むことに対して親御さんの反応はどうでしたか?

昔から好きなことをやりなさいと言ってくれる両親だったので大学合格には喜んでくれました。もちろん、これからどうするんだろう、何になるんだろうとは思ってたと思います(笑)

ーそうですよね。大学は入学してみてどうですか?

芸術高校を卒業していたので、できる子というイメージがつきやすかったのがプレッシャーでした。実際はお芝居よりもダンスがメインの高校生活だったので、お芝居の勉強をもっとしたくて演劇コースを選んだのに。

最初の2年間で実際演劇の基礎をしっかり学べたのでよかったです。もっと演劇をやりたいなと思えるようになりました。逆に最後の2年間はせっかっく大学にいるので、他の学科の授業を受けてみようと思い美術史や日本文芸誌など違う学科の授業をとって幅広く学べました。

ー大学でもダンス部に所属されていたんですか?

大学では部活やサークルには所属していませんでした。高校生の最後の方に埼玉から東京に引っ越した際にはじめたダンススクールの事務所に登録していたので事務所経由でバックダンサーや雑誌のモデルのお仕事などをしていました。

その他には4年生の時にミスコンに参加しました。埼玉の地方大会に参加したのですが、地元の地域の方がすごい応援してくださりました。地元にパフォーマンスで恩返ししたいという思いはその時以来ずっとあります。

またミスコンには軸をしっかり持った人が集まるので自分をとても高めてくれ、ミスコンで培った経験も仕事に生かしたいという思いが生まれました。

ー卒業後の進路として就職という選択肢はなかったんですか?

就職活動というものにチャレンジしてみたくて、テレビ局を受けたりはしていました。周りの友達も就活をしている子は映像系などの芸術関係の企業が多かったです。でもどこかの会社に入るというイメージがわきませんでした。

その後大学を卒業した際にたまたま、フィットネスインストラクターをやってみてないかと声をかけていただき大好きなダンスを人に教えるという経験をしてみたいと思いチャレンジすることにしました。

自分を表現するためのダンスvs健康のためのダンス

ーインストラクターの仕事はどうでしたか?

ダンススクールとフィットネスクラブのダンスクラスって全然ちがうんですよね。フィットネスクラブのダンスプログラムは健康目的で来ている人が多く年齢層も高めです。ダンススクールと教える時のアプローチが全然違うのでとても勉強になりました。

私にとってダンスは自分を表現するものであるのに対してダンスが健康になるため・汗をかくためのものというお客様とのギャップがあったのは事実で、それを埋めるのには苦労しました。なので自分のやりたいことと、相手が求めていることの差を埋めつつ、身体を動かしながら楽しんでもらえるエンターテイメント性のあるレッスンというのを目標にやっていました。

ーインストラクターの仕事はそれ以来ずっとやられているんですか?

気づいたら4年やっていますね(笑)ただ。初めはアルバイトでしたが今はフリーです。また今はダンスではなく、ヨガをメインとしたインストラクターをしています。いろんなレッスンを経験させてもらいましたが、その経験を元に自分のオリジナルのプログラムを作りたいと思いフリーになりました。

その中でもヨガは今一番需要があるというのもそうですが、私自身が大事にしている「呼吸」を大事にしているレッスンなのでヨガのインストラクターは続けています。ヨガのレッスンを通して今どんなプログラムに需要があるのかもリサーチしています。

コウノキカク始動、目標は1レッスン100人。

ー現在活動されている「コウノキカク」について教えていただけますか?

コウノキカクでは、『カラダを動かすことでココロを動かし自身を表現する』というコンセプトをもとに埼玉、東京を中心に企画、イベントの開催を行なっています。2年前くらいからshow roomで自分のやりたいプログラムを配信しだしたのでがきっかけです。去年から月1回「りらくてぃぶ」という名前で開催しています。直近の目標としては1レッスン100人集めることです。

ー「りらくてぃぶ」では実際どのようなことを行っているんですか?

最後にヨガの要素が入っているんですが、それ以外は全力で自分の身体に向き合ってもらう自重トレーニングです。自分の身体・体重で自分でコントールして最後までやりきる70分のレッスンになっています。

ー現在はコロナの影響でオンライン開催ですか?

はい。今はズームでやっています。せっかくオンラインでやっているので30分のショートレッスン×2に変更し、誰でも気軽に参加していただけるようにしました。オンラインだと雰囲気が掴みづらく試行錯誤していますが、これをきっかけにたくさんの方に知ってもらい楽しんでもらえたらなと思っています。

今はまだ最大20人規模程度で100人は遠い道のりですが、行く意味・参加する意味が見出される魅力があれば人がついてくると思うので、目標達成に向けて頑張っています!

今は面識がなくてもアプローチすれば会える時代

ーここまでのお話を聞いているととても順風満帆なイメージがありますが、挫折経験などはありましたか?

卒業して少ししてから全国公演の大きな舞台があったんですが稽古中に足を怪我して出れなくなりました。あの時はとても悔しかったです。どんなにやりたくても自分が健康じゃないと何もできないんだなと実感しました。それ以来自分の身体と心のメンテナンスは常に意識しています。今は特に外出自粛ムードで心の状態が不安定になりやすい時期なのでしっかりメンテナンスしたいと思っています。

ー具体的にどのように心のメンテナンスをするのがいいでしょうか?

1つはやっぱり楽しいことを考えたり気分転換になることをすること。私は自粛が終わったら女性向けに家でヨガやパーソナルトレーニングをしたいなとおもっているのでその準備も兼ねて家のレイアウトを変えたりしています。

また、「私の今の状態どう?」と周りの人に確認するのもいいと思います。身体のケアは1人でもできるかもしれませんが、心のメンテは1人だと難しいと思うので。

ーその他、この期間を利用してやっていることはありますか?

これを機会に簿記の勉強をはじめたました。尊敬する方に、簿記の勉強をしといたら間違いないよって言われたので(笑)もともと数字は弱かったんですが、経営とかには数字が必要と感じたのもあります。

また、自分がこれから何をしたいのかを考える時間をたくさん持つようになりました。変化し続ける社会に自分がやりたいことと、皆さんが求めているところがどこでマッチするのかなと。周りの人にアドバイスをもらいながらこれからのことを考えています。

ーこれから何をしたいか既に考えていることはありますか?

やっぱり「身体動かす=生きている・自分を表現する」というのを感じてもらえる拠点を作りたいです。ダンスなどだけではなく演劇の講師やミスコンの経験などを生かして歩き方や姿勢に繋がるレッスンなどもやりたいです。

都内だけではなく埼玉に拠点を持ち、自然が豊かな東秩父では合宿形式のものをしたいとも考えています。自然に囲まれたところで自分にとって必要なものを感じ取ってもらい、自分の内部から生まれるものを大切にしてほしいなと。

ー素敵ですね。その実現のために何か大切にしていることはありますか?

自分1人の時間を確保することと、迷った時は人に会ってアドバイスをもらうこととです。

1人になって何をやったらいいんだろうというのは常に考えています。また、1人になった時ほど気づきって多いと思うんです。例えば1人でいて、何をやるかを選択するかに何か自分の本当に好きなことや大切にしたいことが隠れていたりします。

その上で、話したい人・アドバイスをもらいたい人に自分からアプローチしてアドバイスをもらいます。尊敬している人とか、なかなか会えなさそうな人にもどうやったら会えるか考えて積極的にアプローチすることが大事だと思います。自分がどうなりたいかというのをしっかり言語化して伝えた上で、相談にのってほしいことを伝えてみてください。

ー実際にアプローチして会った方はいますか?

株式会社ミライロの垣内さんです。私に簿記の勉強を進めてくれたのも実は垣内さんです(笑)ずっとお会いしたくて、Facebookで探して面識もないのにメッセージを送った結果お会いすることができました。

ーすごいですね。SNSがあるからこそ、ですね。

会いたい人に会えるチャンスはたくさんあります。今は自分から発信して培っていく時代だと思うので、ぜひ自ら考えて、自分が実現したいことに向けて積極的に動いてみてください。

私もこれからまだまだ頑張ります!

<取材:西村創一朗、執筆:松本佳恋、デザイン:矢野拓実>