様々なキャリアの人たちが集まって、これまでのステップや将来への展望などを語り合うユニークキャリアラウンジ。第967回目となる今回は、辻本希成喜さんをゲストにお迎えし、現在のキャリアに至るまでの経緯を伺いました。
学生時代にネパールに旅行へ行ったお祭りをきっかけに、社会問題や環境問題に関心を持ちはじめた辻本さん。社会問題を若者に発信し、一緒に活動していく団体「GAT」を設立。積極的に活動している辻本さんから、社会問題に真摯に取り組む姿勢や、考え方について伺いました。
「自分が変わらないと」周囲に関心を無くした学生時代
ーそれでは、自己紹介をお願いいたします。
辻本希成喜と申します。社会問題や環境問題を中心とした、日本一たのしい地球貢献型のオンラインコミュニティ「GAT」を運営しています。
ー「GAT」とはどういう意味ですか?
Give And Takeを省略して「GAT」です。「やさしい人ほど、楽しめる社会をつくる」ことを目標に設立しました。環境問題や社会問題に対して、同じ志を持っている仲間と一緒に共創することを目指し、2022年5月に一般社団法人化をしました。
ー辻本さんは、現在「GAT」のみでお仕事をされているのですか?
「GAT」ともう一つ、大学を卒業後にイベントを企画・運営する会社に就職し、現在は理事をやらせていただいています。その為、2社をメインにお仕事をしています。
ーそんな辻本さんはどんな学生時代を過ごされたのでしょうか?
幼少期から、目立ちたがり屋で、クラスに一人は必ずいる、お調子者タイプでした。自我が強くて、問題児だったと思います。あとサッカーをしていました。
ーサッカーは何歳頃からやっていたのですか?
小学校くらいからサッカーをしていました。よく頻繁にクラブチームの遠征へ行ったりと、サッカーにとても打ち込んでいましたね。
当初はあまりサッカーが好きではなかったです。ずっとドッチボールにハマっていて。無理矢理家族にサッカーのクラブチームに連れていかれて、参加したんです。
その後、自分の人柄を監督が気に入ってくれて。チームの中では自分が一番下手だったのに、公式戦で途中出場させてくれたんです。その試合でゴールを決めたのがすごくうれしくて、そこから少しずつサッカーにハマっていきました。
でも、実は密かにメンバー内でいじめが横行していたんです。当時の所属メンバーは30名ほどいたのですが、実際に卒業したのは9名。その中にサッカーがとても上手い子たちが数名いて、上手い子達が変わる番に、チームメイトを攻撃していました。
僕自身は攻撃されないような、明るいキャラクターで接していたこともあり、標的にはならなかったですが、当時ターゲットになっていたチームメイトの家に行き、一生懸命慰めたりと。自分なりにできることをしていました。
ー結局、いじめは発覚したのですか?
いじめが発覚すると、監督がいじめられている子の家に行き、謝罪をしたんです。でも次の日に練習へいくと、今度は違うチームメイトが標的になっていて。
そんな状況に「やさしい人が標的になって、攻撃されていく。その状況に、なにもできない自分の弱さ。本当の強さとは、一体なんだろうか?」と悩みました。
ー仲良くしている子が標的になると、心が痛みますよね。特に学生だとなかなか言い出せない時期ですね…。
自分がターゲットにされたくないという、心理もあり……。ずっと葛藤していました。
そんな状況で「人(相手)は簡単には変わらないし、期待してはいけない」という潜在意識が芽生えはじめ、人に関心や興味がなくなっていったんです。そんなことがあり、学生時代は周囲を冷めて見ていたと思います。
ネパールでのお祭りが人生の大きなきっかけ
ー辻本さんは、いつから社会問題に興味や関心をもちはじめたのでしょうか。
きっかけは、友達に誘われて参加した、ネパールでのお祭りです。それは「ホーリー祭り」といって、ネパールで3月に開催されます。
ーどんなお祭りなのでしょうか。
ホーリー祭りとは、カラフルな色粉を人や家にかけ合います。子供同士は、お互いに色粉を顔に塗りあったりと、身分を超えて盛り上がるお祭りです。そのお祭りに友人と旅行の最終日に参加しました。
お祭りを楽しんだ後、友人と夜中にタクシーを使用して違う町に移動したんです。
移動後にタクシーを降りたら、ストリートチルドレンの子供たちが路上で生活していました。よく見ると、すごく汚れていたんです。
その汚れの原因は、路上生活ではなくて、ホーリー祭りでした。お祭りに参加していない・参加する余裕がない彼らが、祭りのせいでひどい目にあっている。
子供たちに直接、話を聞いたわけではないですが、「自分たちがお祭りをたのしいと感じていたことが、裏では社会問題のひとつの原因になっていたのでは?誰かが嫌な思いをしているかもしれない」そう考えてしまったんです。
このお祭りを通して、「自分の意識を少しずつ変えていき、社会問題について考えてみよう」というきっかけとなりました。
ーお祭りやイベントはたのしい反面、自分たちが気づかないところで、誰かに迷惑をかけているかもしれないですよね。たのしい思い出だけで帰国する人が多いなか、社会問題や環境問題に気づく人は、少ないかもしれません。素晴らしい気づきだと思います!