「準備よりもまず飛び込んでみる」熊野古道マーケター・大﨑庸平さんの成長サイクル

地方マーケティングの醍醐味は「切り口を変えて魅せること」

ー苦労されながらも学びがたくさんあったということですが、現在の熊野古道でのマーケティング支援に活かされている学びはありますか?

施策の実現のために自主的に動く姿勢は、前職の経験が活かされていると感じます。現在は熊野古道に宿を立てて、自社で集客をする“地方マーケティング”に携わっているんですね。これまではチームで働いてきたのですが、今は1人で働くことが多いんです。

ーほかにテーマパークマーケティングと違う部分はありますか?

マーケティング資源である“ヒト、モノ、カネ”のうち、“ヒト、カネ”が少ないことですね。テーマパークマーケティングとはまったく異なっていて難しいです。

ただ、その分地方特有の魅力をどのような切り口でブランディングしていくか、どうやって地域の人を巻き込んでいくかを考えるところが大切で、やりがいを見出しています。

ー具体的に熊野古道ではどのようなマーケティング支援を行いましたか?

これまでの熊野古道はインバウンド向けに“4日間歩き続けるトレッキング”での打ち出しがメインだったんです。コロナ禍でインバウンドではなく国内向けにアプローチしていかなければいけないとなったのですが、多くの日本人は4日間連続で歩かない。

そこで、ブランドコンセプトを「RETREAT~歩いて、遊んで、夢中で休んで~」と設定して、「よみがえりの地」と呼ばれる熊野古道の大自然の中で日常のストレスをリセットする宿、という方向で打ち出しました。

熊野古道に気軽に触れてもらって「また来たい」「次は歩いてみたい」と思ってもらえるようなブランディングを心掛けていましたね。

ーこれまでの切り口を変えたブランディングが大切なんですね。大﨑さんが今後やってみたいことはありますか?

全国各地の魅力を最大化させるサポートができればと思っています。これまでの経験を活かして、都会や海外からの旅行者が地方で楽しむための枠組みやサービスをつくってみたいです。

ー素敵です。最後にU29世代に向けてメッセージをお願いします。

若いころから環境にこだわって生きることを大切にするとよいのではないでしょうか。1人でコツコツと積み重ねたり勉強をしたりすることはやはり難しいじゃないですか。

「準備ができていないから挑戦できない」ではなく「準備をする前に飛び込んでみる」ほうが、勉強のモチベーションになるし、できなくても周りの人が助けてくれます。思い切って挑戦してみることで、自分の足りないものが見えてくるはずです。

ー刺さる言葉をありがとうございます。大﨑さんの今後のご活躍を応援しております!

取材:八巻美穂(Twitter / note
執筆:こつ(Twitter
デザイン:高橋りえ(Twitter